第八百四十四話 豪華隕石
「隕石か何か落ちて来てるの!?」
「おい、近くないか?」
確かにこのままだと近いところに落ちるだろう……いや、叶の顔が青ざめてる。これはもしや。
「ね、叶。まさか……」
「そ、そのまさかだ! 皆さん……落ち着いて聞いてください……!」
うわ……なんてことだろう。なんでこんなことが起こるんだ? これもシヴァの仲間だっていうデイスって人の仕業か? なんにせよ、今までの中でダントツでやばいことは確かだ。
「え、な、なに!?」
「なんだね叶君!!」
「いま計算してみたところ……あの隕石、ピンポイントでここに来ます」
叶がメッセージで計算式を送ってくる。よくもまあこんな短時間でここまで算出できたものだ。やばい。
普通の人がそういったところで信じないでしょう。でも、叶の(今より伸びる前の)IQはテレビで公開されている。その時にもすでに200は超えていた。
IQ200の大天才が計算し、ここに隕石が落ちてくるという。その信頼度は絶大なんじゃないかな。
「ま、まさかまさかまさか!」
「うっそだロォォォォォォ!!?」
そう、案の定パニックになる。
ちなみに俺たち7人のうちアナズムの住人である6人は隕石が当たった程度では死なないため、内心落ち着いている。佐奈田は顔を真っ青にしてるけどね。
我先に逃げ出そうと、人の大群が動き出してしまう……その前に、叶は大声を張り上げた。
「やっぱりこうなるか……皆さん落ち着いて! 落ち着いてください!」
しかしその程度じゃまだパニックはおさまらない。
パニックになってない叶がメッセージでなだめるのを協力するようにお願いしてきたため、俺たちも頑張って声を張り上げ、落ち着くように促した。
数人何処か行ってしまったが、それでも9割くらいはなんとか落ち着いてくれる。
まあ、実はいま即興で無理やり人の気持ちを落ち着かせるお香を作ったんだけどね。
あるいは、もしかしたら俺たちが落ち着き払ってるのをみて大したことないと思った人もいるんとおもう。
「数人逃げましたが……とりあえず、みなさんそのまま落ち着いてください。お願いします、俺たちの指示に従ってください」
「はぁはぁ……IQ200以上ある君ならなんとかしてくれるのだろう……はぁ……よし、聞こうじゃないかみんな」
一人の年配の人がそういうと、皆頷いてくれる。その様子をみた叶はホッと安心したように息を吐き、どうすれば助かるかを述べ始めた。
というかまたまたこんな短時間で考察できたのか。我が弟ながらものすごい、化け物じみてる。
叶が手早く話すことには、どうやら俺たちがいるより後ろの道を真ん中を開けてまっすぐ進めばいいらしい。
衝撃波とかも含めた上での考えだ。
「では、速やかに移動しましょう。決して慌ててはダメです……!」
一応、探知で叶が予測する直接的被害の範囲内に人がいないかどうかをみてみたけど、ほぼみんなが俺たち見たさにここに集まってる状態で、この階層にはほかにいない。
さっき逃げた人も別の場所まで行ってしまったようだ。
隕石といっても叶の計算によると規模は小さいようで、大きな被害はこの階層に止まるらしい。しかし衝撃波などでこのテレビ局のあちこちがめちゃくちゃになるんだとか。つまり隕石が直接くることにより、人命に関わるようなことになるのはこの階層だけ。
「この道をまっすぐ! 慌てずに走ってください!」
叶と桜ちゃんが先導し、俺たち4人で後ろを守る。
叶には物が飛んでいた時にガードするように頼まれた。無論、超人であることは気がつかれないようにね。
【いつ隕石落ちてきそう?】
【あと43.2秒後】
【わふん、おっけー!】
【任せろ……!】
43……42……心の準備をしておく。俺たちはともかく、この芸能人の方々誰一人として怪我させるわけにはいかない。
「ね、ねぇ!」
「どうした佐奈田」
「なんでっ……えっと、なんでそんなに落ち着いてるの!? 唐突すぎて頭追いついてないんだけど……えーっと……とりあえず隕石がおちてくるんでいいんだよね!?」
「そうだな。まあ叶君のいう通りにすりゃーなんとかなるぜ」
「えへへ、今までたくさん事件に巻き込まれてきたからね! こういうことに対する適応力はたかいのさ!」
「えええええ!? 事件に巻き込まれやすいのは知ってるけど、ここまで慣れてるなんて初耳なんですけどーーっ!」
あと10秒か。
俺たち4人は一斉にゾーン状態になり、ステータスをフル発動させた。ガラス一面の窓に岩石が広がっている。
隕石衝突の瞬間って、こんな感じなんだね。
あとは一人一人にバリアを発するアイテムを持たせて、時がくればそれを四人同時に発動するだけにしておく。
……5、4、3、2、1……0。
隕石がテレビ局に突っ込んでくる。
同時に俺たちはバリアを張り、飛んでくるガラス片や岩の破片、植木鉢や机や椅子から後ろにいる人たちを守った。速攻で作った割にはしっかり防げたよ、このバリア。




