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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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成長する事に、焦ってはいけない

 今僕は小百合さんの家でお泊まりをしている。


 僕が眠っていることを良いことに小百合さんは僕の布団の中に入ってきて抱きしめて来たんだ。


 小百合さんと一緒に寝て分かったが、小百合さんは背中から感じたが胸の感触がまだ残っている。


 小百合さんの胸の感触を感じて僕は心がドキドキした。


 一緒に寝るのはまだ早すぎると思うんだけれどもな。


 すると台所の方から小百合さんのお母さんの声が響いた。


「あなた達いつまで眠っているの?早く起きなさい」


 そう言われて僕と小百合さんは布団から出て、リビングに向かった。


 するとスクランブルエッグの凄い良い香りがしてきた。


 何か朝から食欲が沸いてくる。


 そしてリビングで待つこと五分ぐらいが過ぎて、小百合さんのお母さんはトーストにスクランブルエッグにサラダをもてなしてくれた。


 本当に僕に対して至れり尽くせりって感じだ。


「純君、純君はマーガリンかジャム何が良い?」


 小百合さんのお母さんがイチゴのジャムとマーガリンを持って僕に聞いてきた。


「じゃあ、ジャムで」


 僕は冒険してみた。ジャムでトーストを食べることは初めての事だ。

 家のお母さんはいつも甘い物を控えているのかいつもマーガリンだった。


 イチゴジャムでトーストをかじってみると凄くおいしい味がした。


 本当においしいジャムだ。マーガリンよりもいけるかもしれない。


 そんな朝ご飯をいただいて、僕は満喫していた。


 そんな時、呼び鈴の音が鳴った。


「はーい」


 と言って小百合さんのお母さんは出る。


「おはようございます。純君は迷惑をかけていませんか?」


「あら、高橋さんの奥さん。純君はとても良い子ですよ。とりあえず上がって行ったら良いんじゃないんですか?」


「それじゃあ、上がらせて貰います」


 するとお母さんは小百合さんの家に上がり込んできた。


「純君寂しかったよ。お母さん、一人残して小百合ちゃんの家に泊まっちゃうなんて」


 そう言ってお母さんは僕に抱きついてきた。


「ちょっとお母さん。小百合さんもいるし小百合さんのお母さんもいるんだよ」


「だってお母さん、凄く寂しかったんだよ」


「分かったから離してよ」


 と言ったらお母さんは離れてくれた。


「高橋の奥さんも一緒に朝食いかがですか?」


「良いんですか、高岡の奥さん」


「良いですよ。スクランブルエッグ少し多めに作り過ぎちゃったからね」


 そう言って小百合さんのお母さんは図々しくも小百合さんのお母さんの朝食をご馳走になることになった。


 お母さんは子供体型のままだ。その真っ白な長い髪に目はウサギの様に赤く、それに僕よりも小さい。


 こんな事が世間にばれたら、どんなことになるかハラハラしていたが、別にそんな心配をしなくても大丈夫だと思った。


 とにかく朝ご飯をいただいたらすぐに帰るつもりでいた。


 お母さんどうやら僕が一日家を空けたからと言ってホームシックの様な感じになってしまったからだ。


 お母さんは見た目は子供だけれども、頭脳は大人なんだよな。人呼んで名探偵コ○ンって感じか?


 でもお母さんが小さくなってから良いことばかりが続いている。


 施設の子供達も気に入ってくれているし、僕も小百合さんも夢と言う物を見つける事が出来るようになってきた。


 それはそれでいいことだと思っている。


「高岡さんのお家のお料理おいしいですね」


 とお母さんが言う。すると小百合さんが、


「いや、亜希子お母さんの手料理の方がおいしかったよ」


「小百合ちゃん。そんな事はないよ。小百合ちゃんのお母さんの方がおいしいと私は思うんだけれどもな」


 そこで小百合さんのお母さんが、


「純君はどっちがおいしいと思う?」


「どっちもおいしいと思うよ」


 何か殺伐とした感じがしたのは気のせいではないだろうか?


 そこで小百合さんが油を注ぐような発言をした。


「昨日は家のカレーを食べて、亜希子お母さんのカレーよりもおいしいって言っていたじゃない」


 すると小百合さんのお母さんと僕のお母さんが白い目で僕の事を見つめてきた。


 その目つき本当にやめて欲しいんだけれどもな。


「・・・」


 僕は何も言えず、ただ黙って小百合さんのお母さんの手料理を食べることに没頭した。


 そして食べ終えて、


「僕は小百合さんのお母さんと僕のお母さんの料理はどちらもおいしいと思うよ」


「本当に純君は利発な男の子だよね」


 小百合さんのお母さんが僕の頭をなでながら言う。


「純君は私の自慢の子供ですからね。それに小百合ちゃんも良い子だからね」


「うちの小百合はあなた達に会って成長していますからね、とにかく成長することに焦るんじゃないわよ」


「それってどういう事?」


 小百合さんが不思議そうな顔をして言う。


 それに小百合さんのお母さんの言葉に僕も不思議に思った。


「あなた達はまだ若いんだから、背伸びしなくても良いのよ。とにかく一学年上の勉強をしたり、小説を書くことは良いことだけれども、あなた達を見て何か早く大人になろうと思っている様に感じるんだけれどもな」


「確かにその通りかもしれませんね」


 小百合さんのお母さんが言う。


「確かに高岡さんの奥さんの言うとおりかもしれないわね。とにかく成長をする事に焦ってはダメ、あなた達は夢を持つことは大事だけれども、そんなに焦らなくても大丈夫よ」


 お母さんが言う。


 確かに小百合さんのお母さんと僕のお母さんの言うとおりかもしれない。僕達は焦り続けていたのかもしれない。僕は焦っていたのかもしれない。お母さんがこんな姿になって、僕は早く大人になろうと自分自身で豪語していた。


「僕は早く大人になりたい。どうすれば大人になることが出来るの?」


 と聞いてみた。


「だから純君焦らなくても良いのよ。あなたは今出来ることを頑張っていればいずれいい大人になれるから」


 そうだよな。僕のお母さんの言うとおりかもしれない。今出来る事を頑張っていれば自ずといい大人になれるかもしれない。


 僕と小百合さんはまだ十歳だ。はっきり言ってまだ若すぎるのかもしれない。


 早く大人になってお母さんの事を楽にさせてあげたいと思っている。


 そんな事を思っていると僕のお母さんが、


「純君、小百合ちゃん、今日は私と一緒に遊びに行かない?」


「遊ぶってどこで遊ぶの?」


「遊園地にでも連れて行ってあげようか?」


 すると小百合さんのお母さんが、


「そんな高橋さんの奥さん、そんなに家の子に面倒を見て貰わなくても」


「良いんですよ高岡さんの奥さん。とにかく二人はいつも真面目に勉強をしたり、小説を書いたりでてんてこ舞いなんですから。たまには羽を伸ばさせてあげなきゃいけないと思いましてね」


「じゃあ、私は今日は用事があるので、今日は小百合の事をよろしくお願いします」


 そう言って小百合さんのお母さんは僕のお母さんに五千円札を差し出した。


「そんな良いですよ。そんな大金貰わなくても、小百合ちゃんは私の子供みたいな所もありますから」


「いけませんよ。遊園地って言ったら凄くお金がかかるでしょ」


「分かりました、じゃあ、この子達をディスティニーランドでも連れて言ってあげましょうかね」


「じゃあ、高橋の奥さんうちの小百合を今日はよろしくお願いします」


「ディスティニーランドだって小百合さん。何か面白くなってきたね」


「本当ね。私ディスティニーランドに行くのは初めてだよ」


「そうと決まったら、二人とも準備をしなさい」


「「はーい」」


 ディスティニーランドか?一度三年ぐらい前に行った記憶がある。とても不思議な場所だと言う事は知っている。


 何か楽しみになってきたな。小百合さんと想い出を作るには持って来いの場所だと僕は思っている。

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