魔王の拳道 3 (翔)
リルがサインをもらいにいろんな人のところを回っていったおかげで、この大会の規模の凄さを改めて実感することができた。
伝説の軍人、傭兵、喧嘩屋……ありとあらゆる格闘で尚馳せた伝説達がひしめき合っている。
リルのサインのおねだりをきいてくれたのは世界的ボクサーとか表の有名人だけだったが、その人たちだけでももう十分すごい。改めて自分のような青二才がこの舞台に立っていいものなのかどうか不安になってきた。
開会式が大々的に大盛り上がりで始まってから、その後すぐに1戦目、2戦目、3戦目と続いていった。
1戦目はメキシコのルチャ・リブレ(レスリング)使い対ロシアのシステマ使い。1戦目から盛り上げるようにルチャの人は戦っていたが、システマ使いに膝から壊され倒されてしまった。
この大会の恐ろしいところは、殺しと金的と目付き、武器の使用以外はなんでもアリということだ。俺も戦ってる最中に普通に腕を折られたりするかもしれない。別にそれくらい構わないが。
2戦目はギリシャのパンクラチオンとボクシングの使い手対ミャンマーのラウェイの使い手。ギリシャの人はボクシングの世界チャンピョンでもあり、リルのサインも快く応じてくれたいい人だったのだが、ラウェイの鍛え方による頑丈な体のつくりと相性が悪かったらしく、負けてしまった。
3戦目はネパールのグルカ兵とキックボクシングを軸にテコンドーの要素を取り入れた韓国の人。後者、さすがに凄まじい蹴りで序盤は良かったんだが、あのグルカ兵には敵わなかった。
そして4戦目。
これが俺とブラジルのグレイシーさんの試合だ。意図はしていないみたいだが、地球の裏表対決になる。
<ブラジルから来た総合格闘技世界チャンピョン2団体統一王者! アントニオ・グレイシー!!>
グレイシーさんの名前が呼ばれ、ステージの上に上がった。さすが一つの格闘技で頂点をとった人だけあって大盛り上がりだ。
ちなみに司会もこれから行われる会話も全部英語だぜ。
「ショー、勝ってきてね」
「いや、今回ばかりはどうだろうな」
グレイシーさんはパンツ以外を着ておらず、俺は胴着を着ている。武器はダメだがこういった扱う武術に沿った服装はむしろ推奨されている。
まず、グレイシーさんが半裸の時点でほぼ柔道しか使わない俺にとってはめちゃくちゃ不利だ。まあ、アナズムでいきなりゴブリン投げ飛ばしたりしたから対抗ができないわけじゃねーけど。
「わーふ、ショーは大丈夫だよ。自信を持って行ってきて!」
「おう」
そろそろ俺の名前が呼ばれる。リルは俺の頬にこっそりとキスをした。こんな大事な試合に出る前に彼女からキスしてもらえるとか漫画の世界かよ。
<生まれつきの怪力を使い、単独でテロを阻止、強盗の捕縛、拳銃持ち複数相手に素手で勝つ! そんなとんでも高校生がジャパンからやってきた! クラスメイトからは、あまりの強さに『魔王』と呼ばれている少年の名は……ショー・ヒノ!>
満を辞してステージへ行くが、流石にグレイシーさんのように歓声の雨霰とはいかない。というか、なんで高校生がここにいるのか疑問に思っているようだ。俺だって聞きたい。
「身長180強であの体型、たしかにかなり鍛えているようだがそれでも体重130オーバーっておかしくないか?」
「あれだと多くても90ぐらいだよな?」
「なんでも特異体質らしいぜ」
各国の偉い人たちや偉い身分の観客達はタブレットで俺とグレイシーさんの情報を見ているようだ。体重と見た目が合わないことについては昔からよく言われるから気にしても仕方ない。
「君のような男には、そのブラックベルトがよく似合っている」
「ありがとうございます」
試合前、挨拶の瞬間。グレイシーさんは俺の黒帯を見ながらそういってきた。
「……正直、彼女さんと一緒に居た時はまだガキだなと舐めていた。でもいま、こうしてドーギを着て前に立たれたらわかる。サタンそのもの。君の素手によるあり得ない功績は本物なんだろう」
「え、ええ、まあ」
「……俺はしょっぱなから本気出すぜ」
審判によった俺たちは離された。グレイシーさんの目がマジだ。
だったら俺も本気出さなければ。
「二人とも準備はいいか?」
「はい」
「オーケー」
「……では、第一回戦4試合目……はじめぇぇぇぇ!」
戦いの火蓋が切って下された。その瞬間、グレイシーさんは膝を立てながら一気に俺に距離を詰めてくる。
俺は膝蹴りを即座にいなすが、掴む隙がないので反撃に出られず。そしてグレイシーさんがカポエイラ特有の蹴りを流し込んできた。
「ぐっ!?」
腕でガードするも、筋肉の奥まで響く。さらに彼は体を回転させ……読めない軌道の蹴りを腹筋に叩き込んできた。
「おぐ……」
俺の腹筋は特異体質と日頃の鍛錬が相まってかなり硬い。しかし、強烈なダメージをくらってしまった。初めて戦う格闘技だから仕方がないとはいえこれはきつい。
「恐ろしい、今のをくらってまだ立っていられるとは……」
そう呟く彼の腕を、俺は掴もうとする。グレイシーさんはバックステップでうまく体をそらし、掴みにくい部位をわざと差し出してそれを回避した。
彼は総合格闘家だから組技に対してもスキルはあるはずだ。だが、当然柔道メインである俺に対してそれで戦うつもりはないらしい。打撃を主力に展開していくつもりのようだ。
「そらよ!」
次の一撃が飛んできた。左足によるものだ。だが、俺はそれを脇で掴んだ。
「なっ!?」
どのくらいのスピードか何回か見ていたが、やっとタイミングを掴めることができた。そして掴むことも。
つかんで仕舞えばこっちのもんだ。
「だが、足をとらえたくらいで……」
俺はグレイシーさんの足首を掴み、自分の怪力に任せて振り回した。なにも俺の武器は柔道の技術だけじゃない。この怪力を合わせて真価を発揮する。
グレイシーさんが体制を崩したところで腕と肩の窪を掴み、そのま一気に投げ飛ばした。
頭から落としたため、グレイシーさんは一瞬で気絶する。
柔道の技を使って気絶させるのはいままで犯罪者相手にたくさんやってきたから慣れたもんだ。
「……し、勝負アリ!」
まずは一勝。
〜いつものコーナー〜
もしかしたらこの格闘編、中断するかもしれないです。やっぱりイチャラブを書いていた方が楽しい……。
そういえば明後日には新作である「神速の大魔導師」が最終話を迎えます。結局二週間ほどしか投稿しませんでした。文字数は11万文字ありますけどね。
実はもう次の新作も書き始めているんですよ。一日5000〜1万文字くらいのペースで書けているので早ければ再来週には投稿できるかもしれません。一旦10万文字まで貯めてから投稿します。
そういえばYouTubeを見ているとラノベの評価を超辛口でしている方などをよく見かけます。正直、そういった媒体で紹介してもらってる人は超辛口な批判をうけていても羨ましいです。
私もメッセージで読者の方から辛口ではなかったですが、色々アドバイスを頂きました。本当に助かりました。
というのも、悲しいことに私は本を読むのが実は苦手なので、自分の文章に対しても良し悪しがわかりません。
つまり、どこがダメでどこが強みが全く理解していないまま私は延々と執筆しているのです。
指摘してもらうと一気に自覚出来るのですが自力だと時間がかかります。
そのため、私の作品に対してここさえ改善できれば……といった意見などは常に求めています! 実践するかどうかは別として、参考にはするので、ぜひ、気が向いたらでいいので力をお貸しください!
あとR18版の更新はまだまだ先になりそうです。




