ユーネットワークの最悪のやり方
剛君がユーネットワークに何を吹き込まれたのか知らないが、剛君は絶望して死のうとしたんだ。
確かに夢を打ちひしがれる事はショックかもしれない。でも剛君には私達と言う仲間が存在している。
だから安易に死ぬなんて考えて欲しくない。
剛君が死んでしまうのは本当に間一髪だった。もし彼をそのまま放置していたら、死んでいたかもしれない。
私は剛君と明ちゃんを施設に送り、光さんは剛君に頬を叩いたのだった。
光さんの思いやりのピンタだ。その様子を見て、彼はもう二度とこのような事はしないだろうと心配の糸が切れたのだった。
でも私達はユーネットワークに狙われている。
今度は誰が狙われるか、心配だった。
次の日、私は剛君達を連れて、高架下のバスケットコートで剛君達の練習に付き合ってあげた。
久しぶりに練習に付き合ってあげることになったが、剛君達はバスケが上達している。
この年の吸収力は凄い物だと思っている。
でも私にあっ君と剛君でワンオンツーで試合をしてみたが、やはり私を抜けることは出来なかったが、それでも剛君達はバスケが上達しているのが分かった。
今はユーネットワークの気配は感じられないが、油断してはいけない。
純君も小百合ちゃんも蔵石に受けた傷も大分治っている。
それに蔵石の奴も相変わらずに英明塾で怯えながら過ごしている。
私は蔵石の奴が憎いが純君は優しいので蔵石を何とかしようとしている。
純君は本当に優しい。そんな純君を子供として持ったのは私の自慢でもある。
「また亜希子お母さんにワンオンツーで勝てなかったよ」
と悔しさを吐く剛君。あっ君も悔しそうだ。
★
私達の知らないところで、駒木根の奴がパソコンの前で何かを企んでいることは私にすら分からない。
「剛って奴を自殺に追い込んで殺そうとしたが、失敗に終わった様だな」
と駒木根は悔しそうに、親指の爪をかじり続けている。
「でも今度は自殺に追い込むのではなく、本気で奴らを殺してやる。あの純の母親の亜希子って奴は一筋縄ではいかないみたいだな。でも俺をここまで本気にさせたんだ。絶対に許すわけにはいかない。奴らに絶望を与えてやる」
★
何かが来る。それに凄く邪悪な気配を感じ取った。
純君と小百合ちゃんは英明塾の勉強室で、互いに闘志を出し合い、勉強や小説に熱を入れている。
私は剛君達の練習も付き合ってあげて、帰ってきたところ、二人はもう元気だった。
「二人とも、もう大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。お母さん」
「私も大丈夫だよ亜希子お母さん」
純君と小百合ちゃんはもう大丈夫みたいだ。
二人とも蔵石に付けられた傷も完治して、元気いっぱいに夢への続きを歩き出しているのだ。
そうだ。夢と言う物は常に追いかけて行く物だと私は思っている。
そうだよ。純君に小百合ちゃん。そうやって私も純君も小百合ちゃんも大きくなって行くんだよ。
そろそろ私も翻訳家の仕事に入ろうとしている。
★
英明塾に避難して二週間がたった。
それなのにユーネットワークの人間達は何もしてこない。
何か妙な気がした。
二階にはユーネットワークを恐れている蔵石を私達は匿ってあげている。
ユーネットワークに加担して失敗した者は殺されると聞いている。
私は蔵石の所に行って話でもしようとした。
「おい、蔵石、ここのところユーネットワークの動きがないが、いったいどうなっているんだ?」
「お、俺が、し、知るわけ、な、ないだろう」
凄い動揺ぶり、こいつは以前聞いたが、少年の犯罪を金を受け取って、証拠も無しにやった事にして今まで散々暴力を働いてきたのだ。
そんな蔵石を純君は許しても私が許さないと思っている。
こんな奴早く殺されれば良いと思っているが、純君の優しさに逆らう事は私には出来ない。
★
私の知らないところでもうユーネットワークは動こうとしている。
「お前の出番だ安井」
「うへへへへへ」
切れ味の鋭そうなナイフを舐めて、そう呻く安井。
★
この二週間何も音沙汰がないなんておかしいと思っている。
もしかしたらユーネットワークは私達の事を諦めたのかもしれない。
いやそんな事はないと思っている。
ユーネットワークに狙われた者はほぼ100パーセントの確率で死にいたしめられると聞いている。
とにかく迂闊に行動をしてはいけないと思っている。
そこで私は豊川先生に話をかけた。
「豊川先生、申し訳ありません。二週間もここに滞在してしまって」
「別に僕は良いよ。君達の安全が第一だと思っているから」
そこで純君達が勉強している部屋に行き純君と小百合ちゃんに話をかける。
「純君は良いけれど、小百合ちゃんはお家の人とちゃんと連絡は取れている?」
「大丈夫です。私のお母さんはそう言うことに関しては賛成しているみたいなので」
「それよりも、お母さんは大丈夫なの?」
「何がですか?」
「あなたのお母さんが狙われる事はないの?」
そう言われると小百合ちゃんは顔色が曇った。
「やっぱりお母さんのところに行ってあげた方が良いんじゃない。たまには顔を見せてあげても良いんじゃないかな」
「そうですね。お母さんのところに行って、お母さんの様子を見に行くとしたいと思います」
そこで純君が、
「小百合ちゃん僕も行くよ」
「そうねえ、私達は狙われている身だから、純君と共に行った方が良いかもしれないね」
ついでに私もついて行くことにした。
ユーネットワークは私の事を恐れている。だから私がついていれば何とかなるかもしれない。
とりあえず小百合ちゃんのお母さんの様子を見に行こうとするのだが、何か嫌な予感がしてきた。これは気のせいだと思いたいが、そうも行かないかもしれない。
とにかく小百合ちゃんのお母さんの様子を見に行かなければならない。
そう言って、小百合ちゃんのお母さんの様子を見るために、私と純君と小百合ちゃんで私は一人乗りの自転車で、二人は久しぶりに二人乗りをしたのだった。
そして私達は小百合ちゃんの家に行くと、不用心にもドアは鍵が閉まっておらず、ドアを開けると何か異臭の様な臭いがしてきた。
何か嫌な予感がしてきて、中に進むと、リビングでウエディングドレスを纏った小百合ちゃんのお母さんの遺体がそこにはあった。
小百合ちゃんは目を丸くしてショックを受けて「きゃあああああああああああああああ!!!」と悲鳴をあげるのだった。
「お母さん、お母さん!!」
と小百合ちゃんは死んだお母さんの遺体を揺さぶった。
これには私も純君も小百合ちゃんに何て言葉をかければ良いのか分からなかった。
小百合ちゃんはお母さんを揺さぶりながら泣いている。
「お母さん。お母さん!!」
と。
そしてギラリと私達の方を見て、小百合ちゃんは、
「全部あなた達のせいなんじゃないの?」
純君も私も何も言い返せる事は出来なかった。
本当に私達のせいなのかもしれない。
「私のお母さんを返してよ。返してよ!!」
小百合ちゃんは私達を見つめてそう連呼した。
そう言って小百合ちゃんは外に出て行き、それに続くように純君はその後を追った。
自分の母親を殺された気持ちは充分に分かる。いくら何でもユーネットワークのやり方には最悪の文字しかないと思っている。
とりあえず私は警察に連絡を入れたのだった。
死亡推定時刻は二日で何者かがやったのか、小百合ちゃんのお母さんに何か恨みを持つ者はいないかと聞かれたが、ここでユーネットワークに話しても何もならないと思って黙っていた。死因は鋭いナイフで心臓を貫いた犯行だった。
私は警察にユーネットワークが絡んでいると言ったら、まず私が疑われて、署に行くことになった。




