第三百七十九話 スルトルの雑話
「ん……? どゆこと?」
血筋に何かあった……? ああ、そういえばサマイエイルもメフィラドの血筋がどーだのと言ってたよね。
『ああ? テメェ、サマイエイル滅したくせに知らネェのかよ? ……ッて、あいつは喋らネェ方だッたな。どうせなんか訊いても「忘れた」か「知らない」ぐらいしか敵には答えネェやつだッたわ』
……そっちの方が本当なんじゃ…?
まあいい、なんかスルトルが色々言おうとしてるから、聞いてあげようかなー…。
「え! 兄ちゃん、もう一柱魔神を倒したの!?」
「あ…あれ、言わなかったっけ?」
「いや…なんかそれっぽいこと言ってたような気がしなくもないけど…」
ああ、そうか。
スルトルが勇者だのサマイエイルだの言ってたから気づいてるかと思ったけど、そうはならないか。
「うん。実は悪魔神サマイエイルってのを封印した後に滅したんだよ」
「そ、そうなんだ…じゃあこれで二柱目なの? あゆにぃ」
「そうなるよ。だから援軍として来たんだ」
よく考えたらこれってすごい偉業じゃね?
まあ、そんなことどうでもいいからミカとゆっくり過ごす時間がたっぷり欲しいんだけど。
『なあ、話を続けていいか?』
「あ、うん。いいよ」
なんだこいつ、そんなに喋りたいのかな?
『二柱もヤッておいて、何も知らないッてのは歯がゆいだろ? だからこのオレ様がある程度は教えてやるよ。強者には敬意を払うんだ、オレ様は』
「そ…そうなんだ。それで?」
そんなことはないけど、教えてくれるものは聞いておいた方がいいかな。
ミカ達にも、口に指を当てて、シーッてやって、あまり喋らないように注意をする。
『いいか? まず三柱の魔神。つまりオレ様らを滅ぼすのにそれぞれ賢者、勇者、導者といッた者が居るッてのは知ッてるな?』
「うん」
まあ、俺はそれのどれにも該当しないんですけどね。
『んで、賢者を呼び出すのはセッグライ家。勇者を見つけ出すのがメフィラド家。導者を任命するのがルイジュ家だ。……賢者や勇者供は確かにオレ様達を封印、あるいは滅することができる脅威だ。だが、本当に恐れてるのはそっちじゃネェ』
んあ? どうゆうことだろうか。
叶ならわかるかな?
と、思って叶の方を向いて目で答えを訴えてみる。
「……つまり、その勇者や賢者、導者を見つけたり呼び出したりする、その家の方が脅威ってことでしょ?」
『そういうことだ』
そうか、確かにそのメフィラド家やセッグライ家が脅威なのは納得できた。例えば強い魔物が居たとして、その魔物を何年かに一回でも生み出したりできる何かがあったとしたら、絶対後者の方が厄介だものね。
「あれ、でも」
と、桜ちゃんが呟く。
「スルトルはセッグライ家を滅ぼしたから次はメフィラド家を…とか言ってたよね? 私達賢者がスルトルにとっては敵で、それを呼び出すセッグライ家の人達が脅威だから滅ぼす…っていうのは道理には適ってるけど……勇者の方のメフィラド家を滅ぼそうとしたのはなんで?」
そんか桜ちゃんの疑問。
それはかなり重要な核心をついてしまっていたのか、スルトルは黙り込んでしまった。
「色々な方法で強制的に吐かせてもいいんだけど」
『チッ…それはだな』
脅してみるとスルトルは口を割った。
槍の中に封じ込められてるから、口なんて無いんだけど。
『一応オレ様達にもそれなりの仲間意識はあるからな。仲間を倒した、あるいは仲間の脅威になりうる敵を滅ぼそうとするのは当たり前だろ? それに勇者や賢者、導者は該当以外の魔神にとっても十分脅威なんだぜ? 例えば今回みたいに…勇者である者が賢者の手助けをするなんてことは十分あり得て_____』
「でも俺、勇者じゃないよ?」
そんな真実を告げてみる。
叶と桜ちゃんは驚いた表情でこちらを見た。
「それって…どういう…」
「いやぁ、なんかね? 今回、俺、グングニルとか簡単に作ったじゃない? もちろん、勇者の剣も簡単に作れるんだよ。……作った本人だから勇者の剣を操れてさ。勇者でもないのに魔神を倒しちゃったってわけ」
「お兄ちゃんは、流石と言うべきか…やっぱりお兄ちゃんだね…」
ふふふふん!
叶から褒められちゃった。
一方スルトルはまただんまり。表情とか見えないから何考えてるかわかんないけど。
『…ヒャハ、そんなこともあるんだな』
数秒経って、やっと再び話し始めた。
ヤッパリ俺って、凄かったんだ。イレギュラーなんだね!
「あるみたいだね!」
『ヒャハハ…そうか。なるほどな、ウン。ジャああとは……何かモヤモヤを抱えてることはネェか? あいつが…ショーが起きるまでなら答えてやるよ』
そう、スルトルは言った。
うーん…俺が今、知りたいことといったら……。
そうだ、転生についてだ。
スルトルが神具級のアイテムや転生について、どうして知ってるかを訊かなきゃ。
「どうして転生とか…神具級について知ってるの? 他のみんなは誰も知らないのに」
『はァ…おいおい、魔神も神の仲間だッて戦ってる最中に言わなかったか? この世界にある物は大抵知ッてるッての』
そんなこと言ってたっけ? ともかく戦闘中にそんなこと言われても覚えてるはずないし。
「覚えてない」
『そうか。……質問はそれで終わりか?』
「んー…みんなはある?」
特にミカはあるかもしれないと考えて振って見たけれど、全員、首を横に振った。
これと言ってないみたい。
「もうないみたい」
『ヒャハ! …ドのみちもう終わりだ。ほれ、賢者様が起きたぜ?』
スルトルが言ったことを確認するために、俺ら4人は翔の方を見る。
本当だった。
「うっ…」
翔は目を閉じたまま顔をしかめ、辛そうに身悶えた後に、身体を横に倒した。
放り出された、筋肉がうまい具合についた腕の先、太くてゴツゴツした手の指がピクリと動く。
「翔っ!!」
俺は翔の方を掴み、揺さぶってみる。
俺の親友が、ゆっくりと目を開けた。




