学校ではシカト扱い、それを見て見ぬふりをする先生
僕と小百合さんは学校を仮病で早退して、今図書館で小説を書いている。
それで麻美ちゃんが来て、麻美ちゃんに聞いてみると、剛君達も良く学校を仮病で早退しているらしい。
最初は学校をサボったことに関して、罪悪感を感じていたが、麻美ちゃんが良く早退している事を聞いて僕は別に罪悪感なんて持つ必要などないと思った。
学校の授業なんてちっとも面白くない。なぜ僕達はあんなつまらない学校なんて行かなければならないのか。それに僕と小百合さんは一学年上の勉強をしている。それに毎日。だから僕達には学校なんて必要なんてないと思った。
そろそろ小説も切りの良いところで止めて僕は小百合さんと一緒に一学年上の勉強を始めた。
そこで麻美ちゃんが、
「何、あなた達一学年上の勉強をしているの?」
「うん。保父さんになるには勉強も必要かと思ってね」
「なるほど、小説でも勉強でもあなた達には負けていられないわね」
と麻美ちゃんは僕達に触発されて勉強を始めたのだった。
麻美ちゃんの勉強を見てみると小学校四年生の勉強であり、これなら僕も教えてあげられるので教えてあげた。
「純君、教えるのがうまいね、すらすらと問題が分かるようになってきたよ」
麻美ちゃんにそう言われて、僕は何か自信がついてきた感じがした。
僕は保父さんも良いけれど、学校の先生になるのも良いのかもしれない。
★
勉強もこれぐらいにして、時計を見ると午後六時を示していた。
そろそろ帰らなくてはいけない時間だ。
僕と小百合さんはランドセルを背負いながら、歩いて自宅まで帰ろうとする。
「ただいま」
と家に帰ると、玄関にお母さんが待っていて、何やら怒りのオーラを纏っていた。
「純君、ちょっと話があるんだけれどもちょっと良いかな?」
「う、うん」
やばいお母さん怒っているよ。早退して学校をサボったことがばれてしまったかもしれない。
その通りであり、僕はお母さんの部屋につれていかれて、正座をさせられた。
「純君、今日学校を早退したそうじゃない。しかも小百合ちゃんも一緒だったみたいだね」
僕は目を泳がせながら、言った。
「だって学校の授業も楽しくないんだもん。学校に行ったって、僕と小百合さんは駒木根の一件以来、はぐれ者だったんだもん」
「だからってお母さんに内緒で早退なんてして良いと思っているの?」
お母さんは怒鳴り散らしてきた。僕もカチンと来て、
「学校なんてくそ食らえだよ。あんな所で学ぶ事なんて何もないよ」
するとお母さんは涙目になってしまって、
「どうして、純君そんなに不良になっちゃったのかな?」
「別に不良になった訳じゃないよ。僕達は自分達で勉強も出来るし、成績だって悪くないんだから」
「あなた達小学生はね、義務教育を受けなければいけないという法律があるの、それはあなた達が決める事じゃなくて私達大人が決める事なのよ。よってあなた達が義務教育を拒否する権利はないのよ。そう言う事はいっぱしの大人になってからやりなさい」
そう言えばそうだった。義務教育を放棄する権利は僕達にはないんだ。
とにかくつまらなくても学校に行かなければいけないみたいだ。
「分かったよお母さん、僕が悪かったよ。明日からはちゃんと学校に行くよ。それに小百合さんにもその事を伝えて置くよ」
僕はお母さんに叱られてしまった。罰として僕は今日、お母さんの背中を流すことでほとぼりはついた。
何が義務教育だ。
でもお母さん、僕が悪いことをした時、悲しい目をしていた。
そんなお母さんはみたくないと思った。
でも僕と小百合さんの気持ちも分かって欲しいと思っている。
僕達は学校でははぐれ者で、僕達にかまってくれる人なんていない。
僕と小百合さんにとって学校は最悪な場所なんだよ。
クラスメイトの駒木根が主導権を握っているから、僕達にかまった者は駒木根にいじめの的にされると聞いている。
そんな学校に行くなんて馬鹿げている。
僕と小百合さんの気持ちはお母さんには届かないと思っている。
★
朝になり、お母さんの仕事の音が聞こえてくる。
そんなお母さんに、リビングに行って、
「おはようお母さん」
と挨拶をした。
「うん。おはよう純君、そろそろ朝ご飯の準備をしなければね」
そう言ってお母さんは仕事を中断して、僕に料理を作ってくれた。
お母さんも大変なのに、いや大変なのは僕達でもあるんだよな。
お母さんは様々な国の言葉を日本語に訳している。
それは僕達が勉強することよりも大変な気がした。
だから僕も小百合さんも一緒に学校に行こうかな。
すると食事をしている最中にベルの音がした。
中に入ってきたのは小百合さんだった。
「おはよう純君に亜希子お母さん」
するとお母さんは、
「小百合ちゃん聞いたわよ。学校を早退して純君と図書館に行ったそうじゃない」
お母さんは小百合さんにもご立腹の様だ。
「それはごめんなさい。でも学校には私達の居場所なんてないんだもん。学校の授業もつまらないし、私のお母さんにも凄く叱られたけれど、私達には図書館しか行く所なんてないんだから」
お母さんは小百合さんの言い訳に叱るのかと思ったが、何か切なそうに黙っていた。
お母さんは僕達の行為に呆れてしまったのだろうか?分からないが、そんな悲しそうな顔をしているお母さんを見るとあまり良い気分にはなれない。
お母さんは黙り込んだまま、僕が食事をしている最中に小百合さんにコーヒーミルクを作ってあげていた。
お母さんは何を考えているのだろう。
★
僕は食事を食べ終えて、学校に行こうとしたら、お母さんが不意に聞いてきた。
「あなた達本当に学校が嫌なの?」
「「うん」」
僕と小百合さんの言葉がハモった。
そう聞かれて、小百合さんは玄関に、そして僕はお母さんの方を見ると、何か考え事をしているような仕草をした。
お母さん何を考えていたんだろう。
もしかしたら僕達が学校をサボったから悲しい気持ちにさせてしまったかもしれない。
そして僕と小百合さんは学校に到着した。
「ハァー」と小百合さんはため息をついて「昨日学校をずる早退をしたから、篠原の小言を聞かされるかもしれないね」
「別に聞き流せば良いんじゃない。確かに僕達が悪いかもしれないけれど、学校がつまらないって本心を言ってやろうよ」
学校に入り、ホームルームの時間になった。
ホームルームの時間が終わったら、僕と小百合さんは篠原先生に呼び出しを喰らった。
廊下につれて行かれて、僕と小百合さんは、篠原に何を言われるのか大体予想はついている。
「お前等、聞いたぞ。学校をずる早退したそうじゃないか。本当はどこも悪くないんだろ」
「ごめんなさい」
と僕が謝ると小百合さんは、
「だって学校なんてつまらないんだもん」
とはっきり言った。
「高岡、何だその態度は?」
「私達は駒木根のせいで、クラスの連中にシカト扱いされているんだもん。それに学校で習う勉強なんてつまらないし、むしろ自分達で勉強していた方が楽で良いもん」
「お前、何だその言い方は?大人を舐めると痛い目に会うぞ」
「別に舐めてなんかないよ。本当に学校なんてつまらないんだもん」
すると篠原先生は怒り出して、小百合さんにピンタでもかまそうとしたのか?小百合さんは見事にそれを左手で受け止めて、その左手を丸め込み、篠原を動けない状態にした。
「先生こそ、子供の私達を舐めていると痛い目に会うよ」
「お、お前等、こ、こんな事をして、た、ただで済むと思っているのか?」
「何がただで済むと思っているの?私達は学校でシカト扱いされてつまらないもん。それに先生ならどうして私達の事を見て見ぬふりをするんですか?」
「・・・」
何も言えない篠原。
そうだ。こいつは知っていたんだ。僕達が学校でシカト扱いされて、毎日辛い思いをしている事を、それを見て見ぬふりをする方が悪いと思っている。




