復讐は復讐しか生まない
きっと駒木根は僕達の知らない所で笑っているのだろう。
「あひゃひゃひゃ!!これは愉快痛快だよ!!これで俺の腹の虫が癒えたも当然」
そんな時である。僕達の英明の仲間達を徹底的に潰そうとした人物が駒木根の前で謝罪する。
「すいません。駒木根さん。あいつらの中に強い力が働いている人物がいます」
「何だ。お前、もしかして英明の連中を介助に至るまで潰せなかったのか?」
「はい、すいません」
「で、そいつの名前は何て言うんだ?この役立たずが」
「豊川英治です。奴に逆らった物はただじゃ済まない見たいです」
「それでお前は何も出来ずにのこのこと帰って来たのか?」
「申し訳ありません」
「謝って済む問題じゃねえだろ!」
そう言って駒木根はその高校生の奴の顔面に蹴りを入れた。
「申し訳ありません」
「それで施設の連中の方はどうなったんだよ」
「こちらも高橋亜希子と言う人物に打ちのめされそうになりました」
「この役立たず共が!・・・でもまあ良い、連中に一泡吹かせた物をネットに送り込んだのだからな、これで麻美とか言う人物の人生は終わったも当然、それに高橋に高岡にも心のダメージを喰らわさせてやったんだからな」
僕達の知らないところで駒木根の力が働いていた。
★
僕と小百合さんはとりあえず僕の家に行って、お母さんは大丈夫か?心配だった。
僕の家に入ると、お母さんは足に傷がついていた。
「お母さん大丈夫?」
「亜希子お母さん、その足の傷は?」
「大丈夫よ、純君に小百合ちゃん。君達が通っていた小学校の駒木根君だっけ?その回し者が来たからぶっ飛ばしてやったわよ」
少林寺拳法四段のお母さんに傷を付けるなんて、これはやっかいな物にとりつかれてしまったかもしれない。
「僕のせいだ」
そう言って地面に頭を叩き付け、悔しくて涙も出ないほどの物だった。
「ちょっと純君、やめなさい!」
お母さんはそう言っているが、もう僕は自分を責めるしか無かった。
するとお母さんは僕の頬を叩いたのだった。
僕は泣くしかなかった。こんなにも無力な自分に泣く事しかできなかった。
僕は駒木根の住所を調べて、駒木根の所まで走って行くことにした。
「ちょっと純君、何をするつもりなの?」
小百合さんは僕の後を追ってやってきた。
「駒木根の奴をぶっ殺しに行くに決まっているじゃん」
「だったら私も行くよ」
「小百合さん・・・」
「私と純君はもう運命共同体だからね」
そう言って駒木根の家まで行こうとしたところ、お母さんが僕達の前に立ち塞がり、
「あなた達無謀な事はしない事よ。それと少しは頭を冷やしなさい」
「そんな事を言っていられないよ。お母さん知っている?麻美ちゃんの裸の写真がネットを通して出回ってしまったことを」
「その話なら豊川先生に聞いたわ。とにかくこれ以上の犠牲は出さないように私と豊川先生が何とかするから」
「何とかするって言ったって、駒木根の父親は市議会委員で権力の持ち主なんだよ」
「純君、それに小百合ちゃん。お母さんと豊川先生の事が信じられないかな?それに剛君達と英明のみんなはそれぞれ一人じゃないんだよ。それにいくら力が働いていたって、奴らは自滅するのが時間の問題よ」
「自滅するのは僕達の方だよ。それで麻美ちゃんはあんな酷い目にあったんだよ」
「でも麻美ちゃんは一人じゃ無い。私や純君や小百合ちゃんも一人じゃ無い。それにどんな事があっても復讐なんて人を呪えば穴二つと言う様に、復讐は復讐しか生まないのよ」
「じゃあ、どうすれば良いんだよ!」
「とにかく私達の事を信じなさい」
「信じるって言ったって麻美ちゃんはもう外には出れないよ。あの麻美ちゃんがあんな姿をネットに拡散されてしまった。その事を麻美ちゃんが知ったら、麻美ちゃん立ち直れないよ」
「とにかく復讐なんていけないわ。それとあなた達には頼もしい仲間がいる。胸を張って明日からまた小説や勉強を頑張りなさい」
ここはお母さんをやっつけてでも駒木根の所に行こうと思ったが、どうやら諦めるしか無いみたいだ。
友達の苦しみは僕と小百合さんの苦しみでもある。
奴はそれにつけ込んで僕達の仲間を一人一人亡くして行くことを考えている卑劣な奴だ。僕達は駒木根の奴を決して許してはいけないと思っている。
今日の所はここで引き下がるが、今度僕達の仲間を傷つけたら、今度こそ駒木根の息の根を止めてやろうと思っている。
今日も小百合さんは僕の家に泊まることになった。
お母さんは僕と小百合さんに腕を振るってクリームシチューを作ってくれたのであった。
僕はこんな物を食べている場合じゃ無いと思ったが、とにかく僕はお腹をすかせていたので、そのクリームシチューを食べることにした。
食べてみるとそれは最高においしい物で涙がこぼれ落ちそうになってきた。
でもおいしい物を食べるとなぜか元気になってくる。
とにかく僕はこの悲しみを無くしたい一心でクリームシチューを食べるのであった。
「純君、そんなに慌てて食べなくても、誰も取りはしないよ」
何てお母さんは言っていた。
すると小百合さんが笑い出して、つられて僕も笑ってしまった。
そうだよ。僕達にはお母さんや剛君に豊川先生や英明のみんながいる。
先ほどまではお母さんが大丈夫って言って、それを半信半疑に受け取っていたが、もう大丈夫な気がする。
みんな僕が思っているよりも、みんなは強いと思った。
そうだ。ちょっと嫌だが明日学校に行くのはどうだろうと思った。そうすれば駒木根の奴に会えると思っていた。奴に僕達の恐ろしさを知らしめてやるんだ。そうすれば奴は僕達の仲間に手を加えるのなら、本気で腕を一本折っても、いや殺しても良いと思った。
次の日、僕は小百合さんが起きないように、こっそりとランドセルを持って外に出ようとした。
リビングからお母さんがカタカタとパソコンで翻訳家の仕事をしている音がした。
どうやら僕が学校に行くのに二人とも気がついていないみたいだ。
時計は午前六時を示している。
気がつかれないように、外に出ようとすると、お母さんがやってきて、
「どこに行こうとしているの?」
「・・・」
僕はお母さんの質問に返答が出来なかった。
「もしかして学校に行って駒木根に復讐をするんじゃ無いでしょうね!?」
「だったらどうするの?」
「やめておきなさい。純君は知っているはずよ、一人の無力さを」
確かにそうだ。どんな強い人間でも一人は無力だ。
そう思うと僕は怖くなってきた。
「純君、怖いでしょ。一人で何とかしようと思わないでとにかくみんなを信じる気持ちが大事よ」
確かにお母さんの言っている事は正論だ。
でも僕は行かなければならないと思ってその扉を開けて学校に行こうとすると、お母さんがすっ飛んできて、僕の頬を叩いたのだった。それでも学校に行こうとするとお母さんは僕に少林寺の得たいのしれない技を使って、牽制された。
「純君は少しは御利口さんだと思っていたけれど、案外違った見たいね」
「僕は駒木根の奴をぶっ飛ばしに行きたいんだ。だからお母さん学校に行かせてよ」
「ねえ、純君昨日お母さんは復讐は復讐しか生まないって言ったよね」
「だから何なの!?」
「そう、親に対してその態度だと本気みたいね」
お母さんの顔を見ると、お母さんは目くじらを立てて、僕を見つめたのだった。
僕はそんなお母さんが凄く怖かった。
「とにかくお母さん。僕は駒木根に復讐するんだよ。そうしないと今度は誰が標的にされてしまうか分からないよ」
「お母さんはそこまで純君がバカだったとは知らなかったわ」
そう言ってお母さんは技を解いてくれた。




