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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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人と書いて為になるで偽となる

 お母さんにフリースクール英明塾を紹介されて、僕達はそこに通うことになった。


 ここはフリースクールでも月謝はかかるのだろう。僕はその事が心配であった。


 麻美ちゃんもこの塾に通って同じ勉強をしたら良いと思ったが、麻美ちゃんは孤児だ。孤児院にそんなお金があるとは到底思えない。


 とにかく人のことよりも自分の夢を叶えるために僕は行くよ。


 そう思いながら、勝さんと徳川さんのやる気の熱を浴びながら勉強に勤しんでいた。


 僕も思うよ、小百合さんとの出会いは本当に奇跡その物だと。


 だからこうして僕達は勉強に勤しむ事が出来る。


 徳川さんのラーメンをおごられることは却下となった。


 理由は人におごられるなんてあまりされたくないからだ。


「そう言えば、小百合さん。今日は少林寺拳法の日じゃなかった?」


「そうだね。今日も主将に色々な技を教えて貰おうよ」


 そこで徳川さんが、


「何だ君達、少林寺拳法をやっているの?」


「はい。まだ白帯ですけれども、もっと強くなるために頑張ります」


「それは良い心がけだ」


 本当にここの人達は心が温かい、みんなそれぞれ、未来に向かって何かをしようとしている。


 それよりもお腹がすいてきた。


 そろそろ、昼食の時間だ。


 すると勉強部屋から豊川先生が現れて、


「みんなご飯だよ」


 と言うと、勝さんも徳川さんも立ち上がり、ご飯を食べる事になった。すると徳川さんが、

「何だよ。俺がラーメンでもおごってやろうと思ったのに」


「それは悪いですよ・・・それよりも僕達も良いんですか?」


「うん、良いよ、君達は本当はお昼代の三百円を出さなきゃいけないんだけれども、今日は特別にお昼ご飯をご馳走するよ」


 豊川先生にお昼ご飯をご馳走になることになって、僕と小百合さんは凄くテンションが上がった。


 本当にここに来れたのは偶然ではなく素敵な必然と言ったところだ。


 どうやら、ここではお昼ご飯は生徒達がローテーションを組んで作るみたいだ。


 それに今日はカレーみたいだ。


 ちなみに作ってくれたのは、ゲーマーズとチビで銀髪の長い髪に、翡翠の様な瞳をした女の子であった。


 その子は何かお母さんに似ているような気がした。


「君、名前何て言うの?」


 と聞いてみたところ、女の子は顔を真っ赤にして豊川先生の背後に隠れてしまった。


 僕何か悪いことでもしたのかな?と気持ちが萎えていると豊川先生は、


「別に純君が悪いわけじゃないよ。柊ちゃんはとても人見知りが激しいんだ」


 そうか、人見知りが激しいか、その気持ち僕は分かるな。


 僕も学校では一年に一度のクラス替えで、初めて会う人に対して凄く緊張した物だ。


 それで僕は駒木根に目を付けられていじめられたが、お母さんのおかげで駒木根の奴を撃退することに成功したんだもんな。


 きっと柊ちゃんは人見知りが激しく、それでいじめにあったんじゃないかと思った。


 いじめられた人ってみんないい人ばかりだから僕には分かる。


 カレーを食べているとき、僕は柊ちゃんの事が気になった。


 すると小百合さんは、そんな僕を見て、太ももをつねりあげて来た。


「痛い痛い、何するの小百合さん」


「自分の胸に聞いてみなさいよ」


 すると食堂にいるみんながどっと笑い出してきた。


 しかも柊ちゃんも笑っていて僕は安心した。


 何だ。柊ちゃん、笑うことが出来るんだ。


 それよりも何で小百合さんは僕の太ももをつねったのか考えてみると、柊ちゃんを見つめて、もしかしたら小百合さん焼き餅を焼いてしまったのかもしれない。


「ゴメン小百合さん」


「何で謝っているのよ」


「柊ちゃんの事を見つめて小百合さん、焼き餅を焼いてしまったんじゃないかと思ったんだ」


 誰にも聞こえないように小百合さんに言うと、


「誰があんたになんか焼き餅を焼く物ですか」


 思い切りピンタを喰らってしまった。


 すると僕と小百合さんを見て、またみんな笑い出した。そこには柊ちゃんも笑っていた。

 

 何か柊ちゃんが笑っていると何か安心してしまう。


 僕は柊ちゃんに恋心を抱いた訳じゃない。ただ単に柊ちゃんの事が心配なだけであった。


 柊ちゃんはどんな仕打ちを受けてここに来たのか心配になってきた。


 でも僕が心配するなんておこがましいと思ってしまう。


 カレーも食べ終えて、僕は小百合さんの怒りがまだ治まっていなかった。


「小百合さん。まだ機嫌が治らないの?」


「別に私はいつもの私よ」


 全然違うと思うが、今謝っても許してくれそうもないので、僕は後でタイミングを見計らって謝ろうと思っている。


 本当に女心と言う物は複雑な感じだと改めてしれた。


 僕達が勉強をしている最中に柊ちゃんが現れて、スケッチブックを取り出して、何やら絵を描いていた。


「何を書いているの?」


 僕は気になり、柊ちゃんのスケッチブックを横から見ようとすると、柊ちゃんは恥ずかしそうにしてスケッチブックをしまった。そうして柊ちゃんは勉強室から出て行った。


 そこで勝さんが、


「純君って言ったっけ」


「はい」


「柊ちゃんにあまり声とかかけない方が良いと思うよ。あの子、聞いた話だけれども、凄いいじめられっ子だったんだから」


「やっぱりそうでしたか」


 そこで小百合さんが、


「何がやっぱりそうでしたよ!」


「小百合さん別に深い意味はないんだ。ただ僕は柊ちゃんの事が気になっただけ、それ以上の事は思ってないよ」


「何が気になったのよ」


「あの子、昔の僕とちょっと似たところがあるから」


「そうなんだ」


 納得してくれた小百合さん。


 僕は勉強室を出てパソコン室に入ると、柊ちゃんが絵を描いていた。


 やっぱりあの子は豊川先生じゃないと心を許してはくれない人だと思った。


「何、柊ちゃんの事を見つめているの?あの子の為だとか言ったらそれは偽物よ。人と書いて、為を組み合わせると偽と言う字になるんだから」


 確かに小百合さんの言っていることは正しい。僕は柊ちゃんの為に何かをしようとしていたんだ。


 それに小百合さんの言うとおりであり人と書いて為を書くと偽という字になる。


 だから柊ちゃんの事は干渉しないことにしよう。


 再び勉強部屋に戻って僕と小百合さんは小説を描くのであった。


 そこで勝さんが、


「君達何を描いているの?」


「小説を描いています」


「「小説!?」」


 勝さんと徳川さんは驚いたかのように僕達の事を見つめていた。


「別に、そんなに驚くことじゃないですよ」


「ちなみにどんな小説を書いているの?」


 そこで小百合さんが、


「読み手の人を私達の小説を読んで、心がときめくような、素敵な小説を書いています」


「君達は凄いね。僕なんて一浪して二流の大学にも落ちてしまったんだから」


「それはそれでいいじゃないですか。今年頑張って入れてくれた大学が良い大学だと私は思うんですけれどね」


「そうだね高岡さんの言う通りかもしれないね。入れてくれた大学が良い大学か!だったら僕も名のある大学にこだわらずに、三流でも良いから、どこの大学でも受けてやる」


 そう言って勝さんはやる気を取り戻して、やる気になった。


 そこで徳川さんは、


「俺はとにかくあの東大の赤門をくぐる事が夢なんだ。何年かかっても東大を受けてやる」


 と意気混んでいた。


 とにかくやる気のある事は良い事だ。そうやってみんな成長していくんだ。それこそ心を熱くする源だと思う。


 僕達には夢がある。


 僕と小百合さんは保育士兼小説家であり、勝さんは三流でも良いから大学受験に向かってやる気になり、徳川さんもどうして東大にこだわるかは分からないが、やる気のあることには変わりは無い。


 ここのみんなが頑張れると僕も小百合さんも頑張れる、みんな目的があるから頑張れるんだ。ただそれだけの事だと僕は思った。

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