第八百九十二話 聖龍のお怒り
最重要連絡です。
諸事情により大変忙しくなってしまうため、7月1日から『Levelmaker』は毎日投稿から隔日投稿となります。
また、もしかしたら『私は元小石です』の方もその日より4日に一度の投稿から週に一度の投稿になるかもしれません。
誠に申し訳ありませんが、ご理解の程をよろしくお願いします。
#####
<そうだそうだ、余もはっきりと思い出したぞ。御前、魔神を滅する勇者だと初めて会った時に言うから、別れ際にわざわざ余のウロコ数枚と牙を一本、一番伸びていた爪のカケラを渡したではないか! 余を封印した時はすっかりそれで装備を一式作っておったよな? 余の身体を使ったんだ、国宝級から伝説級は当然の筈! その装備を持ってしても魔神に負けたのか!>
「すまない……」
<だいたい、余の力を頼ればよかったのだ! 魔神と一対一では勝てるかどうか怪しいが、そのような術ごときにかかる余ではない! だいぶ違った筈だぞ!>
「今思えば、そうだな……」
そういえばヘレルさんってサマイエイルに負けたんじゃなくて、ノアさんを人質に取られたから抵抗できなかったんだよね。
ファフニールの言い分もわかるけど、これじゃあヘレルさんがかわいそうだよ。魔神を現世に復活させたことは未だに許せないけどさ。
<ふー……まあ良い。こうしてお互い蘇られたのも何かの縁。哀れな勇者のためにこれ以上怒らないでおこう。そうだ、御前の恋人のノアとやらは勿論、美少女に生き返らせてもらったんだろうが>
「ああ、その通りだ。いま結婚を前提に一緒に暮らしている」
<ふん、丸く収まって良かったではないか>
もしかしたらこの聖龍はツンデレなのかもしれない。それにしてもただの魔物がこうもいい奴に育つものなのだろうか。
他のSSSランクの魔物は、例えばカナタと対峙した奴なら、男に飢えてる感じで狂ってたらしいし、ショーたちが相手した奴なら筋肉を見せつけるようにポーズしながら破壊行動をしつつ移動してたりしたらしい。
「なあ、龍よ」
<なんだ、現メフィラド国王>
話が一段落したところで国王様がファフニールに話しかける。国王様が乗り気になってくれるのはいい。まだこのファフニールを預けたいなんて言ってないけど、向こうから興味を示してくれるのならとても楽だ。
「私はお前の生い立ちを知りたくなった。良ければ教えてくれないか」
<なに、元勇者と余の話を聞いてなかったのか?>
「それはヘレルとの出会いと封印されるまでの経緯だろう? 知りたいのだ、何故、そこまで人間に協力的なのかを」
<……なんてことはない、これは昔の話だ>
結局ほぼ全部、ファフニールは語ってくれた。
彼がまだ低ランクのドラゴンの魔物だった頃、飛べないがために群れからはぐれてしまい迷子になったらしい。その最中に迷い込んだ村で2週間だけお世話になったんだって。
普通だったらドラゴンの子供でも討伐対象になるけど、行儀良くしていたら助けてもらえたみたい。それからファフニールにとって人間は敵ではなく、話し合えばわかる、という認識になったのだとか。
なんか人間に対して潰してやるとか殺してやるとか言ってた気がするけど、ドラゴンジョークってやつなのかしらん。
「よくわかった。そうだ、そこはこの国の村か?」
<たしかそうだった筈だ。犬の魔物がやけに多かったことと、カバとかいう野菜が名産だったのは覚えているが……なにせ余は封印されていた年月を除いても齢は二百を超える。400年以上前の村が今も残っているかどうか>
ん? 犬の魔物が多くて野菜が名産品?
それってまさか、俺が最初にたどり着いたあの村なんじゃ……。もしそうだとしたら面白い。
<ま、昔のことはもういいだろう。それより今のことだ。美少女よ、余はどうすればいいのだ?>
「そうだアリム。偶然ヘレルの知り合いだったとはいえ、それはここで発覚したこと。何故、この龍を連れてきたんだ?」
お、やっと俺の本題に入れるか。みんな話が長いからね、だいぶ待たされちゃったよ。自分から振った話もいくらかあったけどさ。
「国王様って召喚魔法使いじゃないですか。SSSランクの」
「元な。戦争以来まともに戦闘はしていないが」
<国王よ、余は、美少女に貴殿を余の仲間候補として紹介するために連れてこられた。国王であるのにSSSランクの実力を持つというのは本当か?>
「一応な」
国王様は懐から冒険者時代のカードを取り出した。ちゃんとSSSランク仕様だ。というか何気に俺たちも初めてみた。
「今の時代、むしろ王族はある程度の強さを持たなければならない。SSSランクまで到達したのは私を含めて2名だが」
<なるほど、時代の移り変わりというやつか。しかし偶にも貴殿はSSSランクの魔物使い。そして傲慢ではない良き国王。そして旧知の元勇者の現保護者。ならば仮初めの合格だ。美少女が勧めてくるだけある>
「仮初め……か。そうでなくなるには?」
<SSSランカーとしての実力を余に示せ国王! 互いの強さを図るためにも! 余に打ち勝つことができれば、余は美少女の思惑通り、貴殿の厄介になるとしよう!>
「そうこなくては」
あ、なんか始まりそう。でもお互いの実力知らなきゃ、召喚魔法使いとそのしもべとしての信頼関係は気づけないのは確かにそう。
戦う場所は俺が用意しよう。国王様がベヘモットをフルサイズで召喚したりしたら地形変わるし。




