閑話 狼とインターネット
私とショーはお家に帰ってきた。
それにしても月曜日から今日に至るまで、ショーはテレビ撮影したことについていじられまくると思ってたけど、世間的には隕石の方がインパクト大きかったみたいだね。
自分よりそっちの方が目立ったのはショーにとって良かったみたい。
隕石にアルティメタルが含まれているのは……意外だけど予想通りって言うべきかもしれない。今まであったことからしてあのくらいあってもおかしくはないよ。
でも、こうなると地球から見て私の地元であるアナズムは、ほかの星であるのかあるいは別次元であるのかが気になるところ。
私は制服から普段着に着替え終わるとリビングへちょっとだけ顔を出し、すぐに自室に戻ろうとした。
でも大好きなショーに呼び止められる。好きすぎてハートが口から飛び出そう。
「ん? リル、テレビみねーのか?」
「わーふ、株価チェックしてくるよ」
「そうか、叶君といい頑張るなー。お疲れさん」
リビングでショーとお母さんの三人で一緒にテレビを見たいんだけど、私もいろいろやることがあるのさ。
なにせジェーケーだからね!
アナズムなら暇がたくさんあるし娯楽も少ないからショーにべったりできるし、おっぱいも揉んでもらえるけど、インターネッツがあるのは地球だけなんだよ。株価チェックだけじゃなく、世間のトレンドなんかも知りたいのさ。
ジェーケーだからね!
心底名残惜しいけど私は自室で自分で買ったってことになってるお高めのパソコンを起動させる。
地球での過ごし方が、この世界に来た時点で備わってたのは本当に嬉しいことだよ。文明の利器を存分に扱えるんだから。さて、早速株価チェックだ。
「…………わふ……わふわふ、わふぅ………わっふぅ! ふぅふぅ!」
やった!
前に買っておいた株が3つ同時に見事に大当たり! 2000万円の利益だ。……叶君なら多分、今頃この数倍は利益出してるんだろうなぁ。もはや化け物じみてるからね、半人半獣の私が言うのも何だけど。
まあ大金を手に入れたと言ってもまだ貯金するだけなんだ。私の貯金はショーと結婚した後に使うのさ、わふわふ。
あとは……これは来るねってものを買い込んで今日の分の株はやめた。次は世間のトレンドチェックだよ。ファッションについてはミカちゃんとあゆちゃんに聞けば何とかなるからいいや。もっと別のことを……。
「わふぇ………ん?」
広告から興味深いものを見つけた。
えすえむプレイ……? ってやつだよ。エッチな動画の広告だからそう言う系のヤツだね。ショーとできることのレパートリーが増えるかもしれない。
ちょっとこれについて調べてみようかな。何だか楽しそうな予感がするよ。
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「わふぇ………」
あ、あんまり見るべきものじゃなかった。と、トラウマが……せっかくほぼ全て記憶から抹消できているのに、残ったやつが頭の中で暴れまわってしまう。やだよ、怖いよ。
だって私の大好きで、優しくて、素敵なショーが私の手足を縛ってあんなことやこんなことをすると思うと……。
悪くないかもしれない。
あれ、悪くないかもしれないよ。
うん、悪くないじゃないか。元はと言えば私はショーの奴隷なんだ。正当な意味の。
でもやっぱりあんまり過度なやつはダメだね。見ただけで目眩がしてくるから、ショー相手でもされたらショックが起こるかもしれない。
軽く縛られたり目隠しされたり……だね。
……むむ?
「おーい、リルー! おやつにプリン食べようぜ!」
ショーが近くまでやって来たようだ。ショーには私がエッチなのを時々見てることを知られたくない! いや、多分もう知ってるだろうけどその現場は見られたくないよ。
と、言うわけでさっさとパソコンをシャットダウンさせて、この部屋に迎える準備をした。
「わふ、ショー。お部屋入っていいよ」
「おう、じゃあリルの部屋で食うか」
「そうしようそうしよう」
ショーはプリンを持って来てくれた。小さなテーブルに二人で密着して座り、食べ始める。
「株どうだった? 儲かったのか?」
「わふー、今日は調子が良かったよ!」
「下手したら俺が将来獲得する生涯賃金よりすでに多かったりしてな」
「はは、どーだろーね」
ジャパニーズアニメで良く演出される擬音の「ギクッ」が私の脳内で鳴ったよ。
まだ結婚してないプライベートのことだから大好きなショーにも私の貯金額は教えてないけど……。
明確に言えばショーが警察のエリートコースに入ったとして、その生涯賃金を超えられるほどのお金はまだない。
でも二人と子供……そうだな、2~3人くらいなら、お互い働かなくても暮らせてゆけるだけのお金はあるんだ。ちなみに叶君は私の予想が正しければその5倍以上ある。ぷ、プリンおいしーなー。話題変えようかな。
「ね、ねぇショー。ネットを少し見てたんだけどさ」
「おう?」
「えすえむプレイっ……て知ってる?」
「うぉい」
あ、ショーの顔が引きつってる。
ってことは知ってるんだね。
「き、興味が湧いちゃって……。そのうち、あの……叩くのとか首輪つけてお散歩とかは嫌だし、へんな道具を使われたりするのも嫌だけど、縛ったりとか目隠しくらいなら……」
「いや、やらねーからな」
「そうかい? 例えばこの胸が縛られることによってより強調されたり……」
胸だけは自信あるからね、この誘い文句ならどうだろうか。でもやっぱり渋い顔してるね。
「わふぅ、ダメか。新しい何かを発掘したと思ったんだけど」
「リルは俺にとって大切だからな。少しでも乱暴な行為をするのは嫌なんだ。知ってるだろ?」
「わっ……ふぇっ……!」
わ、私が間違っていたよ!
目が覚めた!
「わふぇ……ショー大好きだよぉ……」
「お、おう? じゃあやらないってことでいいんだな?」
「わふわふ」
わっふん、幸せ!
一生ショーについて行くよ。そう誓うのは何千回目かわかんないけどね、大好きだから。
あ、でも私が私を縛るのは問題ないな。……胸だけでも……どうだろ。




