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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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コウノトリが僕達に子供を授けてくれた

 小百合さんの看病の元で僕は風邪を治す事に成功した。


 今日は勉強や小説の事を忘れて、二人で遠出に出ていた。


 僕と小百合さんは電車の中でたわいもない会話を繰り返して話し合っていた。


 小百合さんとこうしていると幸せを感じてしまう。


 遠出と言っても僕はこの田舎町に存在するアニメイトと言う所に行くつもりだった。


 僕は実を言うとオタクなのだ。


 最近のアニメでは美少女巫女奈々と言う物が流行っている。


「小百合さん。次の駅に行けば、アニメイトって言う漫画がたくさんある所に辿り着くよ」


「まあ、私はアニメやそう言った物には興味はなかったけれど、純君が好きになったアニメを好きになっていくのも恋人としての縁かな」


「別に無理して僕の趣味に合わせなくても良いよ」


 電車はローカル線で僕と小百合さんしかいない。


 今日は美少女巫女奈々の最新刊の発売日である。


 小百合さんは別に発売日に買わなくても良いんじゃないかと言っていたが、発売日に買うと得点がついてくるからその得点が目当てだと言ったら、小百合さんに『本当に純君ってオタクね!』と笑われてしまった。


 今はオタクだからと言って格好の悪い物ではない。


 小百合さんはオタクが最近の文化だと言うことを知ってもらいたい。


 駅に到着すると、電車から降りて、ロッカーの中から、鳴き声が聞こえてきた。


 鳴き声と言っても鳥や動物の鳴き声ではなく赤ん坊の泣き声だ。


 僕と小百合さんはその泣き声の元を辿り、ロッカーの中を隅々まで見ていた。


 すると籠に入った白い小さな服を纏った赤ん坊だった。


「小百合さんこれって」


「何でロッカーの中にこんなかわいい赤ちゃんがいるの?」


 僕と小百合さんは不思議がるようにその赤ん坊を見ていた。


 赤ん坊は必死になって誰かの助けを求めるように泣いていた。


 小百合さんが赤ん坊を抱き上げて、「よーしよし、泣かないの」と言ってあやしていた。


 でも赤ん坊は泣き止まなかった。


「もしかして」


 小百合さんは赤ん坊をその場で置いて、おむつを取った。


 するとおむつはぐちゃぐちゃだった。


「おむつがぐちゃぐちゃでこの子の皮膚がかぶれちゃったわ。純君私はここにいるから。そこの薬屋でおむつを買ってきて」


「でもこのお金は美少女巫女奈々の・・・」


「良いから早く!」


「はい」


 僕は急いで薬屋に行き、赤ん坊の女の子用のおむつを買うのであった。


 これで美少女巫女奈々のお金をすべて使ってしまった。


 でも何でロッカーに赤ん坊を捨てる親がいるのだろうと、僕は酷いと思っていた。


 そして女の子用のおむつを買って小百合さんの元へと行った。


 すると小百合さんは手際よく赤ん坊のおむつを交換して再びあやすと、赤ん坊は泣き止んだ。


「よーしよし、良い子だね」


 小百合さんが赤ん坊をあやしている姿はまさに母親の様な感じに見えてきた。


「小百合さん、その赤ん坊どうするつもりなの?」


「とりあえず、施設に預けるのは嫌だから、まずは私達だけで面倒を見ましょう」


 何かめんどくさい事になってきた様な気がした。


「何を言っているの小百合さん。この子を僕達で育てるの?」


「そうとは言っていないわ。でもこの子をほおっておく訳にはいかないでしょ」


 確かにそうだ。その子をほっとけない。


 美少女巫女奈々の得点を逃したのは痛いが、こうして小百合さんの母性本能が混じった気持ちを考えると、それはそれで良いような気がした。


 折り返しの電車を待ちながら、小百合さんは赤ん坊をあやしていた。


 その姿はまるで聖母の様な感じに見えてきた。


 本当に小百合さんは聖母の様な人だ。


 それに僕には分かるが小百合さんの母性本能はとても凄いと思った。


「僕にも抱かせてくれないかな」


「うん。良いわよ」


 赤ん坊を抱いて見てみると、凄くかわいい。


 もしかしたら、コウノトリさんが僕達に赤ん坊を持って来てくれたのかもしれない。


 そうだ。子供と言うのはこのように愛し合った僕と小百合さんの間に出来たのであると思えた。


 でも赤ん坊ってお母さんのお腹の中から生まれて来ると聞いたが、それはどういう事なのだろう。きっとそれは大嘘だ。きっと僕と小百合さんの間に出来た子供だ。


 お母さんが見たら凄く驚くだろうし、それに喜ぶかもしれない。


 赤ん坊は僕達に安心したのか、すやすやと眠りについている。


「小百合さん、この子僕達の子供だよ」


「何でそうなるの?」


「子供と言うのは愛し合った僕達の間に生まれて来たんだよ」


「なるほど、このように子供と言うのは出来るんだね」


 小百合さんも納得してくれたみたいだ。


「とにかくこの子の名前を付けようよ」


「女の子だからね。うららちゃんと言うのはどうかしら?」


「うららね、ナイスネーミング。この子は今日から僕達の子でうららちゃんだ」


「早速私のお母さんと、亜希子お母さんに知らせに行きましょう」


「そうだね。僕達の子供だからね。今日からこの子はうららちゃんだ」


 そう言って僕は美少女巫女奈々の得点などどうでも良くなっていた。


 それにしても子供というのはこのように出来るんだ。凄く神秘的な事だと僕は思い知る。


 僕達はうららちゃんをあやしながら、僕達がやってきた電車に乗って、帰ることにした。


 きっとお母さんは喜ぶと思う。


 だって僕達が愛し合って出来た子供だからね。


 うららちゃんは起き出して、小百合さんが「お母さんですよ」とあやしている。それにうららちゃんも喜んでいる。


「でも小百合さん」


「何、純君」


「僕達はまだ子供なのに、そのうららちゃんを育てる事が出来るのかな?何か周りを見ていると、みんな子供って大人になったら出来ると思っていたけれど、どうしてかな」


「純君、私達が愛し合って出来た子供だよ。子供ってこのように私と純君の様な恋人同士で将来結婚をし合う仲で生まれた子供なんだようららちゃんは」


「なるほど、僕達の間に生まれた子供かあ、それは良いかもしれない」


 そうだ。この子は僕と小百合さんの間に出来た子供だ。


 この子は僕と小百合さんの愛の結晶だと思っていた。


 でも家に帰ると、お母さんが僕と小百合さんの子供を紹介すると何やら頭が痛いのか?ため息をついていた。


「お母さん、何ため息なんてついているの?僕達の子供だよ」


「二人とも、その赤ん坊どこから持ってきたの?」


「だから亜希子お母さん、私と純君の愛の結晶で出来た子供なんだよ」


「あなた達、本当にその子があなた達の子供だと思っているの?」


「「当たり前じゃん」」


 僕と小百合さんの言葉がハモった。


 大きくため息をつくお母さんであった。


「お母さん、嬉しくないの?僕と小百合さんの間に出来た子供だよ。要するにお母さんの孫だよ」


「あのねえあなた達、子供がどのように作られるかあなた達知っているの?」


「それは亜希子お母さん、コウノトリさんが僕達に子供を授けに来たんだよ」


「ねえ、あなた達本気でそう思っているの?」


 何かお母さんは激しく怒りを発している感じがして何か怖かった。


「お母さん、どうして怒っているの?僕達の子供だよ」


「あなた達は、まだ小学四年生だもんね。子供がどのように作られるかまだ知らないもんね」


「だから亜希子お母さん。こうして、コウノトリさんが・・・」


「って違う。子供と言うのはどのように作られるかあなた達はまだ知らないようね。ちなみにその子は少なくともあなた達の子供じゃないよ」


「じゃあ、誰の子なの?」


「あなた達は心の狭い人の子供を連れて来たんだよ」


「じゃあ、僕達の子供じゃないんだ」


 僕はがっくりとうなだれてしまった。

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