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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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誰にも言えない夢の始まり

 次の日の水曜日、僕と小百合さんは学校を終えると、いつも図書館で小説を書いている麻美ちゃんと僕と小百合さんは一学年上の五年生の勉強をしていた。


 台形を求める面積に到達して僕は公式を覚えて物にしてしまったのだった。ちなみに小百合さんはこんな時はライバルの様に接してくる。


 小百合さんが隣で猛勉強をして、僕も負けていられないから、勉強をしている。


 そこでふと思った。学校の勉強なんてして何に役に立つのか僕には分からなかった。


 勉強は嫌いじゃないがこんな台形を求める面積を求める勉強なんて何の意味があるのか考え始めた。


 でも勉強をしなければ僕は保父さんにはなれない。


 一度、勉強をストップさせると小百合さんが、


「ねえ、純君何で勉強をストップさせるの?」


「いや、ちょっと、僕達はこんな勉強をして何に役に立つのか考え始めてね」


「屁理屈言ってないで勉強に集中しなよ、保父さんになりたいんでしょ」


 そこで小説を書いている麻美ちゃんの方に気になった。


「麻美ちゃん。小説の方は進んでいる?」


「進んでいるけれど、今は話しかけないで今良いところだから」


 どうやら麻美ちゃんは小説を書くことに没頭している。


 そんな麻美ちゃんは小説を書くことにトランス状態と言った感じだ。


 僕も負けていられないと勉強をしようとするのだが、何か麻美ちゃんが気になって勉強どころじゃなくなった。


「ねえ、麻美ちゃん・・・」


「ちょっと声をかけないでよ、今良いところ何だから」


「麻美ちゃんに聞きたいことがあるんだけれども、麻美ちゃんは・・・」


 そこで隣にいる小百合さんにお尻をつねられた。


「何をするの、小百合さん!」


「純君、麻美ちゃんは小説を書くことに没頭しているのだから、邪魔しないの!」


「分かっているよ。だからそんな思い切りつねらないでよ」


 すると麻美ちゃんは、


「ここは図書館よ。そんなにうるさくしたら。周りに迷惑がかかってしまうでしょ」


 それもそうだな。じゃあ、麻美ちゃんが小説を書き終わるまで僕は勉強をする事になった。学校の勉強とは本当に階段を上がるような感じだ。


 そうやって階段を駆け上がると僕は良いと思っているが、果たして、このような勉強が世の中に役に立つのかとまたそんな疑問に到達する。


 でも勉強をしなければいけないよな。


 僕は何を甘ったれた事を考えているのだろうとさえ、思ってしまった。


 でも麻美ちゃんの事が気になる。


 そして五時を回ったところで麻美ちゃんは切りが良くなったのか、健康用紙を鞄に詰めているところチャンスだと思って麻美ちゃんに声をかけた。


「麻美ちゃん」


「どうしたの?純君」


「お願いがあるんだけれども」


「何?」


「麻美ちゃんの小説僕に見せてくれないかな?」


「嫌よ。恥ずかしい」


「でもその小説、いずれ大勢の人に見せることになるんだよね」


「確かに」


「僕を小説の大賞選考員だと思って見せてくれないかな」


 そこで小百合さんが、


「ちょっと純君、そんなに無理を言っちゃダメだよ」


「無理な事をいっていないと思うけれど」


 すると麻美ちゃんは。


「じゃあ、純君に見せるけれども」


「本当に」


 僕は是非とも麻美ちゃんの小説を見たいと思っていた。


 麻美ちゃんは鞄から原稿用紙を渡してきて、見せてくれた。


 タイトルはオレンジの日々という名だった。


「純君、私にも麻美ちゃんの小説を見せてよ」


「麻美ちゃん、小百合さんにも見せても良いかな?」


「別に良いけれど、感想は正直に話してよね」


「分かっているって」


 そう言う事で麻美ちゃんの小説を読ませて貰った。


 麻美ちゃんの小説を読んでいると、何か心がポカポカとしてくる感じがしてくる。


 凄く文章が瑞々しくて、麻美ちゃんの小説の内容に引き込まれる感じであった。


 本当に十歳が書く小説とは思えない程だった。


 見ていて涙がこぼれ落ちそうになる。


 小百合さんの方も涙を浮かべている。


 そして読み終わって、まだこの小説は途中だったため、まだ最後に到達していなかった。


「麻美ちゃん。この小説凄いよ。本当に十歳が描くような物じゃないと思うよ」


 すると麻美ちゃんは険しい顔をして、


「な、何よ。私の小説がそんなに面白いっていうの?嘘も休み休み言ってよ」


「本当に面白いよ。ねえ、小百合さん」


「本当に私達と同じ年頃の描く小説だとは思えないわ」


 それでも麻美ちゃんは麻美ちゃんに対して気を使っていると思っているのだろうか?麻美ちゃんはまだ険しい顔をして僕達の感想に疑いの視線を送っている。


「何よ二人して私の事を気を使っているの?」


「気なんか使ってないよ。本当に感動してしまったよ」


 僕と小百合さんは涙さえ流してしまった。


「あなた達嘘泣きまでして、私の事に対して気を使っているの?」


「そんな訳あるはずないじゃないか。本当に麻美ちゃんの小説は面白いよ」


 すると麻美ちゃんは今度は僕達の事を信用し始めたのか?疑いの表情から嬉しい表情へと変わって行った。


「本当に、本当に私の小説が面白いの?」


「本当だよ。ヒロインの死んだ姉に出会ったところなんて最高だと思えたよ」


「そんな細かいところまで読んで私の小説に感動してくれたんだ」


「本当に感動したよ。これを十歳の女の子が書いたって選考委員が見たらすぐに小説デビュー間違い無しだと思うよ」


「そんなに私の小説に感動する何て思わなかったよ。二人とも読んでくれてありがとう。これで書く意欲が凄く増したよ」


「その勢いだよ。麻美ちゃん。麻美ちゃんの小説は凄い面白い物だと思うから自信を持って取り組むべきだと僕は思うんだ」


 気がつけばもう午後六時を回ったところだった。


 麻美ちゃんにバイバイと言って、僕と小百合さんはそれぞれの家に帰って行った。


 家に帰ると、お母さんが玄関でカンカンに怒っていた。


「純君、今何時だと思っているの?」


「ごめんなさい」


「ところで今日は小百合ちゃんは?」


「家に帰ったけれど」


「エー、何で引き留めないのよ。今日も小百合ちゃんの分のご飯も作ってしまったんだから」


「そんな事を言われても僕には分からないよ」


「まあ、とにかくこれからは気をつけなさいよ」


 そう言って僕の頬にキスをするのだった。


 今日のメニューはもう出来上がっていて、シチューだった。小百合さんの分も作ってしまい、僕とお母さんが少し多めに食べるのだった。


 僕は食べながら考えていた。麻美ちゃんの小説を。小説であんなに人を感動させてしまうなんて凄いと思う。実を言うと、僕は小説なんて書いたこともないし、もしくは読んだこともない。


 小説家かあ、そう思って僕も書いてみようか何て考えたりしている。


 今日もお母さんと一緒にお風呂に入ることになってしまった。


 僕は小学四年生なのに、まだお母さんと一緒にお風呂に入っている事が世間でばれたら恥ずかしい思いをしてしまう。


 お母さんもお母さんだもんな、まだ、僕は子供だが、そんなちっちゃな子供じゃない。


 お風呂に上がると一緒に裸になってお母さんの裸を僕は直視できなかった。


 お母さんの裸を見ると、頭に血が上るほど、興奮してしまうからだ。


 お風呂から出ると、お母さんは翻訳の仕事に入り僕は眠ることになった。


「じゃあ、お母さん。先に眠っているけれど、とにかくあまり無理しないでね」


 とだけ言っておいた。


「あら、純君も大人になったのね、そんな風にお母さんの事を気遣ってくれるなんて」


 ニコニコと嬉しそうに言う物だから僕は恥ずかしくなってしまって、「じゃあ、寝るね」

と言って寝室に行った。


 寝室は僕とお母さんが眠る部屋でもあり、僕の勉強室でもある。


 僕は机に座って原稿用紙に小説を書いてみた。


 僕が小説を書き出すと、なぜかペンが止まらない。


 小説を書く事がこんなに面白いなんて思いもしなかったからだ。


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