第三百三十二話 魔核提出4日後 (翔)
「わふわふ、えへへ」
俺の隣でリルが満足気な顔をしながら眠っている。
魔核を提出しながら、4日が経った。
まだ連絡がこねーけど、そろそろ来るんじゃないかと思う。
リルが起きないように、静かにベットから出て、シャワー浴びて服を着て、朝ごはんの用意をする。
その用意をしてる間に、リルは起きてきた。
「わっふ! おはよう、ショー」
「ああ、おはよう。朝飯の前にシャワー浴びてこいよ」
「ん……一緒に入らない?」
「もう入った」
「わふぅ…」
リルが風呂場から出てくるのと同時に、飯は作り終わり、それを食べた。
「今日はどうするんだい?」
「やっぱり、ギルドマスターからの連絡待ちだな」
「そっか。じゃあデートだね!」
「………だな」
食べ終わり、すぐに支度をする。
最近毎日外出してるおかげか、デートにもだんだんと慣れてきた。
「さあ、行こうか!」
赤い頭巾の紐を軽く締めてから、リルは俺に手を差し伸べる。握ってほしいらしいから、その手を掴んで握手する。
手を掴んだまま、俺達はその部屋から外に出た。
その瞬間、頭の中にメッセージが送られてくる。
【君達が城に行く日が決まった。ギルドで待ってる】
そうか、やっとか。
俺とリルはそのままデートでなく、ギルドへと向かった。
リルはあからさまに不機嫌そうに、しかめっつらをしている。
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「明々後日に決まったよ」
ギルドについた俺たちに、ギルドマスターはそう言った。魔核を提出してから丁度1週間後ってこったな。
「とくに問題とかもない。普通に行くといい。門の前でギルドカードを見せれば、城の中に入れてくれるさ」
「あ、わかりました。ありがとうございます」
「わふ、ありがとうございます」
これで主な要件は終わりらしい。
あとは、城に行くについての態度などのルールを教えてもらった。
「じゃあ、気をつけて行くんだよ」
「はい」
俺とリルはギルドを出る。
んで、一旦部屋に戻り、俺はリルをそのまま部屋に待機させて、叶君と桜ちゃんの部屋の戸をノックする。
叶君が出てきた。
「はい…あ、翔さん!」
「おう。俺達が城に行く日が決まった。明々後日だ」
「んと…わかりました、明々後日ですね」
「ああ」
よし、これで良いだろう。
あとは3日過ぎるのを待つだけだ。
………実は俺、ちょっと、叶君に訊いてみたい事がある。
「なあ、叶君、桜ちゃん」
「どうかしました?」
「あ…いや、あのな、デートする時って何してる?」
二人はぽかんとした顔で俺を見た後、互いに顔を見合わせた。そんな顔で見るんじゃねぇよ。やめてくれ。
恥ずかしいんだ。
「あのよ…ちょっと参考にしたくてよ…」
「リルって人とのデートですか」
「お…おう…」
「桜、何してたっけ?」
「一緒にスイーツ食べに行ったじゃない」
「まあ、確かに」
なるほど、なるほど、スイーツを食べにな…。
つーかあれだ、桜ちゃんに、女の子としてしてもらったら喜ぶことを聞きゃーいいんだよな?
「なあ、なら桜ちゃんが叶君にしてもらって嬉しいことってなんだ?」
「へ? あ…えーっと、叶が一緒に居てくれれば__あーって、今の嘘! あ、嘘じゃなくて…今の無しで! 無しで! ……きゃーっ…」
桜ちゃんは部屋の奥に逃げて行ってしまった。
叶君はそれを聞いて顔を赤くする。
俺か? 俺はニヤニヤしてるぞ。
………昔の有夢と美花を見てるみてーだな……。
「あ…あの、ごめんなさい」
「ああ、いいんだよ。変なこと訊いてわるかった。じゃあな。ははは、上手くやれよぉ」
「は…はぃ…」
と、こんな感じで一言からかってから、俺はその場を去った。そして、部屋に待たせたリルを迎えに行く。
「リル、用事は終わったぞ。どっか行くか?」
「わふ。そうするよ」
リルは嬉しそうに尻尾を振りながら、俺の元まで来る。
可愛い。
今度は俺から手を差し出してみた。
「わふ?」
「ほら、手、繋がなくていいのか?」
「わふぅっ!!」
リルは俺の手を強く掴んだ。
それはそれは嬉しそうに。
……リル、俺と居て楽しいんだろうか。これを見てる限りは楽しそうだな。
叶君と桜ちゃんみてーに、居るだけで幸せな存在だったりするんだろうかな。
俺にとってリルはどうだろう。
そうだな、仮に…リルが城に行って酷い目にあったら俺はどうする?
「わふ? ショー、どうしたんだい? 難しい顔してるね」
「ん…? ああいや、ちょっと考え事してただけだよ」
そう言いつつ、リルの頭を撫でてみる。
「わふ~っ。ショー、好きだよ」
「そうか…俺もだ」
「えへへへ」
その日、1日中、デートは楽しめた。




