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Levelmaker ーレベル上げしながら異世界生活ー  作者: Ss侍
二十七章 災厄現象

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第千五十二話 武神と偽物の少女

 メフィラド城入り口付近。ギルマーズは自分が目の前にいる少女の姿をした魔物の相手を任せてもらえたことを確認すると、彼女に話しかけた。



「さて、お嬢ちゃん。改めて俺と遊ぼうか」

「……うん、はじめよ。でもその前に……!」



 イルメは瞬間移動を使用した。自身とギルマーズを別の場所へ移動させるためのものであった。ギルマーズはわかっているかのように無防備で佇み回避を行わなかった。

 二人はメフィラド城下町から数キロ離れた場所に出た。イルメが不思議そうな顔をしてギルマーズに問う。



「ここなら誰もいないね。なんで回避しなかったの?」

「攻撃じゃない気がしたからさ、お嬢ちゃん」

「……っ。ま、まあ場所の移動に乗ってくれたのは私にとって都合がいいけどさ。でもその感じだと私のこと、簡単に倒せると思ってるんだ?」

「もちろん、俺は武神だからな。ただ一つ問題があるとすれば……」



 ギルマーズはイルメの全体を眺める。そして一つ大きなため息をついた。



「その姿はやめてくれないか。目や肌の色、髪型をかえただけで顔や体型はほとんどアリムちゃんじゃないか。俺は女の子には基本攻撃しないことにしてる。ましてや今やアナズムで一番可愛いと言われてるあの子には手出しできないね」

「攻撃できないっていいこと聞いたとしか思わないよ。それなら私、この姿のままで闘うから。……最初からそのつもりなんだけどね。というより、あの日の夜は普通に私を倒そうとしていたように思うけど?」

「ああ、あの夜のことか?」



 ギルマーズは両手を肩のあたりまで上げ、やれやれといった様子で再びため息をつく。イルメにはその行為がやけに癪に触った。確実に自分のことを舐めてると理解したのであった。

 しかしイルメは我を忘れて攻撃を仕掛けるということはしない。本気で闘ったらギルマーズが途方もなく手強いことは本能で理解していた。



「そりゃお前、仲間が襲われそうになったら俺のルールは全部吹き飛ぶぜ。家族を守るためだ」

「ふふふ、そっか。じゃあもし私が勝ったら、君の家族はみーんな私が手にかけちゃおうかな?」

「面白いことを言う。……お嬢ちゃんはSSSランクの魔物だろ? それが簡単じゃないことくらい気がついてるはずだぜ?」

「……うん」



 ギルマーズから放たれた殺気は、過去に倒され封印されるまで史上最強の魔物として君臨していたニャルラトホテプを後ずさりさせた。人間の女の子の姿になってついてきた心臓の鼓動が、弾けんばかりの速さになっている。

 現代でも勇者を翻弄し、過去最強かもしれない賢者の一人を殺し、城すら制圧した変化する魔物は、その勇者や賢者といった特別な天性の称号を持たないただの冒険者にとてつもなく大きな恐怖心を抱いている。



「ま、それは置いといて。なぁ頼むぜ、アリムもどきはやめてくれよな。偽物でもあの子に刃を向けたくないのさ。元の醜い姿を晒せよ」

「わ……私もそれだけは断固拒否するよ。だってあの勇者からかなりアレンジしているとはいえ本当に可愛くてお気に入りなんだもん」

「気持ちはわかるっちゃ、わかるがな」

「わかるなら……攻撃できないまま大人しく倒されてよ!」



 イルメはギルマーズにむかって掌を差し出した。そして、彼の心臓にめがけて瞬間移動を使用する。しかしまたギルマーズはそれを最小限の動きで回避し、イルメは虚空を掴むのみになった。



「くっ、どういう原理なのこれ!」

「なに、回避してるだけさ」

「ぐぬぬ……弟君の能力が当たらないなら、こっちはどうだ!」



 イルメの唱える新しい魔法、しかし、ギルマーズはその魔法に十分すぎるほど見覚えがあった。イルメの後方から出現するのは無数の剣や槍。全てが国宝級である。



「おっと、アリムちゃんの姿だけじゃなくスキルもコピーしてたか。あのアリムちゃんの弟のスキルだけじゃなかったんだな」

「そうだよ……! だから……この力で……死んでほしいな!!」



 イルメが手を振りかざすと、ギルマーズにむかって剣が無数の中から一本のみ飛来した。ギルマーズは自身の脇にさしていた剣を引き抜き、その剣を難なく弾く。地面に落ちた国宝級の剣はすぐにカタカタと揺れ出し、再びギルマーズの元へ飛びついた。



「はたき落としても追尾してくるか」

「そうだよ、そう命令してるからね! ……アリムちゃんと弟くんの得意分野それぞれを掛け合わせた私のスペシャル攻撃……。たんと召し上がれ!」

「そうさせてもらうぜ」



 再びイルメは手をかざす。また剣がギルマーズにむかって飛んでいった。しかし今度は用意してあった武器を絶え間なく次々に飛ばしており、側から見ればそれはまるで横に落ちていく銀色の滝のようなものであった。さらに武器が自身の周囲に少なくなってきたらイルメは特別な動きを見せることなく魔法でそれらを補充していった。



「いけいけいけーっ!」

「………」

「もちろん武器は追尾するだけじゃない! それぞれちゃんとエンチャントも付いてるんだ! 例えば触れたらその部位が腐るとか、MPを吸収するとか……」

「そうか。ま、どれもアリムちゃんが丹精込めて作った武器には何億歩も及ばないな」

「……嘘でしょ?」

「嘘? 俺は嘘なんて言ってないぜ。あ、なに、もしかしてこの状況について言ってるのか? ま、確かに俺のこと詳しくなきゃ嘘に見えるよな」

「……う……うぅ……」



 イルメが作り出して飛ばした武器は全てギルマーズの手によって捌かれ、地面に真っ二つの状態で落ちていた。何万本もあった全てが破壊され追尾すら不可能となった状態になっている。

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