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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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それでも朝日は昇る

 純君と小百合ちゃんはユーネットワークの回し者の安井に怪我を負わされている。


 ここは私が相手になるしかない。


 安井に攻撃の隙がない。両方の手にサバイバルナイフのような物を両手に持ち私達に襲いかかってくる。


「オラオラオラオラ!!!」


 そう叫びながらユーネットワークの回し者の安井はサバイバルナイフを振り回しながら襲いかかってくる。


 安井の攻撃には恐れ入る。ほとんど隙がない。


 このままではやられてしまう。


 私がここでやられてしまったら純君も小百合ちゃんも殺されてしまうだろう。


「ヘッヘッヘッヘッ!お前は殺すなと駒木根に言われている。お前には恐怖という物を心に刻ませてやるんだ」


 そう言いながら安井という奴はサバイバルナイフを舐めながら私に挑発してきた。


 そうだ。私には豊川先生から授かった銃があった。


 それを使えば良いのかもしれない。


 私は懐から銃を取り出して、安井に向けた。


「安井と言ったわね、これ以上の犯行をすると、この銃であなたを発砲するわよ」


「てめぇ、汚えぞ」


「汚いのはあなたよ。小学生相手にナイフを向けるなんて卑怯よ」


「・・・くっ」


 さすがの安井も銃には臆している。


 そして私は発砲した。


 パンッと激しい音がして安井の足に貫通した。


「くわわわわわっ!!」


 そう言って安井は倒れ込む。


 そこで純君と小百合ちゃんは、


「小百合さん今だよ」


 そう言って、純君と小百合ちゃんは安井に向かって飛びかかった。


 安井は動けないままでいる。


 そこで私は、


「純君に小百合ちゃん、やめなさい!!」


 と大声で二人を止めた。


 安井の奴は足を打たれて苦しみもがいている。


「くそー痛えよ!!」

 

 と言いながら安井はもがいている。


「そうよ痛いでしょ。あなたは小百合ちゃんの母親を殺したのだから、死よりも辛い生き地獄を味わうと良いわ、死刑なんて甘っチョロ過ぎるわよ」


 これで安井は動けないだろう、それよりも勝手に行動をした純君と小百合ちゃんに威圧的な視線を送り、二人の頬を叩いた。


「何を考えているのよあなた達は、もうすぐで殺されそうになったのよ」


 すると純君は、


「そんな事は分かっているよ。僕の恋人の小百合さんのお母さんが殺されてしまったんだよ。悔しいじゃない。これからは小百合ちゃんはお母さん無しで生きるしかないんだよ」


 そして小百合ちゃんはポケットにしまっていたナイフを取り出して、安井に向けて刺そうとしたところ、私はそれを見逃さずに、小百合ちゃんの襟首を掴み止めて、再び小百合ちゃんの頬を叩いた。


「やめなさい小百合ちゃん」


「でもこいつは私のお母さんを殺そうとした。絶対に許さないよ」


「どんなに許せない相手でも人を殺してはいけないよ。もしあなたが人を殺したら、法の裁きを受けて、少年院に入れられてしまって、あなたの人生が大きく変わってしまうわ」


「それでも良いよ。私はお母さんを殺されたのよ。この安井に、私はこいつだけは許せない」


 それで私は小百合ちゃんを抱きしめた。


「小百合ちゃん。小百合ちゃんのお母さんは、あなたに幸せになって欲しいと思っているわよ。だからこんな殺す価値もない奴はあなたがしなくても、こいつには天の裁きを受けることになるわ。だから大丈夫よ」


 すると小百合ちゃんは私の胸の中で泣いてしまった。


 これで小百合ちゃんのお母さんは殺されてしまったけれども、一応小百合ちゃんの敵を討つことに成功した。


 それにこいつはユーネットワークの人間で、任務に失敗したのだから、何者かに殺されてしまうだろう。その方が小百合ちゃんが殺しても苦しいに決まっている。


 時計を見ると真夜中だ。


 そろそろ、私達は帰らなければならない。


 私が自転車に跨がると、純君は小百合ちゃんと二人乗りして戻る事になったところに安井はやってきた。


「待ってくれ、俺は殺される。俺を助けてくれよ」


「・・・」「・・・」「・・・」


 純君も小百合ちゃんも私も、言葉はなく奴の事を無視して行った。

 

 そうだ。小百合ちゃんが下さなくても、安井はユーネットワークの人間だ、任務に失敗したら殺される。


 だから、今小百合ちゃんが殺さなくても、奴は恐怖に包まれながら殺されて行くのだろう。何の罪もない小百合ちゃんのお母さんを殺したのだ。だから殺されても文句は言えないだろう。


 小百合ちゃんのお母さんの敵は討った。


 それよりもまた第二第三の安井の様な者が現れるかもしれない。


 駒木根の奴はまた私達に殺しに来るかもしれない。


 そう思うと、胸が苦しくなって、本当に悪い夢を見ているような感じだった。


 自転車を漕ぎながら、小百合ちゃんの方を見てみると、小百合ちゃんは純君の背中に顔を埋めながら泣いていた。


 無理もないだろう。小百合ちゃんの母親が殺されてしまったのだから。


 これからは大変になるかもしれないが、小百合ちゃんにはお父さんがいる。


 でもお父さんは出張中で、小百合ちゃんのお母さんが殺されてしまったことを知ったらどんな顔をするのだろうか?


 今回の駒木根の犯行は小百合ちゃんのお母さんを殺して、小百合ちゃんの怒りをかき立てる事になった。


 それで先ほどの安井に純君と小百合ちゃんは殺されそうになった。


 今度は誰が殺されてしまうのか分からない。


 純君も小百合ちゃんの同じだが、絶対に駒木根の奴を殺すしかないと思っている。


 だが復讐は復讐しか生まない。そんな事は小百合ちゃんも純君も分かっていたはずだ。


 でも駒木根の奴はその思いを打ち消すぐらいの事をして純君と小百合ちゃんに犯行をさせようとしていた。


 これは由々しき状況だ。


 けれども純君と小百合ちゃんには私や豊川先生や施設の子供達がいる。


 でもそれだけでは小百合ちゃんの悲しみは拭えないだろう。


 その悲しみは怒りに変わり、ユーネットワークを操る駒木根に向けるだろう。


 そろそろ夜明けだ。誰にでも訪れる朝の日差しが眩しかった。


 小百合ちゃんの方を見てみると、その朝の光を浴びて、少しだけ、お母さんが殺された痛みが少し解消された様な気がした。


 英明塾に到着して、私達は中に入った。


 いつもパソコン室にいる豊川先生の方を見てみると、ソファーをベット代わりにして眠っていた。


「豊川先生!」


 と私が呼ぶと、豊川先生は起き出して、私と純君と小百合ちゃんの方を見た。


「良かった、二人とも無事だったんだね」


 豊川先生は穏やかな顔をして、私達を見つめた。


 でも小百合ちゃんの方を見てみると、やはりもはや笑顔を演じる余裕もなく、涙を流していた。


 泣いていたって何もならないと言いたいところだが、小百合ちゃんはまだ十歳だ。お母さんに甘える年頃だ。


 小百合ちゃんが泣いていると、私まで涙がこみ上げて来た。


 もし私の大切な純君が殺されたら、小百合ちゃんの様になってしまうのかもしれない。いやそうだ。もし純君が殺されたら、私も立ち直れないと思っている。


 今の小百合ちゃんに何を言ってもその悲しみを拭う事は出来ないと思っている。

 

 小百合ちゃんの敵を討ったが、お母さんが帰って来ることは決してない。


 でも私は信じている。


 小百合ちゃんが元気を取り戻してくれることを。


 今は小百合ちゃんの悲しみが癒えるまで遠くで見守ってあげたいと思っている。


 そんな時だった。


 私のスマホに一本の電話がかかってきた。


 恐る恐る耳に当て話を聞くことにした。


「・・・」


「やあ、高橋亜希子、僕のプレゼントは気に入って貰えたかな」


「冗談じゃないわよ。私に何の恨みがあるって言うの?」


「僕はもう君達を恨んだりはしないよ。それに君は凄く面白い人間だね、危うく君の純君を殺させて、プレゼントを差し出そうとしたのだが、それも失敗に終わってしまったのだけれども、今度はもっと素晴らしいプレゼントを用意してあげるよ」


「あなたこれ以上私の仲間達に手を出すな!」

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