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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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看病してくれる小百合さんに感激する僕

 僕はお母さんに紹介された。フリースクール英明塾行きたかったが風邪をこじらせてしまった。


 不本意だが今日は英明塾に行くのはやめておいた。


 風邪をこじらせてお昼を回った所で僕は立ち上がり、体のだるさもなくなっていった。


 そんな時にお母さんが僕の部屋に来て、お母さんに体温計を計って貰った。


 六度七分だった。


 これならもう大丈夫だと思って英明塾に行こうとしたところ、お母さんが、


「何を言っているのよ。風邪は治りかけが一番危ないのよ」


「でも僕は大丈夫だよ。だから英明塾に行かせてよ」


「ダメよ。今日は純君はお休みの日なんだから」


「休んでいる暇なんてないよ。こうしている間にも小百合さんと言うライバルに先を越されてしまうんだから」


「ダメったらダメ」


 そんな時チャイムの音が響いた。


 こんなお昼時に何だろうと思って、お母さんが出てみると、小百合さんだった。


「あら小百合ちゃん。どうしたの?」


「何か純君の事が心配で来ました」


「あら、そうなの」


「だから亜希子お母さんは剛君達にバスケを教えている間、私が看病しています」


「それは助かるわ、じゃあ小百合ちゃんもお昼食べて行きなさい」


 小百合さんは僕のことが心配で家まではるばる来てくれた事に僕は感激した。


 そうだよな。僕が風邪をひいているときに勉強どころじゃないもんな。


「純君、今日は眠っているのよ」


 お母さんは僕と小百合さんにうどんを作ってくれた。


「このうどんの味おいしいですね」


 小百合さんが言う。


「まあ、風邪の時は消化に良い物が良いからね」




 ★



 食事を終えた僕と小百合さんは、部屋に戻っていった。


「小百合さん、本当に看病してくれるの?」


「最初は英明塾に行ったんだけれども、純君の事が心配で来ちゃったよ。こうして恋人がこんな感じなのに、勉強や小説どころじゃないと思ってね」


「小百合さん」


 何か小百合さんのその優しさに僕は胸が熱くなった。


「何よ、私が来たから感激した」


「感激するよ。やっぱり小百合さんは天使の様な気がするよ」


「そんな大げさな物じゃないよ。とにかく眠っていて、それともテレビでも見ている」


 そうだった。僕の大好きなプリチュアを録画してあったので二人で見ることになった。


「へープリチュアって案外面白い物だね」


「小百合さんも分かってくれた」


「うん。純君の好きな物は私はもっと知りたいと思っているよ」


 熱はもうほとんどない。だから勉強を始めようとすると小百合さんに止められた。


「ダメよ純君、風邪は治りかけが一番危ないのだから、とにかく純君は寝てなきゃダメ」


 小百合さんにそう言われて眠ること以外の事はさせてくれない。


 どうして僕は風邪をひいてしまったのだろう?


 今まで目的の為に無理をしすぎたのかもしれない。


 小百合さんまで心配をかけてしまった。それに僕がこうして眠っていると、小百合さんは僕に微笑みかけてくれた。


 僕は誇りに思った方が良いかもしれない。


 将来のお嫁さんがこんなにも優しい小百合さんだと言うことに。


「純君」

 

 そう言って僕の額と小百合さんの額を合わせて来た。


「熱はもう下がったみたいね。でも風邪は治りかけが一番危ないのだから、部屋から一歩も出ちゃダメよ。私がこうして看病してあげるのだから」


「うん」


 小百合さんとこうしているとなぜだが安心してしまう。


「でも小百合さん。どうして勉強と小説を投げるような事をしたの?」


「それはあなたの事が心配でそれどころじゃなかったのよ」


「ふーんそうなんだ」


「だから純君、早く風邪を治して、また徳川さんや勝さんやそれに純君の熱を浴びながら未来へ行こうよ」


 僕はそう言われて凄く感激した。


 僕も安心して眠りに入れる。


 僕は小百合さんの事が好きなんだ。


 小百合さんも僕の事が大好きなんだ。


 そんな時僕は小百合さんとの距離を凄く縮めた様な気がした。


 本当に僕は一人じゃないことに安堵の吐息が漏れた。

 

 そして僕は昔、凄く怖かった夢の事を思い出していた。


 お母さんがいなくなって、みんな友達もいなくなってしまったら、僕は自分自身を見失い、この世を漂っていた感じがした夢だ。


 あんな夢が現実に起こったら、僕は自殺してしまうかもしれない。


 僕は一人じゃない。


 こうして看病に来てくれた小百合さんもいるし、お母さんだっている。だから僕は一人じゃないんだ。


 そう思いながら僕は小百合さんとお母さんに言われた通り、部屋で眠る事にした。


 そうだ。僕は疲れていたんだな。


 毎日小説や勉強でてんてこ舞いだったから、僕の情熱に体がついて行けなかったんだ。

 本当に情けない。


 とにかく眠ろう。




 ★




「あああああ!!」


 と僕は大声を出しながら、目覚めた。


 時計を見ると午後四時を示している。


 それに何だろう。この暖かい感触は?


 確かめて見ると、まだ発達していない、小百合さんの胸であった。


「何で小百合さんが僕の布団で眠っているのだろう」


 人知れずそう呟いて小百合さんの気持ちの良さそうな顔を見つめていた。


 小百合さんの寝顔を見ていると、何かドキドキしてしまう。


 小百合さんは将来僕と結婚する仲なんだよな。


 一緒の布団に眠ったって良いと思っていた。


 僕はそんな小百合さんを抱きしめる。


 何て暖かい感触なんだろう。


 そうだ。だからあんな夢を見たのか。


 どんな夢かと言うと、言葉では話せない程の事だ。


 でもいつかは小百合さんとは夢の様な事をする時が来るかもしれない。


 小百合さんの体温は暖かかった。


 こうして小百合さんと一緒に眠ることはあまり良くないと思うが、それでも良いと思っている。


「何、私の事を抱きしめているの?」


 小百合さんの声が聞こえた。


「エエッ!?小百合さん起きていたの!?」


「起きていたわよ。私を抱きしめるなんてずいぶん大胆な事をするのね」


「ゴメン、つい、でも小百合さん、僕の布団の中に入ってきたのは小百合さんじゃない」


「確かにそうだけれども、抱きしめてくれて嬉しかったよ」


「そうやってまた僕の事をからかう!」


「からかって何ていないよ。私は純君の事が大好きだよ」


「本当にそうみたいだね」


 そう言って小百合さんは僕の事を抱きしめて来た。


「ちょっとちょっと小百合さん。僕はまだ病み上がりなんだよ。とにかくあまり僕にひっつかない方が良いかもしれないよ」


「そうだ。私純君が眠っているとき、良い物を買ってきたんだ」


「何を買ってきたの?」


 すると小百合さんは桃缶を差し出して来た。


「あーそれ、僕大好きなんだ」


「じゃあ、純君と私で一緒に食べましょ」


「うん!」


 そう言って僕は小百合さんと一緒に過ごすことになった。


 桃缶を食べ終えて、僕の風邪も治った事だし、僕と小百合さんは一緒にゲームをする事になった。


 ゲームと言っても、任天堂スイッチで遊んでいるのだが、これがまた楽しくて二人で夢中になって遊んだ。


 時計は時々刻々と過ぎていき、いつの間にか、僕のお母さんが帰ってきた。


「あら、あなた達、二人でゲームをやっていたの?」


 お母さんは両手にビニール袋の袋を持っている。剛君達にバスケの練習に付き合ってあげて、その帰りに買い物をして戻ってきたみたいだ。


「ねえ、お母さん、僕もうお腹ペコペコだよ」


「どれどれ」


 そう言ってお母さんは僕のおでことお母さんのおでこをくっつけて来た。


「あら、もう熱は大丈夫みたいだね」


「うん。大丈夫だよ」


 そう言って僕はガッツポーズをする。


「ありがとね、小百合ちゃん。私の代わりに看病までしてくれて」


「いえいえ、純君は私の恋人ですから当然の事をしたまでですよ」


「あらあら、ありがとう小百合ちゃん。良かったら晩ご飯食べていく」


「はい喜んで!」

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