第四百十三話 国王様達に説明
「よく来たな、アリムとミカ。そして賢者達とその仲間よ」
玉座の間。
中央の玉座に座っているのはもちろん国王様。
その右隣には王妃様で、左隣には第一王子のティールさん。
その近くにルインさんとカルアちゃんが立っていて、壁際にはオルゴさん、ミュリさん、リロさん、そしてミュリさんのお父さんの大司教さん。
うわー、みんな真剣な顔してる。
って思ってたけど、国王様自身が一瞬にやけたから、きっとすぐにこの空気も崩れるでしょう。
それに、護衛の兵士とかも誰も置いてないし、本当に俺に関係のある人だけここに居るみたいだ。
「我はメフィラド王国国王、ケルム・メフィラドだ。此度は貴殿らの招きへの応じ、誠に感謝している」
国王様が立ち上がり、杖を掲げながらそう言った。
うーん、貫禄あるなぁ。
「して、賢者達よ。名を名乗ってもらえぬか?」
やはりというべきか、一番最初にカナタが前に出た。
「お初に目にかかります、国王様。私は賢者としてこの世界に召喚されました、カナタと申します」
なぜかめちゃくちゃ慣れた様子で腰を折るカナタ。
一体、そんな立派な礼儀作法をどこで学んだというのか。
「わ…私はサクラと申します」
「ショーです」
「わ…わ…り、リルです!」
3人続けてそう自己紹介するけど…。
うん、やっぱり一番良かったのはカナタだな。
「ふむ。……して、賢者らはこの国に居たいとのことなのだが……」
「はい、多々事情がありまして」
「うむ、この国にとどまるという要請は、そこの勇者であるアリム・ナリウェイに聞いている。……交渉を重ねた結果、向こうの国は賢者らを手放すそうだ。いや、もはやそのように話は決まっていると聞いた。よって、この国には好きなだけ滞在するが良い」
「…ありがとうございます!」
カナタが嬉しそうな顔で頭を下げる。
慌てて残り3人もそれにならって頭を下げた。
きっと国王様はカナタからの株が上がっただろうね、あいつ、良くしてくれた人には評価を上げるから…。
「さて。今日、我々が賢者である貴殿らと勇者であるアリム、そしてミカを呼んだのは他でもない、お主らはどいう関係なんだ? いや、なんか、私とアリムが話してる最中に賢者らの話をしたら、血相変えて出て言ったからな、気になってしまって気になってしまって」
ニコリと笑う国王様。
この場の空気が崩れて、いつもの調子に戻った。
あまりの空気の変わりようにリルちゃんとサクラちゃんはギョッとしてるけど、この人はこんな感じなんだ。
「国王様、それはボクから話しますよ!」
「うむ、そうしてくれるとありがたい。……立ったままじゃつらかろう? 話しやすい部屋に移動するぞ」
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俺とミカが別の世界から来たということ(勿論、前の世界でも女ということに)。
そして、俺とカナタ、ミカとサクラちゃんが兄弟であり、ショーは親友であるということ。
リルちゃんにした説明とほぼ同じ内容のものを、国王様達に説明した。
驚愕というべき表情を、事情を知っていた人達以外は全員浮かべてる。
「ふむ…にわかには信じ難いが……」
国王様が髭を撫でながら、間を置きつつそう言う。
一方、カルアちゃんは思い当たる節があるのか勢いよく、それも興奮気味に立ち上がった。
「そういえば…そうです! だってほらこの間、オスシという料理を食べさせてくれたじゃないですか。あれって、アリムちゃんたちの世界の料理だったんですよね?」
「ああ…あれね! なるほど」
リロさんも思い出したのか、カルアちゃんに賛同した。
「うん、その通りだよ! その…今まで隠しててごめんなさい、記憶喪失じゃなくて…」
そう謝ると、国王様は手を挙げた。
どうやら謝る必要がないということらしい。
「ふむ、まあ本来なら信じられないような内容だ。記憶喪失だということにするのはベストだったと言える。それにしても」
国王様はカナタとサクラを見てから、話し続ける。
「歳まで違うとは。聞いてる限りではこちらの世界の方が進みがゆっくりのようだな」
お、国王様鋭い!
話したことだけでこっちと向こうの時間の流れが違うことを察してしまったみたい。
「……しかし、なぜアリムとミカはこの世界にこれたのだ? 故郷である世界で死んだとはきいたが、わからんな。弟と妹、そして親友である彼らは賢者として来たのだから理解できるが……」
「それも私達にはわかんないんです。神様とかいう方からは、情けだとしか説明されてないので…」
ミカが追ってそう答える。
本当によくわかんなんだよね、こればっかりは。
目的とかあるのかしらん?
なかったとしても、なんで俺とミカと…もう一人だけ?
「それにしても近親者ばかりが別世界で再会するなんて、奇跡に近いですわね!」
「ああ、本当にそうだとしか言いようがない。これが神のお導きというものなのか…!」
カルナ王妃様とクリスさんは目を輝かせていた。
とくにクリスさんなんて大司教様だからね、奇跡なんて言葉には弱いところがあるかも。
これは独断と偏見だけど。
「………ということはアリムちゃん、やっぱりピピー村のダンジョンを攻略したのはアリムちゃんだったのかい?」
ふむ、それはきになるところでしょう。
なんせ初めて会った場所がそこなんだから。
「ええ、そうですよ! 攻略するのに1週間くらい掛かったんです」
そう答えると、ルインさんが驚いたような表情をしてくれた。
「レベル1からあの森で過ごして、ダンジョンを攻略したのか!? すごいなアリムちゃんは…」
「お兄様、賢者様は最初から不思議な力を授けられるといいます。きっと別世界から来たアリムちゃんとミカちゃんも同じだったのかと」
「たしかに…そうすれば、全ての辻褄があうな…!」
みんなが好き勝手に考察してくれてるけど、俺とミカがもらったのは会話と読み書きができるようになるだけのことなんだよね。
……まあ、めんどくさいからそういうことにしておこう。




