第八百八十一話 お地蔵様にも変化が
水曜日。
特にニュースがあるということはなく、どうやって地球を異変から守るかを考えていたら、いつのまにか授業が全部終わっていた。
ちなみに悩んでるのは俺だけじゃなく、それぞれアナズムの住民全員が考えてくれているみたい。叶とお父さんには正直すごく期待してる。
「そういえば今週、お地蔵様がどうなってるか確認した?」
「あ、3日分……いや、前の土日深めて5日分見忘れてたね。インパクト大きなことがたくさんあったから」
「あれだけのことがあったんだもの、向こうにも何か変化があるかも」
そういうわけで帰り道はカフェとかお店とかには寄らず、幻転地蔵の元へと直行した。
目視できるくらい近づくと、異変なのかもしれない、いや、これが普通なんだろうけど……久しぶりにちゃんと首が乗っかってるのが見える。
「あれ?」
「ちゃんと乗っかってるわよね?」
「念のために近づいて見てみよう」
今までみんなシカトしてるみたいだったけど、俺たちが5日間もほって置いちゃったんだ、流石に誰か気がついて戻して置いてくれたのかもしれない。
でもそんなことはなかった。
「うわっ!?」
「えぇ……」
ちゃんと見えるだなんて言葉、撤回しよう。確かに首はしっかりと身体に乗っているけど、上下前後逆。
もし日本の怖い話とかだったら、こんな首の置き方にした人がバチが当たって神隠しにあう展開になるタイプのやつ。
さらによく見てみると、口元がひび割れており、まるで口が裂けているみたいだった。ほんとにホラー。
「こ、これは流石に怖いわよ……」
「とりあえず首の位置と口元を直さなきゃ」
アイテムマスターで完璧に修復。首も元の位置に戻した。軽く周辺の掃除をして監視カメラを確認。
それらが済んだら家に帰って、俺の部屋で美花と一緒に映像データ5日分をみ始めた。
「土曜日って隕石落ちてきた日だもんね」
「この日に何か異変があったりして」
美花の言うその通りだった。なんとこの日の時点で口元のひび割れが生まれたようだ。それも何かにぶつかるとかでなく、まるでニタリと笑うように一人でにパキリと。
でもいつも見たいな明後日の方向に飛んでいくということはなかったみたい。首はその場にとどまっている。
「いつも思うんだけどさ、これってアナズムに関連してるって知らなきゃかなりホラーよね」
「まあね……しかしいきなり動作を変えるなんて」
「はやく次見てみよ?」
そのまま日曜日。日曜日は首が真後ろに回転した。やはり首が飛んでいってしまうことはなし。
次に月曜日、首が空中で半回転して俺らが今日またような向きになった。
火曜日は首が左右逆を向いたまま三回転くらいする。
そして今日は、まだなんの変化もなかった。
「何もないってことは……今日はまだなの?」
「その可能性が高い。どうせ映像は遠隔で送られてくるんだ、今日の分がどうなのか夜中にみよう」
「そうね。じゃあそれまで……」
「ゲーム?」
「ゲームだめー! キス、キスして! チュー!」
「はいはい」
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「それで夜中だけど……別に俺の部屋来なくてよかったのに」
「夜中にお地蔵様の怪奇現象みるなんて有夢、怖いでしょ? だから一緒に見てあげようと思って。怖がりだし」
「お化けとかに怖がってたのってどれくらい前の話なのさ」
「10年くらい? とにかくみようよ」
「うん、まあ、そだね」
あれからの変化はそれなりに暗くなってからからだった。今の時期だと午後6時半以降かな。
火曜日の時とは比較にならないほどお地蔵様の首が高速回転し始めたんだ。それが10分は続いたぐらい、急ブレーキをかけたように動きが止まる。わざわざ正面に直してあげたのに、後ろを向かれた。それも悔しいし、回転の早さがそのうち摩擦で体の部分が削られてしまいそうでこわい。
「すっごい回ってる……」
「ね、みて!」
「ん!?」
お地蔵様の頭から魔法陣のようなものがあらわれる。いや、確実に魔法陣だった。おそらく雷系の魔法のもの。
生み出された魔法陣は打ち上げ花火のように上空へ勢いよく飛ばされていった。
「これってまさか」
「たぶん、そのまさかだよね」
もしかしてこれが地球で起こってる怪奇現象の原因?
いや、ずっと観察してきて魔法陣を出したのは初めてだから全てがお地蔵様の仕業とは言えないけど、それはさておき。
「近いうちに雷に関する何かしらが起きるかもしれない」
「どうする……?」
「最初は家が凍って、巨大魔法陣は無視するとして、その次に隕石だったんだ。今のところ死傷者は出てないけどスケールが上がってっている」
「うん」
「とりあえず、気休めにはなるかもしれないからすっごく効果のある避雷針を作るよ」
俺はすぐに作業に取り掛かった。
今日はない、そんな予感はしてたけど次の災害が明日か明後日か、全然わからないからね。
1時間の作業のち、とりあえずアナズムの人間以外が感知することは不可能な、蓄電式の空中に浮かぶ避雷針を作り、ひっそりと空にはなった。




