第七百三話 街の飾り付け
「楽しかったです!」
「そりゃ、良かった」
リルちゃん達4人を送りだす。
と言ってもそのうち3人はお隣さんであるお城に、もう1人もかなり近くに住んでるんだけど。
「そうだ、お父様から企画書はDが良いとメッセージが来ました。もう町中の家屋に飾り付けの許可を得たそうです」
「おお、はやいねぇ」
みんなが遊びに来た2日目の昼、やはり物事は早く進めたほうがいいという話になって、俺がお城に行って国王様に説明をした。
お返事はカルアちゃんか俺かミカにください、と言っておいたの。
そのお返事が来たわけだね。
なるほど、A~Hまで用意したうちのDを選んだか。イルミネーションをふんだんに使ったやつだね。
普通に人がやったら飾り付けが大変だけど、俺がやったら飾り付けなんて一瞬で終わる。
「と、いうわけで楽しみにしてますね、お祭り!」
「うん、楽しみにしててよ」
「私もルインと一緒に回るんだー」
「わ、私だってオルゴと一緒に…えへへ」
「わふわふ…私はショーとだね」
「……カナタと」
それぞれ想いの人と回ることを宣言してる。
……恋人がいないカルアちゃんとローズは…?
「………みんな恋人がいていいな。我は…」
「お暇が出来たら一緒にまわりましょうか、ローズちゃん」
「う、うん!」
なるほど、良かった。
かく言う俺もパレードが始まるまでの間はミカとまわる。ふふふ、楽しみだなぁ。
「それでは、また数日後!」
「じゃぁね!」
4人とも帰って行ってしまった。
ちょっと寂しい気もする。まあ、どうせまた来月に遊びにくるでしょう。
「わふー! 楽しかった!」
「お姉ちゃん達、友だち多いね、やっぱり」
「人付き合いは大切だからね」
リルちゃんとサクラちゃんもそれぞれ、ショーやカナタとの相部屋に戻っていった。
俺とミカも自室に帰る。
「さて、ひと息ついたら、俺はさっそく飾り付けに行ってるよ」
「手伝おうか?」
「一瞬で終わるから大丈夫だよ」
何せ空中にたかーくたかーく登って、そこから街にむけてダークマターを使えば全体を装飾できちゃうんだ。
取り外しもしかり。
国王様に直接報告に行った時に聞いた話、毎年大掛かりらしいからね。本当に助かったって言ってたよ。そのぶん、街の整備に人員をさけるって。
む…なんか便利屋さんとして良いように使われてる感じがしなくもないけど、ま、別に暇だし問題ないね。
「じゃあ、すぐ終わらせてさ、イチャイチャしよ? イチャイチャ」
「うん、そうだね。……じゃあ行ってくるよ」
俺は屋敷を出て、空に飛び上がった。
空中から拡声器を使って、みんなに呼びかける。
【今から、アリム・ナリウェイこと、ボクがお祭りのための飾り付けをしまーす! 一瞬なので安心してください!】
『おお、天使! いや、アリムちゃんの声だ!』
『昨日、王様から通達があったアレか…』
『一瞬? 相変わらずすごいな…』
『上から話してるの? パンツ見えないかな…』
お、ちゃんと俺の声も国王様の通達もしっかり行き届いてるみたいだね。
じゃあ張り切って飾り付けしちゃおうね。
あと今日は長ズボンだからパンツは見えないね。可愛い女の子のパンツを見たい気持ちはわかるけど、その対象にされるのは複雑だよ。
もうイメージは頭の中で出来上がっている。指輪をパチリと鳴らして……はい終了。
この街の建物という建物にイルミネーションの装飾が施されたよ。夜になったら自然発行するし、周りの人が迷惑だと思えばその気持ちを感じ取って勝手に消えてくれる。
我ながらまた便利なものを作ったね。
【これで終わりでーす! 夜やお祭り当日になったらそれらは光りますので! それじゃあ、お邪魔しましたー】
『アリムちゃん、アリムちゃん行っちゃう!』
『チッ…ズボンか…』
俺は屋敷に入り、自室に戻る。
「ね、すぐ終わったでしょ?」
「うん、だいたい5分くらいね。当日のための仕込みとかはいいの?」
「すでにアイテムは出来上がってるから問題ないよ」
「そっか!」
ミカがぎゅーっと抱きついてきた。
誰かが遊びにきたら抑えてるからね、いつも。
「よしよし」
「えへへー、みんなが彼氏自慢してるなか、私だけ彼氏いるのに自慢できなかったの辛かったんだからねー」
「いやぁ…趣味に付き合わせてごめんね、いつも」
そう、そしてそのせいで同性が好きだという勘違いされてるのもね。
「いいわよ。その趣味だって私があなたに女装させまくったのが一因でもあるわけだし」
「今も筋トレは許してくれないものね」
「うん」
俺とミカはいつも通りひたすらイチャイチャした。
…さて、お祭りまであと少し。
小さなお祭りは今までそれなりにあったけど、一年で1番大きいらしいお祭りは、どんな風なのかな。




