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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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風邪をひいてしまったお母さん

 英明塾の最年長者アトム君は将来美容師を目指して美容師の専門学校に通っていると言っている。


「アトムさんって、ここの英明塾のスタッフさんだったんですか?」


「気がつかなかったかな?」


 そうだよな、二十歳にもなってここの英明塾に入るなんてちょっとおかしいと思っていたんだよな。


 みんなとバスケをして、もう五月だから夏に近づいている。


 僕も疲れているのでアトムさん達とゲームをして遊んだのだった。


 こうしてみんなで遊んで、みんなそれぞれの夢を見ている。


 中には絵描きになりたい人や、ゲームのプログラマーになりたいとかいる。その他にもたくさんそれぞれの夢に向かって走っている人もいる。


 ちなみにアトムさん達に僕と小百合さんの夢を語ると、みんな僕と小百合さんが小説を書けることに対して驚いていた。


 本当に僕達はここの英明塾に入って良かったと思っている。


 みんなとぷよぷよと言うゲームをしながら、遊んでいるうちに僕達は少林寺拳法の時間になってしまった。


 本当に楽しい時間と言うのはすぐに過ぎ去ってしまう。


 僕と小百合さんはそれぞれ、家に戻り胴着を持っていった。


 そして二人乗りをして僕と小百合さんは少林寺拳法の時間に間に合ったのだった。


 本当にここのスポーツ会館は良く出来ている。


 今日も基礎練からして、サウンドバックに拳を突きつけたり、蹴りを突きつけたりした。


 それに今日も少林寺拳法の必殺技を覚えたのだった。


 そんな楽しい時間もあっと言う間に過ぎてしまう。


 本当に僕達は時が足りないほどの日常を過ごしている。


 今日も小百合さんは家に泊まっていくのかと思ったら、今日は帰ることになった。


 いつもいつも家に泊まるのも悪いと思っているのか?それとも昨日の様にセックスをするのが嫌になったんじゃないかと、勘ぐり深い事を考えてしまった。


 でも小百合さんは言っていた。


「別に純君の事が嫌になったわけじゃないよ。たまには家のお母さんとお父さんと過ごすことも大事だと思ったからだよ」


 そう言って、小百合さんを自転車で二人乗りして家まで送っていった。


 僕も帰ろうとして、自転車を漕いで自宅に帰るのだった。


 ドアを開けると、ドタドタドタとお母さんが僕の所にやってきて、僕の頬にキスをするのであった。


 何か分からないけれど、僕は幸せなのかもしれない。


「お帰り純君」


「ただいま、お母さん」


「今日の英明塾はどうだった」


「その事は夕飯を食べながら話すよ」


「もう夕飯だったら出来ているよ。今日は小百合ちゃんがいないのが残念だけれども、今夜は唐揚げよ」


「本当に!」


 僕は大好物の唐揚げを聞いてテンションが上がった。


 食卓は僕とお母さんだけなのに何か賑やかな感じだった。


 こうして幸せな毎日を送れるのも、お母さんのおかげだと思っている。


 僕の年齢ではまだ、お母さんを養う力を持っていない。


 ましてや小説で売れて、小学生でデビューを飾ろうかと考えたが、世の中はそんなに甘くはないと思っている。


 でも僕は小説を書き続ける。もしも売れなくても、僕は生涯小説家であることを止まない。

 今日はお母さんとまたお風呂に入ることになってしまった。


 お母さんはこれが楽しみでもあるんだよな。


 何かお母さんの裸を見ていると、小百合さんに申し訳がないような気がする。


 お母さんは三十五だけれども、見た目は十歳なんだよな。


 どうしてこんな事になってしまったのか僕には分からないが、僕はそんなお母さんだったからこそ、色々な人と出会える事が出来たんだよな。


 よし、きっと小百合さんも勉強も小説も頑張っているのだろう。


 僕も頑張ろうとして、机の前で勉強と小説を進めるのであった。


 何か分からないけれど、きっと今頃小百合さんは部屋で勉強や小説などを頑張っているに違いないと思っていた。


 僕と小百合さんはこうして離れていても熱を感じることが出来る。だから僕は頑張れるのだ。小百合さんは僕の恋人でもあり、そしてライバルでもあるんだ。


 僕は負けるわけにはいかない。それに立ち向かって行かなければならないと思っている。


 時計を見ると、午前零時を示している。


 そろそろ寝た方が良いと思って電気を消して布団の中に入ると、リビングの向こうからお母さんが翻訳家の仕事の音が聞こえてくる。


 お母さんも大変だと思う。きっと僕と小百合さんよりも大変だと思うが、お母さんも仕事に誇りを持って翻訳家の仕事をしているのだろう。


 お母さんはきっと僕達と同じように幸せなんじゃないかと思った。


 弱虫だった時の僕とはもうさよならだ。




 ★



 次の日、僕は目覚めると午前五時を示していた。


 リビングに出てみると、お母さんは翻訳の仕事に疲れたのか、ソファーの上で眠っていた。風邪をひくといけないので僕はお母さんに布団を被せた。


 僕は人知れずに呟く、


「お母さんいつもありがとう」


 と。


 朝ご飯は自分で作れるようにしたいと思うので僕はトーストを焼いてバターを付けて食べるのだった。


 そんな時にお母さんはむくりと起き出してきて、お母さんに「おはよう」って挨拶をするのだった。


「おはよう純君、朝ご飯自分で作れるようになったんだ」


「あまりお母さんには負担をかけたくないと想ってね」


「言うようになったわね純君。とにかく朝ご飯は大事だから、トーストだけではダメでしょう。だから野菜を切ってあげるから、食卓で待っていなさい」


「別に大丈夫だよ」


「ダメよ。お母さんの言うことを聞かないと悪い子になっちゃうよ」


「別に僕は悪い子じゃないよ」


「とにかく食卓で待っていなさい」


 そう言ってお母さんは台所に立ち、冷蔵庫からレタスとトマトとキュウリを取り出して、すぐに野菜の盛り付けを作ってくれた。


 僕はそれを青じそのドレッシングをかけて食べるのだった。


 本当にお母さんの作る料理はおいしいと僕は幸せを感じてしまった。


 お母さんが作ってくれた野菜を食べると、僕は小説と勉強をしようとするのだが、お母さんが台所で倒れてしまった。


 心配になった僕は、


「お母さん。大丈夫!?」


「大丈夫よ。もう純君は大げさね」


 昨日も夜中まで翻訳の仕事をしていたのだろう。そりゃ疲れるよな。


 僕はそんなお母さんをおぶって、僕の部屋に連れて行き、僕の布団の上に寝かしつけた。


「ちょっと、純君、大げさよ。私は大丈夫だから」


「全然大丈夫じゃないじゃん。昨日も夜中まで翻訳の仕事をしていたんでしょ。お母さん、それに剛君達にバスケを教えてあげたりもしたんでしょ。お母さんはちょっとは楽にならなきゃいけないと思うよ」


「本当にそうね、じゃあ、お昼まで私は眠っているから、純君は英明に行きなさい」


 僕はお母さんのおでこを触ってみた。


 すると熱があるのが分かった。


 とりあえず体温計でお母さんの体温を調べてみると、七度五分の熱があり、僕はお母さんに言った。


「今日は剛君達にバスケを教えるのはお休みにしようよ」


「何を言っているのよ。剛君達にバスケを教えるのは日課になっているんだから」


「でも、熱があるんだよ。だから、今日の所は剛君達に伝えて置くから、今日の所は休んでよ。僕も英明に行くのはやめるから」


「じゃあ、小説や勉強はどうするのよ」


「小説と勉強はこの部屋でも出来るから、今日はお母さんの看病を一日中してあげるから」


「そんな純君に看病されるほど、お母さんは弱くはないわよ」


 と言って立ち上がろうとしたところ、お母さんは倒れてしまった。


 そんな時、玄関からチャイムの音がした。


 こんなに早く来るのは小百合さんしかいない。


 そして玄関まで行くと小百合さんは待っていた。


「純君おはよう。今日も英明塾に行こうよ」


「今日はちょっと無理かな」


「どうして?」


「今日はお母さんの看病をしてあげなきゃいけないんだよ。お母さん風邪をひいてしまって、だから小百合さん。今日は英明は一人で行ってくれるかな?」


 すると小百合さんは微笑んで、


「何水くさいことを言っているのよ。私も看病に付き合わさせて貰おうかな」


 そう言う事で僕と小百合さんでお母さんを看病をする事になった。

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