そういうところも、
「……んふふ、いい匂いするぅ」
「良かったねぇ」
今週は地球に居た。
そんなある日の学校終わり、有夢の部屋で。
私達はベッドの上で二人、寝巻き姿で抱きあって横になっていた。私はもちろん有夢を抱き枕の如く、強く抱きしめる。
有夢はそんは私を優しく抱き返しながら、背中と頭のどちらかを時折、ポンポンと撫でた。
今、この部屋はカーテンを閉め切っており、部屋の明かりもつけていない。
夕暮れの赤い光がカーテン越しに部屋を照らし、ノスタルジックと言うべき雰囲気を醸し出していた。
有夢は今日、訳あって、もうこのまま寝てしまうつもりだ。
ただ、私の人生の楽しみは有夢と居ること。
それをよーく理解している有夢は、こうして私も一緒に眠るという選択をしてくれた。
もっとも、私は夕飯時になったら家に戻るんだけど。
それまでの一・二時間、こうしていられる。それがとてつもなく幸せだった。
それはそうと。
「……でー、寝なくていいの?」
「んー、へへ。ね、ねるよぉ、ちゃんと」
そのクリっとした目を泳がせる。
ふふふ、私はわかっているのですよ。有夢は、寝ると言いつつも私の顔に見惚れていることは。
可愛いやつめ。
とはいえ、有夢の健康を考えたら寝た方がいいのは確か。ここは未来の妻として、ちゃんと寝るように促してあげよう。
「今から寝るのってあれでしょ? 深夜にゲームするためでしょ? ドラグナーストーリー4の追加コンテンツ、0時に配信なんだよね」
「ギクっ」
これ実際、口に出して言ってる。あざとい。
しかし顔が美少女なので許される。私だって有夢のその顔にくびったけなんだ。
「私に見惚れてていいのー? ダウンロードしてすぐから、ずっとやり続けるつもりなんでしょ?」
「でもほら、美花と一緒の時間も俺には必要だしっ!」
少し照れた様子を見せながら、そんなことを言う。
付き合い始めてから、有夢は私への好意を隠さない。そういうところも、本当に大好き。
ただその分、有夢は私と付き合い始めてから、昔と比べてはっきりとゲームを控えるようになった。
まあそりゃあ、付き合う前、一度生き別れになった原因がゲームが楽しみすぎることによる頭上の不注意なんだから、仕方ないかもだけど。
でも私は、有夢の全てが好き。
私がより多くの時間甘えたいがために、ゲームを控えてるこの現状を受けいれてしまっているけれど……。
私は無我夢中に、楽しそうにゲームをする有夢の、そんなところも含めて全部を好きになったんだ。だから。
「ほらほらぁ。私の顔なんていつでも、好きなだけ見せてあげるから。新しくゲームを買う時のワクワクはその時しかあじわえないんでしょ? 存分に楽しむためにも、今は寝なきゃ」
「えー、わかる?」
「何年一緒にいると思ってるのさ」
「へへ、だよね」
そう言うと、有夢の私を抱きしめる力が強くなり、体勢も少し持ち上げられ、私が有夢に軽く覆い被さる形になる。
こうすることで、お互いに顔が見辛くなるって寸法でしょう。なかなかいい作戦だと思う。
それから実際に数分後、有夢は寝息を立て始めた。
ふむ。これできっと明日は、ゲームを楽しんでツヤっツヤの状態の有夢を拝めることでしょう。
満面の笑みで、興奮気味に、楽しかったことを私に伝えてくれるんだ。
そして私はそれを聞いて、同じように笑顔になれる。
だから明日はきっと、いい日になるのは間違いない。
2026年、あけましておめでとうございます。
Ss侍です。
実は毎年、年明けネタ一本でやるのがキツくなってきたので、今後はこのような話を書かせていただこうと思います。
ところで、本作はアルファポリスさんに2015年の11月頃に初投稿しましたので(なろうさんには16年の一月、カクヨムさんには二月。アルファポリスさんは書籍化の際削除済)、十周年を迎えたことになります。
十年間もの長い間お付き合いいただき、誠にありがとうございます。
支えてくださった皆様には感謝してもしきれません。
当時、有夢くん達と同い年だった私もその分歳をとりまして、今を過ごしております。
またこのように何かの節目での投稿になること思いますが、どうか引き続きお楽しみいただけますよう、今後ともよろしくお願いします。
……たぶん、死ぬまで完結設定にすることはないんじゃないでしょうか。
それはそうと去年の五月、おかげさまでまた、私は書籍を出させていただきました。
『呪われた身でもジェントルに』
web版もありますが、この書籍の方が、十年蓄積した今の私の実力の十割を出したものとなっています。
正直、傑作です。あんま売れてないけど。
もし興味がおありでしたら、ネットで検索すれば、HJ社さんの書籍販売サイトなどで半分まで無料で読めますので、是非。
ではまた、最新作でお会いしましょう。
可能ならば四月の半ばに投稿すると思います。
たぶん……きっと……おそらく。
そ、それでは!(;・ω・)ノシ




