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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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幸せな日常

 弱い物いじめをする連中に半殺しにしてやった時の事はもうセピア色に染まり僕はいつもの自分に戻っていた。


 こうして立ち直れるのは小百合さんのおかげだと思っている。それにお母さんや剛君達も、もちろんの事。


 今日は少林寺拳法の日だ。僕は主将に弱い物いじめをした連中に半殺しにしてしまった事を言うしかないと思っていた。


 少林寺拳法がやっているスポーツ会館の場所まで僕と小百合さんは二人乗りして、スポーツ会館広場までやってきた。


 僕と小百合さんは主将にどやされるかもしれない。


 でもその方が良いと思っている。そうすれば僕の理性に歯止めがかかると思ったからだ。


 僕と小百合さんは胴着に着替えて、早速主将のところに行って一昨日の事を赤裸々に話した。


「そうか、弱い物いじめをする連中にそこまでやったのか!」


 主将はご立腹の様だ。


 そりゃそうだよな。こんな事口が裂けても言えない状況だ。


 主将は怒っていたが、僕達に対して、


「良いじゃないか。弱い物いじめをする連中にそこまで出来たんだから」


「でも僕は理性を無くして本気で奴らを殺そうとしてしまった」


「相手は中学生三人だったんだろ。それに高岡さんがいなければ、理性を無くして殺していたか?」


「はい」


「純君、大丈夫だよ。君は人を殺すような事はしないと私は思っている。それに良く君達小学四年生で中学生三人相手によくぞ立ち向かったな」


 主将はお母さんと違うことを言う。続けて主将は、


「でも暴力はいけないよ。少林寺拳法は自分や弱い者達の為に使いなさい」


「はい。分かっています」


「それじゃあ、そろそろ基礎練習に入ろうか?」




 ★



 それで今日の練習は終わった帰り道、僕のスマホからお母さんから連絡が入った。


「あっお母さん」


『小百合ちゃんいる?』


「いるけれども、何か用なの?」


『いや今日も小百合ちゃんにはお泊まりしていって欲しいと思って』


「分かった伝えて置くよ」


『お願いね』


 そう言って通話が途切れた。


「亜希子お母さん何だって?」


「小百合さん。今日も家の泊まりに来ないかと言っているけれども、どうする」


「ええ、喜んで行かせて貰いますよ」


 そう言って小百合さんの家の近くに行き、小百合さんは自分の胴着と、僕の家の泊まるという許可を得て、再び僕の所までやってきた。


「純君、お待たせ」


 そう言って、小百合さんはリュックサックを背負ってやってきた。


「それとこれ」


 そう言って浅草名物の雷おこしを持ってきた。


「これは?」


「いつも私が亜希子お母さんにお世話になっているからと言って渡して来なさいって言われた」


「別にこんなに気を使わなくても良いのに」


 そう言う事で僕と小百合さんは僕の家まで自転車で二人乗りして行ったのだった。


 僕の家に到着すると、お母さんはハヤシライスを作って待っていた。


「あっお母さん。これ」


 そう言ってお母さんに小百合さんから貰った雷おこしを差し出した。


「これって雷おこしじゃない。どうしたのこれ?」


「小百合さんのお母さんがいつも面倒を見てくれてありがとうの感謝を込めてのお礼みたいな物だよ」


「そんなに気を使わなくても良いのに、それじゃあ、今度、小百合さんのお母さんに挨拶に行かなくちゃね」


「行かなくて良いよ?」


「どうして?」


「行くと面倒な事になるから」


「それは私も同意見です」


 小百合さんが言う。


「亜希子お母さんがそんな私達と一緒の体型に戻ってしまったことを世間にあまり知られないようにした方が良いんじゃないですか?」


「確かにそうね。私がこんな姿になった事をみんなにばれてしまったら、とんでも無いことになってしまいかねないからね」

 

 どうやらお母さんは分かってくれたみたいだ。


「お母さんは、見た目は十歳の女の子だけれども、実際は三十ぅうぶはーーー」


 僕はお母さんの年を言おうとしたら、思い切りホッペをつねられた。


「それじゃあ、純君に小百合ちゃん、とりあえず席に座ってよ。お母さんが愛情を込めて作ったハヤシライスを召し上がれ」


「はい、いただきます亜希子お母さん」


 僕は思いきり頬をつねられたので、いただきますの言葉が出てこない。


「ほら、純君も召し上がって」


「はひ、いたらきます」


 僕の口調を聞いて小百合さんとお母さんはツボにハマったらしく、大笑いをしていた。


「何らよ、二人ひて、笑っちゃって」


「お願い純君、もうこれ以上は喋らないで、何か凄く面白い」


 と小百合さんが爆笑しながら言う。


「本当に純君って面白いね」


 とお母さんが僕のホッペをつねったからこうなったのに、それでも僕の事を辱める気か?


 本当に二人は爆笑している。


 でも何か心がポカポカとするような感じになった。


 これが幸せって奴なんじゃないかって。


 それで僕もつられて笑ってしまった。


「何で純君が笑うの?それに純君の笑い方凄くおかしいんだけれども」


 そんな恋人とお母さんとのささやかな幸せを満喫することが出来た。





 ★





 夕飯も済んで僕と小百合さんはお母さんの後片付けを手伝うことにした。


「二人とも、別に手伝わなくても良いんだよ」


「いや、お母さんはこれから翻訳の仕事があるんでしょ」


「そうよ、いつも剛君達の為に無理してバスケの練習をしていたんだから」


「あなた達は本当に良い子ね。そんな良い子にはお母さんからのプレゼントを差し上げるよ」


 そう言ってお母さんは僕と小百合さんのホッペにチューをするのであった。


「また、お母さんはそんな事をして、これが世間にばれたら僕は恥ずかしいよ」


「私は恥ずかしくは無いけれどもね。亜希子お母さんの様な人に巡り会えて私は幸せだから」


「小百合さんは女性だから良いけれど、僕は男の子だよ」


「別に男の子だからと言ってホッペにチューされるくらい良いじゃない」


 僕はもう頭が痛くなってきた。


「どうしたの純君、そんな真っ青な顔をして?」


「もう良いからお皿を拭くのに専念して」


 と僕が投げやりに言う。


 今日はさすがにお風呂は別々に入ることになった。


 以前、小百合さんの裸を見て僕は興奮してしまったからな。


 それぞれお風呂に入って僕は小百合さんがお風呂に入っている間、小説を書き続けていた。

 小説を書くことが面白いし、それに僕の書いた小説が面白いと言うことは本当に良い気分で小説を書くことが出来る。


 小百合さんは今頃お風呂に入っている。


「純君」


 小百合さんの声が聞こえてきて、振り向くと下着姿の小百合さんが僕を手招きしている。


「ちょっと小百合さん。その格好は何?」


 やばい凄く欲情してしまう。


「何って今日は暑いでしょ。だからこの格好で眠ろうと思って」


「何をはしたないことをしているの小百合さん。ちゃんと服を着てよ」


「ちょっと純君、嬉しくないの?」


「嬉しくないよ。僕達はまだ小学生なんだから、そう言った事はまだしてはいけないと思うよ」


「私は良いと思っているけれど」


「とにかくネクリジェ位は着てよ」


「分かりましたよ純さん」


 そう言って僕の部屋から出て行って、再び僕の前に現れたのはちゃんとしたネクリジェを着ていた。


 そうだよ。それでいいんだよ。とにかく僕の前で破廉恥な事はしないで欲しい。


 とりあえずため息を一つして、僕は小説を書くことに専念しようとしたが、先ほどの小百合さんの下着姿を見てしまって、僕は集中出来なくなってしまった。


 何だこれは、小百合さんこれを狙っていたのか?


 とにかく深呼吸をして、先ほどの小百合さんの下着姿を頭から追い出さないといけない。それで両頬を両手でパチンと叩いて気合いを入れ直した。

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