第八百六十三話 ダーキニーと桜 (叶・桜)
「どうすれば……。とりあえず剣を取り出しておこう」
桜は自動迎撃するディアホーンを取り出し、空にはなった。桜の剣の技術だけ強くなる剣、それは敵と認識きたダーキニーに向かって飛んで行く。
<なっ……伝説級の武器か。めんどくさいな>
こうしている隙に桜はダーキニーについてトズマホで調べることにした。
<無駄に強い……所有者の強さに呼応する剣! 面倒な奴がいたものだ。かるく雌豚は切り刻んでやろうと思ったのに、SSSランクレベルの実力を持ち合わせて………あいつはなにをやっているんだ?>
普通の魔物なら速攻で切り刻まれてしまい、抗うことすらできない桜の飛んでいく剣。しかしさすがはSSSランクの亜種、それを両手に持った魔法の剣である程度のダメージを受けつつうまく致命傷は避けている。
一方で、引き続きダーキニーのことを検索する桜だったが、一向に見つからない。
それもそのはず、トズマホのアナズムに関する情報はメフィラド王国にあった何万冊もの本から得たもの。そこにない情報もあることがある。
特に魔物に関する万能ではなかったのだった。存在自体が珍しいSSSランクはなおさら。
<くそう、くそう! うっとおしい!>
「(見つからないなぁ……夜叉系のメスと魔物だったっけ? 何か共通点みたいなのとか弱点とかないかな?)」
そう考えた桜は、夜叉系最低ランクのヤシャ(Bランク)からメスを全て調べていった結果、ダーキニーの特徴と合致する魔物を発見。名前はラークシャーシ(Sランク)。
その概要は以下の通りだった。
・夜叉系の魔物のオスか人間の男性が近づくと、その存在に気がついた瞬間にその者の動きを止める。たとえ圧倒的格上だったとしても、最低1秒は止めてしまう。
・大抵の男は動きを止められると、ラークシャーシから一撃を受けるか、技を受けた者の強さに応じて変わる一定の時間がたたない限り動けない。
・女性はなんの影響もないため、もしラクシャーシ、あるいはその進化系と対峙すればよい。しかし明確に殺意を抱いて襲ってくるので注意が必要。また暴言を吐くが一々気にしてはならない。
・もし戦える女性がいない場合、停止を解除する方法がある。
「(これだ……!)」
桜は急いで、かつ食い入るように読み続けた。
・「魅惑の~」「魅力の~」「美しき~」など美しさに関連した称号を持つ女性が、術にかかっている者に対して興奮してしまうような行為をした場合、術が解ける。
故に恋人などが行うのが望ましいが、その場合は、付き合う上ですでにやったことがある行為だと効果が薄い。
過去に解除できた例として、キスをする、ハグをする、胸部と臀部を揉ませるなどをした模様。
「(つまり、かにゃたの術を解くには……。キスもダメで、ハグもダメで。何か目新しいことしなきゃならないってことよね? しかもSランクの劣化版でこうなんだから、SSSランクとなると相当なことしなきゃいけないはず……)」
叶とラーマ国王の顔を見た。2人は呼吸以外まともに動けていない。数秒だけ深呼吸すると桜は覚悟を決めた。
「まずはかにゃた……金縛り解く方法わかったから解くね。国王様はダーキニーを倒したら助けます」
当たり前だが誰も返事をしない。ダーキニーも今の言葉は聞こえていたが、剣が自分を倒しかねないほど手強いため手出しができない状態にあった。
ラーマ国王から自分の前面が死角になり、叶にははっきりと見える場所に桜は座り込む。
「は、恥ずかしいけど……これから解除するから」
「(あと30秒くらいで解けるんだけど……それを伝える術がないな。しかし恥ずかしいとは……?)」
「すー……はー……。んっ……!」
「ぶッ!?」
桜はうまく服をはだけさせ、ブラジャーですら取り去ってしまい、自分の胸をなんの障壁もない形でさらけ出した。
叶にとっては唐突に現れた愛する人の豊満な羞恥部位。
この時点で叶への術は解除されたが、それを知らない桜はこれで足りない(一度見られてしまった経験があるため)と考え、叶の突き出している方の手を取り、自分の胸へと持ってきて……つかませる。
「んぅ……」
「………ど」
突然胸を見せられて、例のように思考が硬直した叶は回避することができず、かなりしっかりと掴んでしまった。
今までは抱きつかれた時に肩や背中にのみ感じていた柔らかさ。それが、手という人間で最も感度が優れている部位に、生で、直接、感覚が流れてくる。
その結果。
「どっ…ぐふぁあああああああ!?」
「か、かにゃた? かにゃたああああああああ!!?」
前の旅行と比べても多いのではないかと思えるほどの鼻からの出血。
ラーマ国王には桜が何かして、叶が唐突に出血したようにしか見えないが、致死量にいたる可能性があるほど吹き出しているのはわかった。




