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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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迫り来る恐怖

 小百合さんは午後も勉強と小説を頑張ろうとしていたが、僕達には気晴らしと言う物が必要だと思って、僕は小百合さんにとっておきの場所まで、小百合さんと二人乗りをして行くことにした。


 僕のとっておきの場所って、以前お母さんが教えてくれた所だった。


 自転車を漕ぐ僕、後ろに座っている小百合さん。


 とにかくこの道をまっすぐに行くと僕とお母さんのとっておきの場所まで辿り着くのだ。


 それにそのとっておきの場所は迷うことはない。だってこの道をまっすぐに行けば良いだけだから。


 でもそのとっておきの場所って自転車で一時間半はかかるんだよな。


 それに小百合さんと二人乗りをしているから、その分時間が削られてしまうかもしれないが、僕は小百合さんと一緒に僕とお母さんのとっておきの場所まで案内する。


 さすがに小百合さんを後ろに乗せて自転車を漕ぐのに凄く時間がかかってしまった。


 それに僕は情けなくも途中で疲れ果ててしまった。


「はぁ、はぁ」


「ちょっと純君、大丈夫?」


「大丈夫だよ。僕とお母さんのとっておきの場所までもうすぐだから」


「純君さっきからそればっか、純君疲れているでしょ。良かったら私が運転代わるけれど」


「いや、大丈夫だって、このぐらいの距離何ともない」


 僕はすでに初夏の太陽に浴びて汗びしょ濡れで疲れ果てていた。


 すると小百合さんは自転車から降りて、


「純君、私が運転代わってあげるから、もう無茶な事はやめてよ」


「別に無茶な事をしている訳じゃないけれど」


「もう汗だくじゃない。とにかく私が自転車変わってあげるから、純君、後ろに座って」


「小百合さん、二人乗りはしたことはないでしょ」


「別にないけれど、今の純君よりかは走れると思うよ」


 そう言って小百合さんは強引に僕の自転車の運転席に代わって、小百合さんに僕を後ろに乗せて走り出すところだった。


 本当に小百合さん、言ったら聞かない人だからな。


 小百合さんに運転して貰う僕は多少情けないと思ってしまった。


 小百合さんは二人乗りは初めてだが、うまく進むことが出来る。


「純君、この道をまっすぐに進めば良いのよね」


「うん。そうだよ」


 女の子に限界だからと言って、運転を代わって貰ったのは良いが、何か複雑な気持ちだった。


 そしてようやく、僕とお母さんのとっておきの場所まで辿り着いた。


 辿り着いた場所は海が見える場所だった。


「すごーい!!!何これ!!!ほとんどの海が見渡せるじゃない。本当に凄いところを知っているんだね、純君は!!!」


 そう僕が見せたかった、僕とお母さんのとっておきの場所、海が見渡せる所だった。


 風が強く吹いていて、小百合さんの優雅なワンピースを揺らしていた。


 僕は小百合さんとここに来れて良かったと思っている。


 僕は思いきり叫んだ。


 このとっておきの場所はいくら叫んでも、僕達の声を風がかき消してしまい、この無限の空と、広い海に飲み込まれるような感じだった。


 僕と小百合さんは交互に叫んだ。


 声にならないほどの叫び声で僕達は叫んだ。


「絶対に僕は小説家兼保育士になるんだーーーーー!!!」


 と僕は無限の空と広い海に夢を叫び、とても気持ちの良い感じがした。


 小百合さんも自分の夢をこの無限の空と広い海に夢を叫ぶのだった。


 僕達は激しい、風にあおられてとても気持ちの良い、場所を小百合さんに教えたのだった。

「純君は、良くここに来るの?」


「以前、お母さんと一緒に良く行っていたんだ」


「へー本当に凄い所を知っているんだね」


 小百合さんは僕とお母さんのとっておきの場所を気に入って貰えたみたいだ。


 自転車で二人乗りして苦労した甲斐があったと言う物だと僕は思った。


 僕と小百合さんは強風が吹く風にあおられながら、地面に仰向けになり、初夏の太陽に照らされながら、目を閉じるのだった。


 まるで僕達しかいない、世界だと錯覚してしまう。


 本当に苦労してここまで来て良かったと思っている。


「ねえ、純君」


「なあに?小百合さん!」


 その目を開けると、小百合さんは僕の唇と小百合さんの唇が重なり合った。


「純君、私にこんな素敵な場所を教えてくれてありがとう。これからもよろしくね」


「こちらこそ」


 そう言って僕と小百合さんは堤防に乗って、強い風にあおられながら、無限の空と広大な海を見渡すのであった。


 強い風に小百合さんはあおられて、スカートがめくれてパンツが見えてしまった。


「きゃ!」


「小百合さん風が強いから小百合さんのパンツが見えてしまったよ」


「何よこのスケベ!」


 そう言われて僕は小百合さんに軽く蹴りを入れられてしまった。


 僕達はお互いに一線を越えてしまった仲だ。でも小百合さんのパンツの色は水玉だった。それに僕はほんのちょっとだけ興奮してしまった。


 堤防から降りて小百合さんは僕の顔を見つめて。


「純君、本当にスケベね。私のパンツを見て顔が真っ赤だよ」


「えー!」


 確かに僕は小百合さんのパンツを見てちょっと興奮していた。それで顔が真っ赤なのを知られて僕はちょっと恥ずかしかった。


 それで僕達は海が見える堤防に寄りかかって、海を二人で眺めた。


 本当に僕と小百合さんしかこの世界にいないみたいだ。


 でも何人か人はいた。


 マラソンしている人とか、犬の散歩をしている人とか、僕達みたいにカップルも存在していた。


 カップルって言っても、学生服を着た高校生や、大人のカップルとかもいた。


 でも僕達は、堤防に寄りかかり、無限の空と広大な海を眺めて、二人の世界に入っていた。

 そして僕達は夢やこれから来る、新しい何かを語り合ったりしていた。


 そして時間は時々刻々と過ぎていき、そろそろ帰らなきゃいけない時間になってしまった。

 そこで二人で語り合い僕達は恋人兼ライバル関係だと言うことを思っていた。


 僕は小百合さんがいるから頑張れるんだ。


 逆に小百合さんも僕がいるから頑張れるんだ。


 そうやって互いに熱を出し合って、小説や勉強などの意欲に燃えるのだった。


 帰り道、僕と小百合さんは交互に自転車で二人乗りをして帰るのであった。


 恋人同士なんだから助け合うのも当然だと思う。


 今日は本当に良い一日だった。


 そして帰るととんでもない事が起こることを僕達はまだ知らない。


 僕の家に到着すると、小百合さんはお母さんに一言言って帰ろうとしたところであった。


 僕達が家の中に入るとお母さんはいなかった。


「あれ!?亜希子お母さんいないね」


「いつもの剛君達にバスケを教えているんじゃない?」


「もう六時半よ、こんな時間まで何をしているのだろう?」


 そんな時、僕の携帯が鳴り出した。着信画面を見てみるとお母さんからだった。


「もしもしお母さん?」


『あっ、純君、麻美ちゃんを知らない?』


「麻美ちゃんはお昼まで僕と小百合さんと一緒に勉強や小説をやっていたけれど、麻美ちゃんがどうかしたの?」


『麻美ちゃんの行方が分からなくなっているのよ』


「え?」


『あなた達、午後は何をやっていたの?』


「うんと小百合さんととっておきの場所まで自転車で行っていたよ」


『そう』


 僕は心配になってきた。


「そう言えば麻美ちゃんと別れたのは、麻美ちゃんがお昼だからと言って教会に帰るって行ってそれきり合っていないけれど」


『そうなの!?』


「そうだけれども」


『とにかくお母さんは光さんと教会にいるのだけれども、行方が分からなくなっているのよ、今剛君達が必死に探しているけれど、どこにも見つからないのよ』


 それで僕は嫌な予感がした。


 今朝感じた。あの誰かに見られている事は気のせいではなかったのかもしれない。


 とにかく麻美ちゃんの事が心配だ。


 僕は小百合さんに事情を説明して、一緒に麻美ちゃんを探しに行くことにした。

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