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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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肉体的にも精神的にも強くなりたい

 僕と小百合さんはお母さんに勧められて少林寺拳法を習うことになった。


 それで主将に一戦交えて、勝負は一瞬で決まってしまった。そして気がついたら僕は気絶していたのだ。


 僕と小百合さんは少林寺拳法はいつもどのような練習をしているのか気になって見ていた。

 少林寺拳法はまず基礎練習から始まり、小学一年生から中学生高校生、それに先ほどの大男みたいに大人がいる、それにその中に女子はあまりいなかった。


 基礎練習を見てみると、まずは受け身をして、構えて、目の前に敵がいると仮定したのだろうか?その仮定した相手にパンチや蹴りなどを入れている。


 そしてみんなで声を出しながらパンチや蹴りを入れている。


 僕は小学一年生ぐらいの女の子を見ていると、女の子も負けずと気合いを入れて声を発している。


「小百合さん。あんな小さな子でも、あんなに強そうに見えるよ」


「そうね、あれぐらいの気合いを見せられたら、立ちすくんじゃうかもしれない」


 そう小百合さんと話し合って僕達はこの少林寺拳法に興味を持ちだした。


 基礎練習が終わった後、みんなそれぞれ、各自の練習をしている。


 僕と小百合さんはあの小さな女の子である子の練習を見ていた。


 小さな女の子は主将に手加減をして貰って闘っている。


 その小さな女の子は本気で強くなろうと思っているのが見て分かる。


 その小さな女の子と手加減をしている主将の姿を見ていると、何かお母さんと重なって見えた。お母さんも少林寺拳法を学んだんだ。お母さんも強くなりたいと思って、少林寺拳法を学んだんだ。それで主将と張れるぐらいの強さを持ち、どうしてバスケの道へと歩んで行ったのか?


 その他の人達も僕と小百合さんは見ていた。


 とにかくサウンドバックに声を上げてパンチやキックなどを入れて、サウンドバックは凄い衝撃音を発している。


 それに片手で腕立てをしている者や、組み手の練習をしている者がいる。


 とにかく僕達はここに通えば強くなれるんじゃないかと本気で思った。


 そしてみんなで瞑想の時間になったのか、みんな並んで正座をして、目を閉じていた。


 瞑想の時間が終わると、けっしゅと言って、左手の親指に右手の親指を握りしめると言う者の様だ。それは少林寺拳法の基本だと思われる。


 そして僕達が見学して二時間が経ち、すでに今日は八時を回っていた。


 少林寺拳法の見学を見終わった後、主将が僕達のところへやってきた。


「どうかね、君達、これが私達がやっているいつもの事だけれども」


「是非是非やってみたいです」


「もちろん私も」


 僕と小百合さんは少林寺拳法を習うことに決めたのだった。


 僕と小百合さんは本気でここで強くなりたいと思っている。


「じゃあ、月謝の話になるけれど、月に五千円はかかるけれども各自親御さん達と相談して来なさい」


「「分かりました」」


 外に出るともう真っ暗だった。


「純君、亜希子お母さんは、あの主将と張れるぐらいの強さを持っていたのよね」


「らしいね、どうして急にバスケの道に進んでしまったのだろう?」


「バスケに何か、魅力を感じたんじゃない」


 そんな時である。僕のスマホが鳴り出した。出てみるとお母さんからだった。


『純君。少林寺拳法の様子はどうだった』


「凄かったよ、小百合さんも習いたいと言っていた。それよりもお母さん。主将や恰幅の良い人が言っていたけれど、どうして少林寺拳法からバスケの道を選んだの?」


『知りたい。そこで小百合ちゃんもいる?』


「いるけれど、それがどうかしたの?」


『小百合ちゃんを連れて今日はうちでご飯を食べるように言ってくれないかな?小百合ちゃんの分まで作っちゃって』


「とりあえず、それは小百合さんに聞いてみてよ。小百合さん家の事情は僕には分からないから」


 そう言って僕は受話器を小百合さんに渡した。


 小百合さんはそれを受け取って、お母さんは小百合さんと話している。そして晩ご飯を僕の家で食べるように言っているみたいだ。


 小百合さんは喜んでと言う事で合意してくれた。


 お母さんに聞いて見たいことがあるもんな、少林寺拳法でジュニア選手権で準優勝を果たしたのに、どうしてバスケの道を選んだのか?僕は聞きたかった。


 それに今日もお母さんは剛君とあっ君にバスケの練習に付き合っていたのだろう。


 僕はお母さんに言われたとおり、小百合さんを連れて僕の家へと向かったのだ。


 僕の家に到着して、玄関に入ると、お母さんは慌ただしく僕の前に来ていつものキスをする。さらに小百合さんにもキスをした。


「ちょっと亜希子お母さん私は純君の子供じゃないんだから」


「まあ、細かいことは良いのよ。私は小百合ちゃんの事も好きだから」


 小百合さんの表情を見てみると、何か複雑な顔をして苦笑いをしている。


「さあ、二人とも食卓にレッツゴー」


 お母さんは拳を振り上げて意気揚々と言った。


 食卓に行くと今日はハンバーグだった。


 それを見た僕は凄くテンションが上がった。


 お母さんのハンバーグは本当においしいんだよな。


 僕達はお母さんに聞きたいことがあったんだ。


「お母さん。どうして少林寺拳法の道をやめてバスケの選手になろうとしたの?」


「まあ、少林寺拳法ではジュニア大会で準優勝を果たしたからもう良いかなと思ってやめたんだ」


「何か厳つい人がいて、僕のお母さんの事を知っているみたいだったよ」


「ああ、阿部君ね、まだ、あの子少林寺拳法をやっていたんだ」


「その人の話によるとお母さんって、主将と張れるぐらいの強さを持っていたみたいじゃん。それに僕は主将と一戦を交えて尋常じゃない強さだと知ったよ」


「何々、純君主将に一戦を交えたの?」


 お母さんが興味津々に聞いてくる。


 そこで小百合さんが、


「主将凄く強かったよ。まるで攻撃が見えないほどの早さだったんだから」


「もしかして純君、主将の事を小馬鹿にするような事を思ったんじゃないでしょうね。あの人の洞察力は並大抵の物じゃないよ」


「そうだね。お母さんの言うとおり、小馬鹿にしていたかもしれない」


「やっぱりね。純君、少林寺拳法に入るのはお母さんが勧めたけれども、人を見かけで判断しちゃいけないからね」


 そうだよな。お母さんの言うとおり、人を見かけで判断しちゃいけないよね。


 僕ももっともっと肉体的にも精神的にも強くなりたいと思っている。それには少林寺拳法に習うことだと思う。


「とにかく純君、少林寺拳法を習うにはただ強くなれれば良いって事じゃないからね」


 そのお母さんの言葉には意味深な感じがしたが、何となく分かるような気がした。


 そうだ。ただ強くなるだけではダメなのかもしれない。


 とにかく僕は小百合さんと少林寺拳法を学んでいった方が良いと思っている。


 そして食事も済んで小百合さんは帰っていき、僕はお母さんの食器の後片付けを手伝った。

「どうしたの純君、お母さんのお手伝いをしてくれるなんて」


「とにかくお母さんは今日の夜中に仕事をして、明日また剛君とあっ君にバスケを教えてあげるんでしょ」


 するとお母さんは目をキラキラと輝かせて僕に頬にキスをした。


「ちょっとやめてよお母さん。そう言う事をされるとまたいじめにあってしまうかもしれないじゃん」


「純君は強い子だから。そんな事にはならないよ」


 本当にお母さんは僕の事を愛しているんだろうな。


 でなければ僕にホッペにチューなどしないだろう。


 そんなお母さんは嫌だけれども、強くなれたのはお母さんのおかげなんだよな。


 それにお母さんは僕と同じ年になってしまったのだから。


 お母さんの顔を横目で見てみると、お母さんは銀髪の長いロングヘヤーに赤みかかった目をしていて、凄くかわいいと僕は思っている。僕はそんなお母さんが大好きなのかもしれない。


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