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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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学校をふける僕達

 今日から月曜日、楽しい週末は終わり、僕達は学校に行くことになる。


 僕と小百合さんは昨日言っていた宿題を忘れたために、先生に怒られて、廊下に立たされる羽目になってしまった。


 そんな廊下で二人きりになり僕と小百合さんは語り合っていた。


「まさか、私達が小説に没頭しすぎて、宿題を忘れる羽目になるなんて思わなかったよね」


「だから昨日言ったじゃん。小説に没頭しないで宿題をやっていればこんな事にはならなかったんだよ」


「何よ私のせいだと言うの」


「まあ、僕も悪いよ。小説に没頭しすぎて宿題を忘れてしまったんだから」


「でも何もしないでこうして二人で廊下に立たされるのも悪くないと思うんだけれども」


「まあ、確かに僕達は学校では、はぐれ者だからね」


「だからこうしてはぐれ者同士、お互いに廊下に立たされて良かったんじゃないの」


「でも何かみっともないよ」


 そこで篠原先生が、


「何か話し声が聞こえるな」


 と教室から顔を出して来た。


 僕と小百合さんは何事もなかったように黙っていた。


「とにかくお前等宿題を忘れたんだから、黙っていろよ」


 そう言って篠原先生は教室へと戻っていった。


 だから僕と小百合さんは小声で話し合う事にした。


「何よ全く、宿題なんて分数の足し算じゃない。私達がしていることは分数の足し算で分母が違った足し算じゃない。ここの生徒達がやっている事よりももっとハードな事をやっているのに」


「確かにね、でも宿題を忘れたのは僕達なんだから僕達が悪いよ」


「何よ、純君、あなたは敵なの味方なの?」


「どちらでもないよ。とにかく学校の宿題もちゃんとやらなきゃダメだよ」


「ハァー確かにそうね。私達が宿題をやらなきゃこんな事にはならなかったんだから」


 そして一時間目の算数の授業も終わって、僕達は廊下に立たされる事はなくなった。


 そこで篠原先生は、


「お前等今度こそ宿題をちゃんと終わらせるように頑張るんだぞ。今度忘れたら、居残りにさせるからな」


「「はーい」」


 と僕と小百合さんは口を揃えて返事をした。


 教室の中に入ると僕達の事を見る者はいなかった。


「小百合さん、本当に僕達ってはぐれ者だね」


「本当にそうね」


 そこで僕が、


「学校なんてふけちゃおうか」


「それ良いかもしれない。学校なんてふけちゃおうよ」


 僕と小百合さんは先生に挙手して、


「先生、僕達気分が悪いですけれども、保健室に行っても良いですか?」


「そうか、分かった、二人とも保健室に行ってこい」


 僕と小百合さんは保健室に行き、体温計を図る機械を指でこすって温度を上げて、熱になるようにした。


 僕達の体温は八度を超えていることになっている。


 それを保険の先生に見せたら、これは早退した方が良いと言われて、僕達二人は一時間目に学校をふけることに成功した。


 僕と小百合さんは篠原先生に早退の申し出をして、学校の外に出ることに成功した。


「やったね純君、私達これで早退を成功させたね」


「でも本当にこんな事をして良いのだろうか?」


「何を言っているのよ。現に早退を勧めたのは純君の方でしょ」


「まあ、それは確かにそうだけれども」


 まあ、良いか。


 でもこれって不良のする事なんじゃないかと、今更ながらに狼狽えてしまった。


「純君純君、とりあえず図書館に行こうよ。書きかけの小説をバンバン書いていこう」


「そうだね。この早退した時間を有効に使うために図書館で小説を書こう」


 僕と小百合さんはランドセルを背負ったまま、図書館に向かった。


 そうして図書館に到着して僕と小百合さんは熱を出し合い、小説を書くことになった。


 本当に学校をふけて良かったかもしれない。だからこうして二人で小説を書くことに専念する事が出来た。




 ★




 そろそろ小説を書くのも飽きてきたし、僕達はお腹がすいてしまった。


「小百合さんお腹がすかない?」


「そう言えばすいて来たかもしれない」


 時計の針を見てみると、午前十二時を回っていた。


 このまま帰ったら、学校をサボったと思われて、僕と小百合さんはお母さんに大目玉を食らってしまう。


「どうしよう、小百合さん。このまま帰ったら僕達、お母さんに大目玉を食らってしまうよ」


「そこまでは考えていなかったね」


 もう一度小説に没頭しようとしたが、お腹がすいていて、書く気力が失せている。


「純君はお金持っている?」


 僕は財布を取り出して、とりあえず、なけなしの五百円が入っていた。


「純君五百円もあればおいしい物を食べられるわよ」


「これは僕のなけなしの五百円」


「別に良いじゃないの将来、私が文豪になって稼いだお金で純君を楽にさせてあげるから」


「小百合さんって文豪になれるの?」


「なれるなれる。純君も文豪を目指して頑張っているんでしょ」


「まあ、確かに。この五百円で近くに安いスーパーがあったから、そこで食べ物を調達しましょう」


「うわー僕のなけなしの五百円」


「別に良いじゃない。将来私達は文豪になって、世界を飛び回れる仲なんだから」


 本気なのか嘘なのか分からないが僕のなけなしの五百円で何かを食べようとしている小百合さんだった。


 近くにスーパーがあって、お弁当が二百五十円で売っていたのでそれを僕の五百円で二つ買った。


 とりあえず図書館のイートインコーナーでそのお弁当を食べることになった。


 食べてみると正直まずい。今までお母さんの手料理を食べて来たので、このようなお弁当を食べる事はなかった。


「あんまりおいしくないね純君」


「小百合さんが選んだ物でしょ。責任とってちゃんと食べてよ」


 そして僕と小百合さんはあまりおいしくはないお弁当を食べて、お腹が膨らんでもう一度小説を書く事にした。


 腹が減っては戦が出来ぬと言うがそれは本当の事だと思い知らされる。


 何だろう。僕は小説を書いている途中に、罪悪感を感じてしまった。


 やっぱり学校をサボって図書館に行ってはいけないんじゃないかと思い始めた。


「ねえ、小百合さん」


「何、純君」


「僕達は本当はいけないことをしていると思わない?」


「確かに言われて見ればそうかもしれないけれど、あんなつまらない学校の事に未練なんかないわ。こうして二人で熱を出し合いながら小説を書くことの方が有意義で良いわよ」


「そうかな!?」


 確かにそうかもしれないが、でも学校をサボったことに僕は蟠りを感じてしまった。


 もしお母さんが僕達が学校をサボった事がばれてしまったら大目玉を食らってしまうが、それは仕方がないことなのかもしれない。


 後で僕はお母さんに謝ろうとした。


 そうするとなぜか、小説が書けなくなってしまった。


「どうしたの純君、手が止まっているじゃない」


「やっぱり小百合さん。学校をサボるのは良くないことだと思うよ」


「確かに言われて見ればそうかもしれないけれど、一度だけなら良いじゃない」


 小百合さんは僕にウインクをして、何の悪ぶれた感じのしない仕草だった。


 そうだよね、一度くらいなら大丈夫だよね。


 そう思うと小説を書くことに僕達は没頭する事が出来た。


 



 ★




 そうしてしばらく二人で小説を書いていると、麻美ちゃんがやってきた。


「あら、あなた達今日は早いのね」


「実を言うと私達学校をふけて来たのよ」


「へーそうなんだ。私も良くやるわよ。学校の勉強なんてつまらないじゃない」


 そこで僕が、


「そうだよね。学校の授業なんて面白くないよね」


 麻美ちゃんもそうだと思うと、何か気が楽になり、別に学校くらい休んだって良いじゃないかとさえ思ってしまった。


「私や剛やあっ君に凛に明も学校では浮いた存在になっているからね」


「そうなんだ。実を言うと僕達も同じなんだ。学校では浮いているし、誰も僕達の事を気にかけてくれる人なんていないからね」


 そう言って僕は何を罪悪感にとらわれていたのかバカな事だと思った。

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