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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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風邪は万病の元、だから休むのが一番

 小説も順調に進むことが出来て、そろそろ僕達は少林寺拳法に行く時間になってしまった。

 時計を見て、午後五時を示している。


 少林寺拳法が始まる時間は六時だ。


「小百合さん、そろそろ僕達も少林寺拳法の時間だよ」


「はああっ!どうしてこんなに楽しい時間って過ぎてしまうのかしら」


「まあ、小百合さん明日もあるんだから、次の事はまた明日ここで小説やら勉強をしようよ」


「それもそうね。少林寺拳法でめきめき強くなっていきたいからね」


「あれ、勝さんも徳川さんもここに残っていくんですか?」


「僕は受験で朝から夜まで寝る間も欲しいくらいに勉強をしたいんだ。大学に入るためにね」


「わしは東大を目指してこうして勉強を始めたんだ。とにかく勝君と同じように寝る間も惜しいくらいだよ」


「私は何か目標に向かって突っ走るのは良いことだと思います。だから私と純君は勝さんと徳川さんの事を応援しています」


「「ありがとう」」


「それじゃあ、徳川さんに勝さん。また明日」


 そう言って挨拶をして、豊川先生にも挨拶をしようとしてパソコン室に入ると、柊ちゃんが絵を描いていて、豊川先生はパソコンに向かって何かをしていた。


 柊ちゃんの事を見ると、柊ちゃんは目を丸くして、驚いた様子を見せて、豊川先生の元へと逃げていってしまった。


 豊川先生に挨拶をするだけなのにどうしてそんなに人見知りが激しいのかちょっと不思議に思った。


 でもその気持ちは分かる。まあ、それは置いといて、僕は豊川先生に。


「豊川先生、僕達はそろそろ帰ります」


「はーい」と振り返りもせずに「また明日来る?」


「はいっ行きます」


「じゃあ、君達、親御さんにこれを渡して置いてね」


 そう言って一枚のプリントを僕達に差し出した。





 ★





 僕達はいったんそれぞれ家に帰り、胴着を持ってスポーツ会館まで行くことになった。


 スポーツ会館の体育館に行くと主将がいた。


 僕と小百合さんはいつもの様に、手と手を合わせて、「「こんばんわ」」と言った。


「はい、こんばんわ」


 そう言って僕達はそれぞれの更衣室に行って着替えるのであった。


 今日も気合い入れて少林寺拳法の技を見極めてやる。


 と僕は意気込み、小百合さんも同じ気持ちだった。




 ★




 少林寺拳法の時間は終わり、今日もまた一つ技を覚えたのだ。


 これは中学生相手三人に立ち向かって来ようとも、この技が炸裂したら、倒せるかもしれない。


 少林寺拳法の人達はみんな強くなろうと躍起になっている。


 みんなのその熱をあやかりながら僕達も強くなれるのだろう。


 時計は八時を示していた。


 僕は小百合さんを家に送り届けて、僕は帰っていった。


 帰ると、お母さんがドタドタと玄関に向かってきて、僕にキスをするのであった。


 お母さんは怒っていないみたいだ。それにお母さんは機嫌を直して久しぶりに僕にホッペにキスをしたのだった。


「どうだった。英明塾は?」


「とても良いところだったよ。僕は明日学校に行かないで英明塾に通うことにしたよ」


「うん。それは良いことだけれどもね。勉強はちゃんとしなさいよ」


「うん。分かっているよ」


 キッチンに行くと、お母さんは僕の大好きな唐揚げを揚げて待っていたみたいだ。


 何か明日が楽しみになってきたぞ。


 勝さんに徳川さん、それにゲーマーズに柊ちゃん。


 それらの出会いは本当に奇跡の邂逅だと思っている。


 とにかく僕は勉強をして、立派な大人になってやると思っている。




 ★




 夕食が済んで僕はお風呂に入ろうとしたところ、お母さんが一緒に入ってきた。


「ちょっとお母さん。いきなり入ってこないでよ」


「別に良いじゃない。英明塾に通って、色々な人と出会う事が出来たんでしょ。それは私のおかげなんだよ。だから純君は子供らしく、お母さんの背中を流しなさい」


 そう言われて渋々ながら僕はお母さんの背中を流した。


 そうだよな、僕達はまだ子供で働く事は出来ない。でも勉強や小説を書くことは嫌いじゃない。本当にやっていて楽しいと思っている。


 そして寝る時間になり、僕とお母さんで並ぶように眠ったのだった。





 ★




 何だろう。起きてやる気はあるのに、何か体がだるい。


 立ち上がるとフラフラな状態だった。


 どうしたんだろう僕、今日は楽しみにしていた英明塾に行く日なのに、どうしてこんなに体がだるいのだろう?


「純君、そろそろおっきして」


 台所からお母さんの声が聞こえてきて僕は正直、食欲もなかった。


「お母さん」


 とフラフラな状態でお母さんの元へ行くと、お母さんは僕を見て、


「何、純君、顔が真っ青になっているわよ」


「今日も一日頑張らないと」


「頑張るって言ったって、純君風邪をひいたんじゃないの?」


「そんな事はないよ。僕はいつも元気だよ」


 お母さんが僕の頭に手を乗せて来た。


「何よ凄い熱じゃない。これじゃあ今日は英明塾に行くのはお休みしなさい」


「そんな事出来ないよ。今日も勉強や小説を小百合さんと頑張りたいのに」


 すると玄関からチャイムの音がした。


「はーい。小百合ちゃん中に入っても良いわよ」


 お母さんがそう言うと小百合さんは中に入ってきた。


「どうしたの純君、凄い顔が真っ赤だよ」


「そうなのよこの子、この状態でも英明塾に行こうと聞かないのよ」


「純君風邪の時はゆっくりしていて良いんだよ。そうやって無理してやると体壊すわよ」


 小百合さんは僕の事を心配して言ってくれている。


 それは嬉しいのだが、僕には今日は英明塾でやることがたくさんある。


「とにかく純君今日は英明塾に行くのはよしなさい」


「エー大丈夫だよ」


「風邪は万病の元、とにかく純君今日は英明塾に行くのはよしなさい」


 お母さんに僕は強く言われてしまった。


 僕は渋々ながら、休むことになり。小百合さんは英明塾に行ってしまった。


 どうして僕は風邪をひいてしまったのだろうか?


 とりあえず市販の薬を飲まされて僕は強制的に寝かされた。


 こんな事をしている間に小百合さんに先を越されてしまう。


 だったら少しでも良いから勉強をしようとしたら、お母さんに見つかって、参考書を取り上げられた。


「何をやっているのよ純君。風邪の時は無理して勉強をしてはダメよ」


 どうやら風邪をひいてしまって今は夏だと言うのに体が冷えるように寒い。


 それに鼻水が垂れてきてくしゃみが止まらない。


 本当にそうだ。無理したらこの風邪にやられてしまうかもしれない。


 だから不本意だが僕は眠ることに集中した。


 こんなにゆっくりとしたのはどれぐらいぶりか?


 とにかく小百合さんやお母さんの言うとおりにして休むしかない。


 僕は休みながらテレビを見ていた。


 教育番組がやっていて、見ていて面白いと思った。


 内容は星座の事で夏の大三角を覚えたのだった。


「へー夏の大三角かあ、それは面白いな」


 人知れず呟いて教育番組を見ていた。


 こうしてテレビを見ているだけでも学ぶことが出来るんだ。


 今頃小百合さんは小説や勉強に熱を入れて頑張っているのだろう。僕も教育テレビを見て頑張らないといけないと思っている。


 テレビにも飽きて少し体が軽くなった感じがしてきた。


 これなら英明塾に行くのに良いかもしれない。


 ロビーからお母さんが仕事をしている音が聞こえて来た。


 お母さんは翻訳家の仕事をしているんだろうなって思った。


 お母さんは凄い集中力で翻訳家の仕事をしている。


「どうしたの純君」


 僕の顔を見るとにっこりと笑ってくれた。


 それがお母さんなんだなと思った。

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