第三百六話 ダンジョンから街へ (叶・桜)
「さて…今日の分は終わり!」
サクラとカナタが昼食をとってから30分後、カナタは昨日の活動を終えることを宣言した。
「お疲れ様。今日は6回転生したね」
「うん。明日も6回だ。その後、ボスを倒したら合わせて15回の転生になる。はぁ……疲れた。48回も同じ場所、ぐるぐると周るの本当にキツイ…。ゲームならまだ楽なんだけど…」
「たしかにね。で、やっぱりポイントの割り振りはボスを倒してから?」
「まあね」
ところで、と、カナタは話題を変えた。
「今日はケーキ屋行く?」
「えっ!? いいの! やったあ!」
「よし…じゃあ行こうか。あ…でも悪いんだけど先に昨日の鍛冶屋に寄らせて欲しい」
カナタはサクラが見たこともないマジックバックから、淡い水色に発光している金属を取り出しながらそう言った。
「なにこれ……そのバックも」
「バックはさっき、宝箱から出てきた。アイテムが無限に入るんだって! ハイこれ、桜の分」
そう言ってカナタはサクラに、自分のマジックバックと同タイプで色違い(白色)のものを渡した。
「はぁっ!? そんなお宝が手に入ったの!?」
「うん。あと、この石なんだけど……オリハルコン…わかる?」
「えっ!? オリハルコンっ!?」
サクラは驚いてばかりいる。
オリハルコンの話はデイスから二人とも聞いている。この世界でもっとも高価で効果が高く、優れている鉱物だということ。
「これ手に入れちゃったからね……。あのミスリルの剣の代わりに使ってもらえないかどうか…」
「はぁ…超伝説ってのはすごいの手に入るのね」
「まあ、確率で伝説でもこのくらいのモノが手に入るっぽいけどね。運が悪かったのかな? ……というわけ! あ、これもあげる」
カナタはサクラにペンと紙を渡した。
どこかこの二つは高級感溢れている。
「なにこれ…?」
「国宝級の紙とペンだよ。伝説級の布巾と一緒に入ってた。説明は自分で見てね」
「あ…う、うん」
サクラはその二つを鑑定してみた。
一方は、インクが無限に出て、濃さや細さを自由に調節でき、魔力を当てれば消すこともできるペンと、破れば無限に生えてきて、耐水性は完璧で、紙質は最高、それで魔力を当てれば好きな大きさにできる紙だった。
なお、伝説級の布巾は魔力を当てれば好きな大きさにでき、その布巾自体汚れることなく、この布巾が触れたアイテム(モノ)は全て状態が最良になるというマジックアイテムであった。
「いいわねこれ…。あ…ありがと叶! あと悪いんだけど、あとで買いたいものあるからお金、少し貰えないかな?」
と、サクラは感謝しながらも申し訳なさそうにお願いをし始める。
ローキスから渡されたものの中に、必要な日用品の一つが足りなかったのだ。
「いいけどいくら?」
「この世界の相場がわかんないけど、日本だったら200円くらいだったっけ?」
「ん…? んー、わかった。じゃあ俺が鍛冶屋のおじさんと交渉してる間に探して買ってきたら? 集合は…2時30分に昨日のケーキ屋さんの前で」
「ごめんね。ありがと」
カナタはサクラに、今後、自由に使える分のお金として15000ベルを渡してから、手を握って鍛冶屋へ行った。
その場でサクラと別れ、カナタは鍛冶屋の中に入っていく。
鍛冶屋は客が入ってので、作業の手を止め、受付へと来た。
「らっしゃい…。あれ、昨日の坊主か? まだ槍と剣はできてねーぞ?」
「そうなんですか。今、どのくらいの段階ですか?」
これは聞く必要があった。
すでにミスリルを加工してしまったのならオリハルコンを渡すわけにはいかないからだ。
「あーっと、設計図描いて…エンチャント用紙を買ってきて…ミルメコレオを砕いたり…って感じの下準備かね。今から柄を作り始めるところだわな」
「は…早いですね…! よかった、でも間に合った」
カナタはホッと胸を撫で下ろした。
「ん…? どうしたんだ?」
「あ…いやその、ミスリルより良い鉱石が手に入ったもので、武器を作っていただけるならそっちの方が良いと……」
「おっ! おおっ! なんでい、アルティメタルかい…! まさかオリハルコンなんて…」
「はい、そのオリハルコンなんです」
鍛冶屋はガタリと大きな音を立てて机を叩いた。
カナタは少しビクッとする。
「オリハルコンか…! そいつはいい! わかった、ミスリルの代わりにオリハルコンを使おう!」
「ありがとうございます!」
「オリハルコンを加工するにゃ追加料金が必要だが……あのミスリルをそのままくれるってんならそれは無しだ」
「はい、ではそれで…あ、あとそれと」
カナタは今度はオリハルコン同様にダンジョンで手に入れたSランクの魔核を4つやSランクの魔物の素材などを取り出し、カウンターの台に置いた。
「魔核はエンチャントや武器の補強に使えると聞いたのですが…それと、Sランクの魔物の素材も手に入れることができたんですよ…使っていただけませんか?」
「お、おうおう! わかった良いぜ! ……しかし1日、さらにかかっちまうが…良いか?」
「ええ、大丈夫です」
「よしわかった! 腕によりをかけて最高の剣と槍を作ってやる。しっかしこんなのホイホイ用意できるなんて、坊主は只者じゃないだな、やっぱり。オリハルコンやらSランクの魔物や魔核やら………」
カナタは頭を下げながら、その鍛冶屋を出た。
時計を見ると2時10分。カナタは歩いてケーキ屋まで向かった。
カナタがケーキ屋に着くと同時にサクラもケーキ屋に着き、二人は店の中に入り、甘味を楽しんだ。




