第八百四十八話 怒るわけじゃないけれど
「………ねぇ」
「どうしたんだあゆちゃん達。……まさか、また何かあったのか?」
地球での日曜日も終わり、1週間ぶりにアナズムに戻ってきたわけだけど……なんだかすごく長く感じた。
今、俺は何かあった時にすでに恒例になっている、魔神達の呼び出しを行なったの。
でも怒ってはいないよ。もう本人達も関与してないって前に説明されたからね。
今回は報告と質問をしにきたんだ。
ちなみに引き連れているのはカナタだけ。ショーは疲れているだろうし、ショーとリルちゃんの部屋でゆっくりとそのまま寝かせておいてあげている。
「うん、お察しの通りだよ」
「アーン、今度はどんなのに巻き込まれてちまったんダァ!?」
「今回ばかりは本当に危なかった。死者が出るかもしれない現場に居合わせたんだよ……俺が全部説明する」
「わかった、話せ」
叶は警察の人たちにも説明したように、丁寧に魔神達に詳細を話した。非常に驚いた顔でそれを聞いているところを見ると、どうやら本当に関与してないみたいだ。
「ハッハッハ! まさかド派手に隕石が落ちてくるタァなぁ!!」
「すまないが……我らが関係していることはありえない、とまず言っておこう」
「何となくそんな気はしてたよ。じゃあ、これは何なの?」
そう問うとシヴァは眉間にしわを作り、考え込んだ。
「わからないならいいんだよ」
「そうか。……本当にすまない」
「勇者よ………」
「あん? なに?」
「そ、そうあからさまに睨むな。そちらの世界の自然現象ってことはありえないのか?」
「にいちゃんはサマイエイルと口を聞きたく無いだろうから俺が代わりに言うけど、それはありえないよ」
「叶がそう言うのならそうなんだろうな。我もあの世界に何百年と居たわけだが、隕石が落ちるだなんてそうそうないことだとわかっている」
「……そうか」
あんなにちょうどよくすっぽりと……まるで狙って撃たれたかのような隕石だからね。
現場にいたら、事情を知ってる人ならば間違いなくアナズム関連の何かのせいだって思うに違いないよ。
「じゃあデイスさんはどうなの?」
「あの女がオレ様達の命令に背くことなありえネェ。もう活動しネェように言ってるから、活動しネェだろうヨォ」
「そこに関しては信用に値すると言っておこう、二人とも」
なるほどぉ……デイスって人が独断で何かしてるってわけでもないのか。魔神達の確信っぷりを見るとそう判断せざるを得ない。
「ふーむ……これからこんなことが続くの嫌だなぁ」
「心中お察しするぞ、あゆちゃん」
「今だってお地蔵様の頭があっち行ったりこっち行ったりしてるのに……」
「………おさまってないのか!?」
「うん」
あれ、隕石より驚いた顔してる。予想が外れたのが悔しいのかも、一応神様だしね。予想するのが神様としてのステータスだとかってあるかもしれないし。
「………そうか。ともかくこちらでも何かわかったら伝えよう。被害が大きくならないように、手が届く範囲で対処するのが良いだろう」
「うん、迷惑かけたね。じゃあまた何かあったら報告するよ」
「うむ」
そのうちシヴァだけ封印解いてあげて、俺のしっかりとした管理のもとで地球の異変を見てもらうのもいいかもしれない。言うこと聞いてくれるかなー? シヴァなら大丈夫のような気がするけど。
魔神達を封印している部屋から出て、俺とカナタは自分の恋人が待つ部屋へと戻った。
部屋に入るなり顔をパッと明るくしてミカが飛びついてくる。かわいい。
「なにかわかった?」
「残念ながら、ぜんぜんさ」
「そっか……。でも魔神にわからなかったらもう、私たちにあれが何かわかりっこないわよね?」
「だねぇ……今んところ」
隕石は死なないとわかってても結構怖かったから、もうあんなのごめんだし、さっさと解決したいんだけど。
この国の過去の文献になにかそれらしいのないかな?
元勇者のヘレルさんに聞いてみるのもいいかもしれない。同じようなことが続くなら、忙しいかもしれないけど、光夫さんに何か知ったことはないかメールするのもアリだ。
「さ、難しいことは後にして! とりあえず朝ごはん食べよ! それともエッチなことする?」
「朝ごはん、朝ごはん」
「えへへ、わかった」
朝っぱらから直球でそんなこと言ってきたってことは、おそらく今日はそう言う日なんだろう。
覚悟しておいたほうがいいね。
まー、それも仕方ないといえば仕方ない。地球での最後の日曜日はフルタイムでまともに遊ぶことできなかったし。ショーの親父さんと天才である我が弟のおかげで普通の事情聴取よりかなり早く帰れたらしいけどさ。
学生にとって、日曜日が潰れちゃうのが一番痛いよ。
それに学校で何か言われるだろうなぁ。
「有夢ぅ、みてみて!」
「お、ハートだね」
「これは私と愛を具現化したもの…!」
「そっかそっか」
美花が朝ごはんにする予定のホットケーキを焼きながら惚気てくる。
うん、こっちの世界は至って平和だね。




