第九百四十五話 集合
「どこだここは?」
男は拍子抜けしたような顔をしながらあたりを見渡した。この男、メフィラド王国にある収容所内で拘束されていたが、不思議な力により脱出することに成功した。脱獄してそのまま、自身を収容されるまで追いやった仇を殺しに行こうとしたその時、急に古い石造りの部屋の中に背景が移り変わったのだった。
男以外にも何人か人がいた。変わった髪型をし変わった服を着ている男に、褐色の肌をした絶世の美少女など、共通点があまり見られない顔ぶれであった。男は昔行っていた裏の家業の癖で、可愛らしい褐色の少女に声をかけることにした。
「はぁいお嬢ちゃん」
「ん? だれ?」
黄色くクリクリとした宝石のような目が男のことを見つめている。男は思わず心の中で、少女に数千万ベルもの値段をつけた。欲望を自粛させ、目的を履き違えてしまわないうちに男は本題に入ることにした。
「ここはどこかわかるか?」
「私にもわからないよ、神様っていうのに頭の中で声をかけられて、気がついたらここにいた」
「な、なるほどな」
男はもっと少女を品定めしたかったが、得体情報を得られなかった上に一目もあるため湧き上がる衝動を再び押さえつけた。今度は変な髪型の男に声をかけることにした。
「なぁ、おい、あんたは……」
「拙者でござるか?」
俯いていた変な髪型の男は、口調まで変だったので男は非常におかしな気持ちになった。声をかけてしまったことに若干後悔したがそのまま話を続けることにした。
「あー……どうしてここに?」
「拙者は御神様に呼ばれたからでござる。拙者の使命を果たすために」
「使命? なんかやんなきゃいけないのか」
「それはわからないでござる。拙者は神様がご指示なさったらそれに従うまで」
「よくわかんねえな」
これ以上関わりたくなかったが、男はとりあえず、この変な男も神様に呼ばれてきたのだと理解した。また別の誰かに話しかけてみようと考えたその時、頭の中でメッセージが流れた。
それは脱獄時に神様から受け取ったものと同じ感覚。
【お揃いですね? 唐突にここへ移動してきて驚いた方も居るでしょう。私は神です。その証拠はそれぞれここへ来る前に見せたはず】
男にとっては自身を脱獄させ、強力なアイテムを授けてくれ、一瞬で場所を移動させた存在を、神だと疑わなかった。そのため、すんなりとその言葉を信じた。
【この会話はその場にいる全員と共用です。皆様のお聞きしたいことはわかります。まず、この場所のことでしょう。……ここは私が特別に用意した空間です。皆様に集まってもらうために】
【じゃあ神様に質問! なんで私、いや、私たちは集められたの?】
あの褐色肌の美少女の質問だった。神と自称している存在ははそれに答える。
【あることをしてもらうためです。長い説明となるため、その内容は後ほど。貴方方は一定の強さを持つ存在。中には少々力不足のため、増強するためのアイテムを渡した方もおりますが、基本的に皆様、アナズムで誰もが認める強者です。貴方方以外にも強者は多くおりますが、その中で私の基準で選らばさせていただきました。……悪魔に魅入られた勇者など、本当かはもう少しお呼びしたい方もいたのですが】
【ふーん、なるほどね!】
変な男のいうとおり何かをするために集められたのだとわかった男は、本来ならすぐさま仇に復讐を決行したかったが、神様の命令に対して背くのは流石にまずいと考え異論は唱えなかった。それよりも、少女や変な男が自分と同等かそれ以上に強いという方に心底驚いた。
【しかし個に対する話で申し訳ないのですが、偽の勇者を真似た姿はやめたのですか? ニャル……】
【あ、私のことはイルメって呼んで! あの子の名前を一文字ずつずらしたの。もう人を化かす必要もないくらい強くなっちゃったし、自分の姿ってものを作ろうかなって思ったんだ。まあ、あの子をベースに今まで化けてきた人の姿を組み合わせただけだけど】
【なるほどわかりました、今後はイルメとお呼びしましょう】
男にはなんの話かさっぱりわからなったが、SSSランクとしての勘で少女がなんとなくやばいことをしたというのは察した。
【互いの素性というのはどうするでござるか?】
【お互い秘密でお願いします】
【承知したでござる】
変な男がどういう経緯であんな髪型になったか少し興味が湧いてきていた男はがっかりしたが、仮に自身のことを知らない者が居たらそれはその方が良いと考え、やはり異論は唱えなかった。
【それではそろそろ、お集まり頂いた目的をお話ししましょうか】
神様がそういうと、皆、まじめに聞く姿勢をとった。
それから神様が話した内容はその場にいた全員にとって衝撃的であり、中には疑問に思う者、快く引き受ける者、渋々了解する者など様々であった。
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そういえば最近、こんなに話数があるんだったら被ってる題名もあるんじゃないかと思ってきました。どうなんでしょ?




