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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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ユーネットワークの新たなる敵

 駒木根の回し者の安井を撃退する事が出来た。


 だが、駒木根は次の犯行声明を私に告げに来ている。


「今度はもっと面白い事になると思うよ」


 駒木根は音声を変えて私にそう告知してきた。


「あなたいったい何を考えているの?」


「ふっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」


 そう言って狂ったように笑って、通話が途切れてしまった。


 もうこれ以上犠牲者を増やすことは避けたいと思っている。


 小百合ちゃんはお母さんの死から涙が止まらずに、その側で純君が側に慰めている。


 小百合ちゃん泣いたって、お母さんは帰ってこない、そんな残酷な真実を今の小百合ちゃんに言うことは出来ない。


 私は二階に控えている蔵石の所に行った。


 蔵石は縮こまって、頭を抱えて死を恐れていた。


「おい、蔵石、お前にはやって貰いたい事がある」


「何だよ、やって貰いたい事って」


「ユーネットワークを操る駒木根が次の犯行の告知をしてきた。だからお前がおとりになれ」


「俺におとりになれと言いたいのか?」


「ああ、お前は罪もない青少年達にユーネットワークから多額のお金を手にしたんだろ、それぐらいの報いは受けて貰うぞ。それと純君と小百合ちゃんに酷いこともしたしな」


「やめてくれ、俺はまだ死にたくない」


「甘ったれた事を言うんじゃないよ。あなたがおとりになり人に報いるべきだよ」


 と言って私は蔵石の顎を蹴り飛ばした。


 何で小百合ちゃんのお母さんは殺されてこんな殺す価値もない人間が生きているのか私はかなりご立腹だった。


「頼む、俺をここで匿ってくれ」


 すると純君が後ろからやってきて、


「そうだよ。小百合さんのお母さんは殺されてしまった。なのになぜお前は生きているんだ?」


「純君の言う通りよ、あなたは生きる資格なんてない人間よ。散々純君や小百合ちゃん。その他にも真実を暴力で訴えもみ消して来たんだから、あなたにも協力させて貰うわ」


 以前までは純君はこの蔵石を救おうとしていたが、小百合ちゃんのお母さんの死を目の当たりにして純君も気が変わったらしい。


「俺がここから出たら、ユーネットワークに殺されてしまう。だから俺をここで匿ってくれよ」


「甘ったれた事を言ってんじゃないわよ」


 再び蔵石の顎を蹴った。


「やめてくれよ。俺はまだ死にたくない」


 すると今度は豊川先生がやってきて、


「蔵石君、もう君を家の所で匿う事はやめにした。だから君はもう殺される気で協力して貰うよ」


「どうしてそんなに冷たい事を言うんだよ。俺はユーネットワークに頼まれてやっただけなのだから」


 そこで私が、


「そんな事は知らないわよ。それでユーネットワークに多額のお金を貰っていたんでしょ」


「確かに貰っていた。でも俺もこれからは極力あなた達の力になるから、俺を見捨てないでくれ」


「言ったわね、あなたは私達の力になると」


「なる、だから俺を助けてくれ!」


「じゃあ、あなたにはおとりになって貰うわ」


「おとりって、どうすれば良いんだ?」


「とにかくあなたは何もしなくて良い、とりあえず外に出ておとりになって貰うわ」


「そんな事をしたら俺は殺されてしまうよ」


「あなたが殺されようがどうでも良いことなのよ」


「どうしてだ。俺はまだ死にたくない」


「あなたの立場は分かっているの?あなたは殺されても何も文句は言えないのよ」


「そんな~」


「大丈夫あなたが死なないように、こちらで見守ってあげるから大丈夫よ」


「大丈夫って言ったって、俺は何をすれば良いの」


「外を散策するだけで良いわ。これからユーネットワークがどのような動きをするか確かめて見るだけよ」


「俺はユーネットワークにマークされている。だから殺されるかもしれない」


「まあ、あなたが殺されようが何をされようが知らないけれど、こちらもあなたが殺されないように、監視して置くから大丈夫よ」


 そう言って私は作戦を考えた。


 今度、ユーネットワークは何をしてくるのか私は遠くで見守る事にした。


 こんな蔵石など死んでも当然の奴をおとりにして、私達は動き出す。


 まずは蔵石を外に出して、私達は動き出す。


 蔵石が外で怯えながら、外を歩いている様子をビルの屋上から私は双眼鏡で蔵石の事を見ていた。


 だが何もない。


 ユーネットワークはもう蔵石の事は眼中にないのだろうか?


 蔵石は疑心暗鬼にとらわれていて、通りすがりの人間に怯えながら歩いている。


 その時だった。蔵石に何が起こったのか?蔵石の頭から血が吹き出て来た。


 何が起こったんだと思って双眼鏡から蔵石の様子を見てみると、蔵石は何者かのスナイパーに殺されてしまったみたいだ。


 急いでビルの屋上から、蔵石の元へと駆けつけた。


 通りすがりの人達は蔵石が発砲されたことに悲鳴をあげる者や倒れた蔵石に体を揺さぶる者がいた。


 どうやらユーネットワークが私達を殺すことに失敗した事に消されたらしい。


 これがユーネットワークの仕業なのだろうか?


 いくら蔵石が許せない相手でも私の心は痛んだ。


 失敗した蔵石を殺してしまうのはユーネットワークの者しかいない。


 そんな時だった。私にもその殺意を向けられているような気がした。


 何者かが私を殺そうとしている。


 これはスナイパーの気配。


 私はすぐにビルから降りようとすると、ユーネットワークのスナイパーが私に向けて発砲してきた。


 その発砲に気がついた私は即座によけて、何とか一命だけは取り戻す事は出来た。


 私がスナイパーの銃をよけると、すぐにスナイパーの気配は消えてしまった。


 私はここはまずいと思って、屋上からエレベーターで下に行き、純君達を守らなきゃいけないと思って、英明塾まで戻った。


 英明塾に行くと、何者かが私達を狙っている様な気がしてきた。


 そのスナイパーの狙いは私以外の者に向けられている様な感じがした。


「豊川先生、蔵石の奴がスナイパーに殺されてしまいました」


「それは先ほど気配を感じて僕も気がついたよ」


「豊川先生も純君も小百合ちゃんも、英明塾のみんなも気を付けて、私達は狙われている」


 豊川先生がいつもいるパソコン室から窓のガラスを割って、銃が放たれて来た。


「危ない純君に小百合ちゃん」


 そう言いながら私は純君と小百合ちゃんを突き飛ばした。


 見事に銃をかわす事は出来た。


 その瞬間にスナイパーの気配は消えてしまった。


 今度は見えざる敵と戦う時が来たのか?


 私は悪い夢でも見ているような気がした。


 とりあえず犠牲になったのは私達に蛮行を働いた蔵石だけであった。


 蔵石には悪いことをしたのかもしれない、でも蔵石は私達を殺そうとしたのだ。


 それぐらいの報いを受けても文句は言えないだろう。


 とにかくパソコン室はガラスで散らかっていた。


「豊川先生。申し訳ありません。豊川先生まで巻き込んでしまって」


 私は罪悪感でいっぱいだった。豊川先生やその生徒達がやられそうになってしまったからだ。


「大丈夫だよ、亜希子ちゃん。それよりも亜希子ちゃん、ここも安全な所ではなくなった様だね。とりあえず、地震や核兵器が来たときに準備してある地下のシェルターで身を隠すことにしよう」


 そう言って純君や小百合ちゃんや塾の生徒達を地下のシェルターまで運んで行ったのだった。


「お母さん、これから僕達はどうなってしまうの?」


 純君は怯えながら私に訴えかける。


「大丈夫よ、純君に小百合ちゃん。あなた達の事は何があっても私が守るから」


 そう言っても私には彼らを守るほどの力は持っていないのかもしれない。


 正直言って私も怖い、今度は一流のスナイパーが相手なのだ。


 奴らに対して何が出来るのか私には分からないかった。

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