暴力の痛みよりも心の痛みの方が辛い
どうして僕が麻美ちゃんに暴行を加えて、淫らな写真をネットにあげた事になっているのか今の僕には分からなかった。
僕はそんな事をしていないし、麻美ちゃんもそんな事を言うことはない。
二人の刑事を牽制して、僕は叫ぶ。
「お前等これ以上僕に暴行を加えるなら、お前等の腕の骨を折るぞ!!」
と叫んだ。
すると蔵石は、
「分かった君は何もしていない。それで良いから、技を解いてくれ!」
僕は蔵石ともう一人の刑事の腕を離した。
すると二人は僕に向かって思い切り、パンチを加えてきた。
蔵石は僕の顔面を殴り、もう一人は・・・。
★
僕は何もしていないのにどうして刑事達に濡れ衣を着せられようとしているのか?
これは間違いなく駒木根の力が働いているからだろう。
★
僕の知らない所であざ笑っている奴がいる。
それは駒木根だ。
「あひゃひゃひゃひゃ!!愉快痛快だよ。俺の事を蹴散らした事に関して絶対に許される訳がないだろ」
大好物の手羽先を食べながら、笑っている。
「高橋純はもう警察に捕まって俺の濡れ衣を着させて、そして、今度は高岡小百合の番だ。俺は女だからと言って俺に恥をかかせた奴は絶対に許さない。さあ、どう料理してやろうかな!?お前達は無力なんだよ。俺の父親は市議会員で警察を自由自在に操る事が出来る。奴に一生消えない、傷を与えなきゃ気が済まない。絶対に高橋純と高岡小百合を奈落の底へと導いてやるよ俺が!」
そう言って駒木根は大好物の手羽先を食べながら、誰も知らないパソコンの前で笑っていた。
★
「おい、起きろよ」
朦朧とした意識の中目覚めると、蔵石は不敵な笑みを浮かべて僕を見つめる。
「僕はやっていない」
「浅岡麻美はお前がやったって言っていたよ」
「そんなのデタラメだ、僕は何もしていない」
すると僕の腹にパンチを加えようとしていた。
それをまた少林寺の技で回避させようとしたが、僕が気絶している間、僕の手と足は縄で拘束されていた。
そして見事に僕の鳩尾に入り、僕は椅子ごと吹っ飛んでしまった。
僕は思った。ここはまさしく地獄だと。今日お母さんに駒木根を退治しに学校へ行けば良かったのかもしれない。
何で僕が麻美ちゃんに仕掛けた罪を僕に強制的に着せようとしているのか?
ここで『はい。そうです』と認めてしまえば楽になれるだろう。
でも僕はそんな事は出来ない。
こいつら本当に国家を守る警察なのだろうか?どうして真実をもみ消してまで僕に罪をなすり付けようとするのか?
それは決まっている。駒木根の力が働いているからだ。
「本当の事を吐かないともっと痛い目に合うよ」
そう言って僕の脛に蹴りを思い切り付けたのであった。
「僕は知らない何もやっていない。あんた達、駒木根の回し者だろ」
「誰だ。その駒木根って奴は!?」
少々動揺していたことに僕はやっぱりこいつらは駒木根の回し者だと言うことが分かった。そして、
「お前は何か?自分の罪を人になすりつけようとしているのか?」
手と足を拘束されて僕はもはやサウンドバックの状態だった。
「僕は何もしていない。本当にお前等はそれでも刑事か!?」
「刑事だよ。お前達の様なクソガキを管轄する少年課の刑事だよ」
「じゃあ、どうして僕の大切な友達の麻美ちゃんに僕があんた達の言う事を鵜呑みにさせようとするんだ」
「お前、まだそんな事を言うのか?だったら証拠見せてやろうか!!?」
「見せて下さいよ」
するとまた、僕の脛を思い切り蹴り上げた。
痛いって物じゃ無い。こんな痛みを味わったのは生まれて初めての事だった。
でもその脛の傷は時が経てば消えると思っている。それに内臓が破裂しそうな程の鳩尾にパンチを食らった事もすぐには消えないと思っているが、いつかは消える。
だから僕はサウンドバックでも良い、痛いが、友達の麻美ちゃんの事を思えばこんな痛みより心の痛みの方がよっぽど痛いと思っている。
「殴りなよ。何だったら殺しても良いよ。こんな痛み麻美ちゃんが味わった痛みに比べれば痛くも何とも無いよ!!」
思い切り豪語してやった。
「このクソガキ!!!」
「待って下さい蔵石さん。これ以上やると本当にこの子は死んでしまいますよ」
「死んだって構わないさ。こいつが舌を自分で切って言わなかった事にすれば・・・」
まさに拷問だった。本当に僕は死んでしまうのか?
覚束ない意識の中、蔵石の嫌みったらしい笑みが僕を見ている。
こいつは人間じゃ無い。人間の皮を被った悪魔だ。僕がここで殺されれば、市議会員の父親を持つ駒木根に相当なダメージを与える事が出来るだろう。
僕はここで死んでも良い。麻美ちゃんの傷に比べればこんな痛み屁でも無い。
きっと僕が死ねば、きっとお母さん達は僕の敵を討ってくれるだろう。
小百合さんともう勉強や小説を頑張る事は出来なくなってしまった。
少年課の蔵石の刑事達は僕をサウンドバックのように殴り蹴りしている。
こんな痛み何度も言うようだが、麻美ちゃんが受けた痛みに比べれば本当に何でも無い。
もう僕が死んだら悲しむ人はいるだろうが、駒木根の目的は僕だ。
その僕が死ねば、駒木根も人を呪わば穴二つとお母さんが教えてくれた事だ。
僕は死んだって駒木根の濡れ衣を着たりはしない。
ここはどこだろう。
僕は今、何をしているだろう。
とうとう蔵石達に殺されてしまったのだろうか?今の僕には分からない。
真っ暗で何も見えない。
すると何か生暖かい物が僕の顔にたれて来た。そしてその生暖かい滴は僕の口元まで伝って来た。
するとその滴は涙の味だと言うことが分かった。
その目を開けるとお母さんが僕に顔を寄せ付けて言ったのだ。
「純君大丈夫?生きている」
「・・・お母さん・・・」
意識がもうろうとしているがお母さんだと言うことが分かった。
そう言えば僕は蔵石達にサウンドバック状態にされて、殺されてはいないみたいだ。
それよりもここはどこだろう?
何で僕は生きているのだろう。
体を動かそうとしても、あまりの痛みに動く事すらできなかった。
「純君、ゴメンね、駒木根に報復しよう」
僕はそれを聞いて、どうやら僕はベットの上みたいで、その首を縦に振ったのだった。
あの蔵石達の刑事達はどうなったのだろうか?そして僕はどうしてここに眠っているのか分からなかった。
僕が生きていることは、また駒木根の奴が僕の仲間達に酷い目に合わせるかもしれない。
今度こそ、僕達と駒木根達の戦争が始まるんじゃないかと思った。
今度こそお母さんは僕にこんな目に合わせた駒木根に戦争を仕掛けるつもりだ。
復讐は復讐しか生まないが、お母さんも僕がこんな姿になったら、もうそんな事を言っている場合じゃ無いだろう。
復讐は復讐しか生まない。それでも結構だ。
絶対に駒木根の奴を殺しに行かなければいけないと僕は思っている。
いや殺しはしない、奴に僕と同じ目にあって貰わなきゃいけないと思っている。
どうやら僕はベットでここが病院だと言うことに気がついた。
「お母さん、僕はどうして?」
「あなたは交通事故にあった事にされているわ」
「僕は交通事故に遭うほど間抜けじゃ無いよ」
「そんなの私が一番知っている事よ。顔以外に散々痛めつけられた見たいね」
「小百合さんは!?」
するとお母さんは黙り込んでしまった。
「お母さん、小百合さんは?」
「小百合ちゃんも麻美ちゃんと同じ事をされたわ」
それを聞いて僕の堪忍袋の緒は完全に切れて、僕は痛みを凌駕して立ち上がろうとした。
「ダメよ純君、今は動いちゃ」
駒木根の奴、絶対に許さない。




