第八百九十九話 不安と良い報告
とりあえず6日間だけ様子を見ると決めた、その最初の朝。
ちょっと機能のことを振り返ってみようと思う。
俺はミカとイチャついたあと、この屋敷の住人残らず全員を食堂に集めて今の現象に関しての自分なりの解答・考えを言い、シヴァの慌て方とミカの勘によりなんにせよやはり危険なことが迫っているから注意してほしいと言っておいた。
お父さんやお母さん達、親組は最近強い魔物が増えた、程度の考えでいたので、想像よりおおごとで驚いたと言う。会議を開いてよかった。
それと同時にミカに言われたと同じように、お父さんとお母さんから無茶と無理をしないようにと厳しく言われた。そういえばショーも言ってた。さらにカナタまでとりあえず6日間様子を見るのは 勘 という不確定要素を除いたとしても必要だと思うって。
ちょっとみんなして俺のこと心配しすぎじゃない? いや、心配してくれるのはとても嬉しいんだけどさ。
そのことについて会議が終わってからミカに相談すると、今でもミカを含めた皆、最初に俺が死んでしまったことがトラウマなんだって。なんて言っていいかわからないけど、たくさんの人が悲しんでくれたみたいで複雑ながらも嬉しいというか。下手な行動しにくくなるなぁ。
トラウマを思い起こさせたバツとして、抱けと言うので夜にいつも通りのイチャイチャを展開したところでこの朝だ。
ミカはまだ裸のまま満足そうな顔でぐっすり眠ってる。
しかしなぁ、今日含めて6日間準備すると言ってもなにすりゃいいんだろう。武器や部屋は完備。仮に死んじゃうようなことがあってもアムリタがあるし、封印されるようなことがあっても俺とミカに付けられているペアの装備品が呼応しあって必ず一方に合わせられることになっている。同時に封印されたらアウトだけど。
だからそ本当にこの準備期間は気持ちの準備期間なんだと思うな。
「ふぁ……おはおー、あゆむぅ」
「おはようミカ」
この可愛い顔さえ見られればとりあえずなんでも乗り越えられる気がする。もしアナズムに最初、俺一人じゃなくてミカも一緒だったら初っ端から転生まで辿り着いてた自信あるね。
「じゃあ朝ごはんを作るよ」
「うんー」
「二度寝してていいよ。朝ごはんができたらまた起こすから。その前に服は着てね」
「うんー……おやしゅみ…」
服を着てと言ったはずなのに、寝ぼけているのか下着だけつけて二度寝してしまった。まあいいけど。しかしここまで寝坊助なのも珍しい。昨日はすごかったからきっと疲れてるんだね。
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「それで、準備どうしようか有夢」
朝ごはんを食べ終わり、そのあとしばらくイチャついたところでしっかり目を覚ませたミカがそう言う。俺と同じで準備期間は設けたものの準備することがないと思ってるみたいだ。
「これから起こることとして考えられることに対して……なにか新たな敵が現れるってことになっても今以上の準備はできないし、SSSランクの魔物がFランクの魔物並みに大量発生するにしても多分対処できる」
「じゃあ忙しくなることを見越して、私とラブラブする?」
言い方が冗談くさいが、本人は割と真面目に言っているようだ。そもそも原因がなんなのかとか、シヴァの話の内容がなんなのかとかわからないだらけなのにまともに準備なんてできるわけがない。
ミカの言う通り、本当に今できるのはそのくらいなんじゃないかな。
「そうだね、しよう」
「えへへへへ」
にっこりしながら擦り寄ってくるミカを抱きしめる。
その時、この屋敷の門のチャイムが鳴った。
「ありゃ……」
「ぷくー!」
「それは俺の怒り方だよね? 真似しないでね。それにしても誰だろ?」
「お仕事はほうぼうに休業するって昨日言ってあるわよね?」
「うん」
うちは監視ビデオも完備だからこの場にいながらチャイムを鳴らした人を観れる。トズマホからね。
画面に表示されたのは見慣れた二人。なんとウルトさんとパラスナさんだった。仲良く門前で待っている。
「おっ! ウルトさんとパラスナさんだよ」
「てことは、ギルマースさんの言ってたことを私たちにも報告しに来たのかな?」
「きっとそうだよ! でもギルマースさんは俺たちだからこっそり教えたっぽかったし、それは内緒にしとこうね」
「それがいいわね」
屋敷を出て門の前まで行く。
ウルトさんもパラスナさんも私服で、パラスナさんに至ってはすっかりフードを外して兎の耳を露わにしていた。フードの姿の方が一般的だから変装も兼ねてるのかも知らないけど。
「ウルトさんとパラスナさん! いらっしゃい、どうしましたか?」
「アリムちゃん、結婚式の後以来だね」
「特に変わったことがなさそうで良かったわ! 今私たち、お世話になった人に報告してまわってることがあるんだけど……」
その内容はわかってる。
ウルトさんもパラスナさんも幸せそうだ。そりゃ、当たり前だよね。
「実は、私達に子供ができたの」
「「おめでとうございます!!」」
別に被せるつもりはなかったけど、ミカとハモってしまった。
いやー、今のこの現象の辛さを和らげてくれるなんて素晴らしき報告なんだろう。




