表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらクズだった件  作者: 秋月 爽良


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/9

転生したらクズ男だった件〜夫婦になってからが本当の地獄!?編

 ――ここは、魔王を倒した英雄・ユウマとその妻・ミアが暮らす小さな村、ミア村(勝手に命名)。


「ユウマ! また朝から酒!?」

「おぉ、ミアちゃんおはよう。朝酒ってのはな、前日の疲れを流す癒しの儀式なんだよ。むしろ医療!」

「その理屈が医者に通じるなら世の中もっと平和よ!」


 朝っぱらから響くミアの怒号。新婚生活はラブラブだと思っていたが、実際のところは、


「今日も元気にド突かれてるなあ、隊長」


 と、村人が遠巻きに指をさす始末。

 ユウマは村の防衛隊長、そしてミアの旦那である。……だが、どうにもクズ根性が抜けきらない。


「てか、昨日の洗濯物たたんだ?」

「え? たたむって何?」

「お前は昨日から時が止まってるのかァァァ!」


 結婚して早々、ミアのツッコミが俺の生活に導入された。それも容赦ない鉄拳付きである。

 ある日、村の若者たちが防衛訓練のために広場に集まった。


「ではまず、模擬戦を始めます! 対戦カードは……ユウマ隊長VSミア副官!」

「なぜ夫婦対決ぅ!?」

「たまには家でも勝ちたいんです」


 完全に私怨である。しかも村公認のエンタメとして広場に観客が集まっている。


(これが俺の末路か……!)


 俺は剣を抜き真剣に構えた。妻の機嫌を損ねれば、今夜の夕食が草になるからである。


「いくぞ!ミアァァァァ!」

「遠慮なくやらせていただきます!」


 ズドォォォォン!


 一瞬でぶっ飛ばされる俺。


「クズの防御力じゃ私の怒りを受け止めきれないのよ!!」


 観客「うおおおお!今日もミア副官の圧勝だァァ!」

 涙が出た。色んな意味で。 

 そんなある日、ミアが洗濯物を干していたときのこと。


「……ん?」


 洗濯かごの中に、見慣れぬレースの黒パンティーが。


 バァァァン!


 扉が開かれ、俺が部屋で昼寝していたところをミアが襲撃。


「誰よコレ!?」

「えっ!? 俺のじゃないぞ!? 履いた覚えない!」

「履くとかそういう問題じゃない!」


 正座させられ尋問を受ける。


「待て! 多分これは村の誰かの落とし物だ! 防衛訓練で飛んできたんじゃないか?」

「パンツが飛ぶ防衛訓練って何よ!!」


 結果、そのパンティーは老婦人ヒルダさんのものと判明し、村全体が微妙な空気に包まれた。

 ヒルダ「最近風が強くてのぅ」

 ユウマ「なんで俺が誤解で吊るし上げられねばならんのだ……」


「今日こそはちゃんとデートしよう。夫婦なんだから」


 そうミアが言い出し、俺達は隣町に出かけることに。


「よし、まずはレストランでランチだな!」


 しかし、俺が選んだのは激安スタミナ系居酒屋。


「昼から焼き鳥とビールってアンタ!」

「だってここ、昼間からハッピーアワーなんだぜ!?」

「ふたりの幸せを削ってまでハッピーアワー狙うなあああ!」


 結局、ミアに連れられておしゃれなカフェに移動。

 だが俺は、料理の名前を読めずに恥をかく。


「この『キヌアとアボ……アボド……アヴェンジャーズ?』って何?」

「全然ちがうから!!」


 終始ミアの冷ややかな目線を浴びつつ、デートは終了した。


「……まぁ、これはこれで楽しかったかな」

「俺もミアのツッコミが無いと落ち着かなくなってきた……」


 俺達は気づかぬうちに、歪んだ愛のかたちを築き始めていた。

 

 ある晩。


「ユウマ、風呂入った?」

「入った入った!」

「……それ、昨日の話でしょ?」

「バレた!? でも今日は寒かったし……」

「私が風呂で綺麗にしてるのに、あなたが臭いの放ってるとか地獄絵図よ!」


 ズボォォッ!!


 風呂場に強制連行される。ミアが風呂の中で俺の頭を洗うという珍展開に。


「ほら、もっと丁寧に頭洗いなさい!」

「いや、これはこれでご褒美では!?」

「勘違いすんなああああ!」


 ボゴッ!!


 その日、風呂場からは奇妙な水音と鈍い打撃音が響き続けた。

 数ヶ月が経ち、俺達は相変わらずの喧嘩とイチャつき(?)を繰り返していた。


「なぁミア、俺たち……なんだかんだ、うまくやれてるよな?」

「うん、まぁ……喧嘩も多いけど、私を笑わせてくれるから」

「照れるぜ。じゃあ今日は朝から……」

「何もしてないのにキス求めるなああああ!」


 そして、またいつものように家が揺れるレベルのツッコミと共に、新婚生活が続いていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ