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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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ユーネットワークの恐ろしさ

 私達は大裏組織ユーネットワークに狙われている。


 それで純君と小百合ちゃんを無理してでも病院から出そうとしている。


 純君は全身に重度の打撲があり、動くことも困難だ。


 小百合ちゃんはあばら骨を折っていて、体にギブスを付けている。


 とにかく安全な場所である、豊川先生のところに行こうと思った。


 小百合ちゃんは肋の骨を折っているが純君ほど動けない訳ではない。


 純君は全身に打撲の後があり、動く事も困難だが、かわいそうだが、無理してでも動いて貰う。


「とにかく二人とも、あなた達はユーネットワークに狙われているのよ。こんな悠長な事はしていられないのよ」


「お母さん。そのユーネットワークって何?」


 純君が聞いてくる。


「大規模な裏組織よ、その組織に狙われた者はほぼ100パーセントの確率で命を奪われるかもしれないのよ」


「じゃあ私達のせいで剛君達や英明のみんなを巻き込んでしまったの?」


「大丈夫よ小百合ちゃん。教会の光さんも、英明の豊川先生もそんなにヤワな人じゃないわ」


「ところで僕達はどこに行けば良いの?」


 純君が聞いてきた事に対して、


「とりあえず、豊川先生のところに行くわよ」


「そんな事をしたら、豊川先生の仲間達が危ない目にあってしまうんじゃない」


 純君は自分よりも仲間の事を心配している。でも、


「今はそんな事は言っていられないわ。豊川先生にも協力して貰うつもりだから」


「もう僕の事は良いよ。とにかく仲間達がやられるのを見るのはもう勘弁だよ」


「私は純君の母親よ。母親としてあなた達は私が守らなくてはいけないのよ」


 そう言いながら、私達は病院を出て、豊川先生がいる英明塾に行こうと思っている。


 とにかく、この子達を英明に避難させなければならない。


 私の命に代えても、この子達を守らなくてはいけない。



 ★



「ふははははは!逃げるが良いさ。この俺にはユーネットワークに力を借り、高橋と高岡を死ぬよりも辛い目にあって貰わなきゃ、俺の気が済まない。絶対にお前等は俺の手でぶち殺してやる」


 パソコンの前で釘付けになっている駒木根、今度は二人に何をしようと企んでいるのか分からない。



 ★



 私はとりあえず、豊川先生のところに行き、二人をここで待機している。


「純君に小百合ちゃん、良く痛みに耐えてここまで来れたわね」


 私はそんな二人を労ったのだった。


 こんな十歳の男の子と女の子を、本気で殺そうとするユーネットワークが憎い、でもそれよりもそれを指示している駒木根はとんでもない奴だと私は思っている。


「豊川先生、申し訳ありません。どうか私の事は良いから、この二人だけでも助けてあげて下さい」


「大丈夫だよ。ユーネットワークを指示している者は小学生でしょ。それにその小学生の父親が市議会委員でユーネットワークに加担しているとは思わなかったけれどもね」


「本当に申し訳ありません。またこうして力をお借りしてしまうことになってしまいまして」


「大丈夫だよ。いくらユーネットワークの人間でも、僕の力を知らないと思うから」


 そう。豊川先生には特殊な力を持っている。


 豊川先生の力は運であり、私もその運で若い頃の私を助けてくれた事がある。


 でも相手はユーネットワークだ。


 そんな裏大組織に立ち向かうのは命を落とすのと同じ事だ。


 今はこの二人を守ることが大前提である。


 とにかく純君と小百合ちゃんを二階のベットで寝かせて貰って、これで一応一安心と見た。

 それにしても油断は大敵、ユーネットワークの人間がどこから来るのか分からない。


 私には分かる、ここが安全な場所であっても、邪悪なユーネットワークの視線を感じる。


 奴らはどこかで私達の事を見ている。


 本当に油断は出来ない。


 私だけの力ではユーネットワークに逃げる事しか思い浮かばない。


 それにやっかいな事に奴らは純君達の仲間を一人一人傷つけようとしている。


「亜希子ちゃん!」


 豊川先生が私の事を呼ぶ。


「はい」


「君に紹介したい人物がいるんだ」


「紹介する人物?」


 そう言って私を三階の部屋へと案内した。


「ここには純君と小百合ちゃんに濡れ衣を着せようとした人物がいる」


 その扉を開いてみると、豊川先生がやったのか、全身打撲だらけで猿ぐつわがされており、両手両足、動けないように縄で縛られている人物がいる。


「お前が蔵石ね!」


 純君と小百合ちゃんをこんな目に合わせたのはこいつだ。


 私は沸々と怒りが湧き上がって来た。


 痛めつけるのは後にして奴の猿ぐつわを解いた。


「助けてくれ、俺はユーネットワークの人間に殺される」


「あなたが殺されようが私には知った事ではないわ、純君に小百合ちゃんにあんな目に合わせたのもあなたね!」


「俺は仕方なく、ユーネットワークの連中にそう仕向けられただけだ」


 そう蔵石は言って、奴の目をジッと見つめた。


 奴は怯えている。


 それに今まで罪なき少年達を罪に陥れた事が、その目が物語っていた。


 この蔵石と言う奴を殺したいと言う気持ちで奴に攻撃を食らわせようとした。


 だが豊川先生に羽交い締めされた。


「亜希子ちゃん。こいつはもう何も出来ないよ」


 すると豊川先生は蔵石の縛っている足と手の拘束を解いた。


「豊川先生、どういうつもりですか?」


「この男はもうユーネットワークに殺されるだけだ。そのまま野放しにしても大丈夫だよ」


 そして蔵石は、


「助けてくれ。俺は死にたくない」


「自分でまいた種だ、後は自分で何とかするんだな」


 蔵石はその覚束ない足取りで歩き出した。


 そうとう豊川先生にやられたのだろう。


 私の肩に両手を添えて助けを懇願している。


 蔵石の奴をここで私が殺そうとしたが、どうやらその価値もないように見えたので私は蔵石が私の肩に添えた手をどけて、蔵石は倒れ込んだ。


「俺は死にたくない!」


 溺れている者は藁をもすがると言うが本当の事だった。


 さすがの私もこの男が不憫に思えてきた。


 でも麻美ちゃんに酷いことをした事の罪を純君と小百合ちゃんに着せようとしたのはこいつだ。


 そう思うと許せない気持ちでいっぱいでこんな奴が殺されようが何をされようがどうでも良いと思えてきた。


「助けてくれ!助けてくれ!助けてくれ!・・・」


 そう言って懇願していたが、さすがに不憫に思えて来た。


 そこで、純君と小百合ちゃんが現れて、


「お母さん、その人を助けてあげてよ」


 純君がそう言う。


「あなた正気なの?この人はあなた達を罪に陥れて、挙げ句の果てにあなたを痛めつけて全身打撲で重症を負わせた者よ。それに小百合ちゃんは肋の骨を折られているのよ」


「そいつは駒木根に操られていただけだと思うんだ。本当の悪い奴は駒木根だよ」


 すると小百合ちゃんは、


「私も純君に賛成するよ。駒木根がユーネットワークだが何か知らないけれど、その連中が私達に危害を加えて来たのは本当の事でしょ」


 蔵石は、


「そうだ。俺は駒木根の奴に命令されてこうしただけなんだよ」


「でもあなたは今まで罪なき人を罪に陥れて、来た者でしょ。そんなあなたを私は許さないよ」


「お母さんが許さなくても僕は許すよ」


 私は大きなため息をついて、


「仕方がないわね。じゃあ、こいつをこのまま豊川先生のところで匿う事にするわ」


「ありがとう。お母さん」


 そこで私は蔵石に目を向けて、


「じゃあ、蔵石、あなたが知っていることを、洗いざらい吐いて貰うわよ」


「ああ、俺に出来ることがあるならそうするよ」


 蔵石を匿う事になって私達はさらなる危険にさらされるだろう。


 だって相手はあの裏の大組織のユーネットワークなのだから。


 ここにいれば安全だけれども、それもどこまで安全を保てるか分からない。


 ユーネットワークは駒木根に指示されていると思うが、これから私達の仲間達に酷い目に合わされるか分からない。


 とにかく気を引き締めて行くしかないと思っている。

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