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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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たった一人の無謀の攻防

 私は夢を見た。それに恐ろしい夢だった。それが夢だった事に私は安心してしまう。


 純君がユーネットワークに殺されてしまう夢を見たのだ。


 考えただけでも恐ろしい夢であった。


 本当に純君は何をしているのだろう。


 それに純君と小百合ちゃんはどこにいるのか、分からない。


 だから、ユーネットワークからの電話を待つしかない。


 純君と小百合ちゃんはバカだ。無謀にも小百合ちゃんのお母さんの敵を討つためにユーネットワークに勝負を挑もうなんてバカな事を考える二人に対して。


 でも夢で良かった。それに怖い夢を見ると言うことは疲れがとれたと言うことを私は知っている。


 そんな時、私の携帯が鳴り出した。着信画面を見てみると、無着信だった。


 ユーネットワークからの者だと思って見てみると、その通りであり、昨日の男性からだった。


「もしもし」


 震えた手で受話器を持ち、耳に当ててそう言った。


『おはよう高橋亜希子君』


「純君は小百合ちゃんは、大丈夫なんでしょうね」


『大丈夫だよ。人質と言う者は生きているから価値があると思うんだよ。さあ、ゲームの始まりだ』


「何をふざけた事を言っているのよ。私はあなたの事を絶対に許さないからね」


『私は敵方に好かれるような存在じゃないと分かるはずだよ、高橋亜希子ちゃん』


「何がゲームなのよ。あなたは狂っているわ」


『そうさ、僕は確かに狂っているよ。それよりも君はユーネットワークに狙われた存在だ、それがどのような意味をしているか分かると思うんだけどね』


 確かにそうだ。ユーネットワークに狙われた人はほぼ100パーセントの確率で死に至ると言われている。


「あなたが言いたいことは分かったわ。だから純君と小百合ちゃんを帰して」


『ユーネットワークに狙われた者はほぼ100パーセントの確率で殺される事を君は知っているはずだよ』


「私に何の恨みがあるのよ。教えてよ。私と純君と小百合ちゃんはあなた達に殺される義理なんてないはずよ!!」


『確かにそうだね。君は殺される様な事をしていない。でも純君と小百合ちゃんは私達の組織をむちゃくちゃにしようと企んでいたからね!』


「それはあなた達ユーネットワークに小百合ちゃんのお母さんを殺されたからでしょ。どうして何も罪もない人を殺そうとするの?あなたは大事な人が殺される事を考えた事がないの?」


『・・・』


「あるんでしょ。だったら、一生のお願いだから純君と小百合ちゃんを解放してあげて、そしてもうあなた達ユーネットワークには手を出さないと約束してあげるから」


『確かに君の言うとおり、大事な人が殺されたら僕も君と同じような気持ちになるかもしれない、でもそれが楽しいのさ。最初は駒木根の奴が私達の力を利用して君の息子達の仲間を酷い目に遭わせて報復をしようとした。それを見て、私は駒木根は面白い事をするんだな、と感心したよ』


「駒木根の奴は人を殺すような事は命じてないわよ」


『確かに駒木根は人を殺す事は命じてないね、でも駒木根がしているところを見て、僕はもっと駒木根がしているところを見て楽しく思えて来たんだよ』


「あなた、本当に狂った人間だわ。あなたは悪魔よ」


『心外だな、僕は悪魔ではなく神に等しい人間だと思うんだ。こうしてユーネットワークは神の存在だと思わないか』


「とにかく、もう一度言う、純君と小百合ちゃんをこちらに返して、私はどうなっても良いから、返してよ!!」


『返しても良いけれど、もっと僕を楽しませてよ』


 私は感情的になり「返せー!!!」と叫んだ。


 するとユーネットワーク側の人間は、


『ふっふふ』


 と面白そうに笑っていた。


「何が楽しいのよ。そんなに人間を弄んで楽しいの!?」


『楽しいさ。愉快痛快だよ』


「・・・」


 私はこんな最低な奴に言葉もなかった。


『それよりも僕は君とのゲームを楽しみたい』


「ゲームって何よ」


『そこのシェルターから一人で出てきてみてよ』


「私は言われたとおり、シェルターから外に出た」


 すると何か見えない殺気だらけの様な者が私を包み込む。


 私は震えさえした。もしかしたら殺されるのかもしれないと恐れた。


『これで君は一人になったはずだよ』


「私は殺されたって良い。だから純君と小百合ちゃんを返してよ」


『とにかくゲームの始まりだ。君はもう一人になったはずだと思うんだけれども、どういう心境かな』


「とても怖いよ。あなた達が私を狙っているのが分かるよ」


『そうだろ、君と純君と小百合ちゃんをかけて君と勝負することにしたよ』


 私は狙われている。もしかしたら殺されるかもしれない。でも諦める訳にはいかない。純君と小百合ちゃんは私の命よりも大切な者だから。


「勝負って何よ。何度も言うようだけれども、私の命はどうなってもいい。だから純君と小百合ちゃんを大人しく返して」


 そんな事を無視して連中は、


『さあ、ゲームの始まりだ。君と僕の勝負だよ』


 そう言って通話は切れてしまった。


「おい!」


 私は狙われている。もう豊川先生に頼ることは出来なくなってしまった。


 もし豊川先生のところに戻ろうとしたが、豊川先生を巻き込む訳にはいかない。


 豊川先生には彼を慕ってくれる生徒がたくさんいるのだから。


 さてどうすれば、良いのだ。


 この殺気だらけの所を私は行かなくてはいけない。


 とにかく人通りの少ないところを歩いた方が良いだろうと私は思った。


 それでも気のせいか殺気は止まらない。いや気のせいではない。私には気配を感じることが出来る。


 私は人通りの少ない河川敷にいる。


 ここなら人通りも少ないし、誰も私の事を狙って来ても、民間人を巻き込む事はないだろう。


 純君と小百合ちゃんはどこにいるのか、私には分からない。


 私は一人ぼっちだ。それなのに裏の組織のユーネットワークに喧嘩を売るような無謀な事をするなんて馬鹿げているかもしれない。


 この手がかりのない地平線を私は歩いている。


 そうだ。感覚を研ぎ澄まして、殺気のある方向へと向かえば良い。


 そちらから来ないならこちらから行けば手がかりがつかめるかもしれない。


 手がかりがある方へ向かって私は豊川先生に貸して貰った拳銃がある。


 この殺気を辿れば純君と小百合ちゃんの手がかりが見つかるかもしれない。


 いやそれしか方法は見つからない。


 そして殺気のある方向に向かうと、スナイパーを見つけた。


 一瞬マンションの屋上からキラリと光る何かを見つけることが出来た。


 奴は私の事に気がついたらしく、急いで、逃げようとしている。


 なぜ私を殺そうとしないのか?それよりもスナイパーの方へと私は向かった。


 それで殺気が薄まった。


 よし、あのスナイパーを狙いに行く。


 私はスナイパーの方へ向かう。


 スナイパーはなぜか逃げようとしている。


 そしてマンションの屋上に肉眼でスナイパーを確認することが出来た。


 何度も思うことがどうして私を狙撃しないのか分からなかったが、とにかく手がかりになるかもしれないので逃げようとするスナイパーの方へと向かっていった。


 そしてそんな時である。とても凄い殺気を感じた。


 スナイパーが私に向けて銃を発砲してきたのだ。


 それを私は間一髪で回避することが出来た。


 本当に危なかった。それにここは河川敷なので人はあまりいないので回避する事が安易な場所だ。


 スナイパーは逃げようとしているんじゃない。私の事をどうやら殺そうと目を付けていたみたいだ。


 また強い殺気がして、またスナイパーは私に向かって発砲してきた。


 またまた私はその玉を間一髪でよけることが出来た。


 少林寺拳法を極めた私を舐めて貰っては困るな。


 そう思いながらスナイパーの方へ向かっていく。

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