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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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それぞれの夢に対して熱くなる僕達

 麻美ちゃんが小説家の夢を見ていることで、施設の子供達の夢が分かった。明は学校の先生、凛ちゃんは歌手になりたいんだよね。それに剛君はBリーグで活躍することで、あっ君は体育の教師になりたいと言っていた。


 これでみんなの夢が分かった。僕達も負けていられないので、僕と小百合さんは、麻美ちゃんの夢を知った次の日に麻美ちゃんが小説を書いている図書館に赴き、学校の宿題とクラスのみんなとも早く五年生の勉強をしていた。


 麻美ちゃんを熱にしてやる勉強は凄く捗る。


 僕と小百合さんにとって麻美ちゃんはライバルのような感じがした。


 さらに言うと小百合さんと僕はライバル同士でもあり恋人同士でもあるんだよな。


 本当にお互いに負けていられない。


 



 ★




 勉強が一段落ついて、僕と小百合さんは漫画を読んでいた。


 このドラゴンボールって言う漫画はとても面白いと思った。


 この漫画、僕達が生まれる前に鳥山明は書いたのだろう。


 こんな面白い漫画が描けるなんて凄い人だと思う。


 それにここにある漫画や小説すべて、本気で夢を叶えたい気持ちで描いたのだろう。


 そろそろ漫画も勉強もこれぐらいにして、また何か始めようかと考えたところ、お母さんが剛君とあっ君にコーチをしている河川敷に行ったのであった。


「剛君もあっ君も頑張っているかな?」


「頑張っていると思うよ。あの二人本気で夢を叶えたいと豪語していたから」


 小百合さんの言うとおり、剛君とあっ君はお母さんをコーチにして頑張っている。


 そんな頑張っている三人を見ていると何か腕がうずうずしてしまう。


 僕は駆け足で三人のところに行って、


「僕も混ぜてよ」


「私も混ぜて」


 僕と小百合さんは共に言った。


「面白い事になってきたよ。あっ君に剛君」


 お母さんがそう言うと剛君とあっ君は、


「本当に面白い事になってきたけれど、俺達は五人しかいないじゃん。これじゃあ試合は出来ないよ」


「だったら私と小百合ちゃんが二人のチームで、あなた達男性群三人で試合しない。そうすれば、面白い勝負になるよ」


「それは名案だ。でも小百合ちゃんと純君は素人じゃん」


 剛君が言う。


「それが面白いんだって、あなた達私に一本もワンオンワンでもツーオンワンでもとった事がないじゃない。つまりあなた達三人にハンデをあげようと思うの」


「ハンデって、俺達はそんなに弱いのか?」


「弱いんじゃなくて修行不足よ」


「そこまで言われたからには、負ける訳にはいかないな」


 剛君がそう言うとあっ君も燃え始めた。


 僕も負けていられないと思ったが、これはかなりのプレッシャーだ。僕は二人の実力について行けるか凄く不安になってきた。


 僕達がオフェンスで、デフェンスは小百合さんと亜希子お母さんであった。


 よし負けるわけには行かない。


 剛君とあっ君が亜希子お母さんのデフェンスに疲労困憊をしていたところ、ここは破れないと思ったのか、剛君は僕にパスを渡してきた。


 僕にパスが回ってきて、相手は小百合さんだった。


「純君、ほら、来なさい。私が料理してあげるから」


 そう言って僕は小百合さんの言葉にしゃくに障り、このまま小百合さんから一本とってやると思って、抜けようとすると、ボールは見事にとられてしまった。


「はい。私達の勝ち」


 小百合さんはボールを持ちながら、亜希子お母さんとハイタッチをして喜びを分かち合っていた。


 僕は凄い悔しかった。それに剛君とあっ君の足を引っ張ってしまって申し訳がないと思って、二人は僕に「「ドンマイ」」と言ってくれて気持ちが安定した。


 そんな調子でバスケをして僕達の男性チームは全敗だった。


 オフェンスもデフェンスも亜希子お母さんと小百合さんの攻防に太刀打ち出来なかった。


 本当に悔しかった。いや悔しいのはBリーグを目指している剛君と体育の教師を目指しているあっ君だ。


 そろそろ遅くなってきたので、お母さんが、


「今日のところはこれぐらいにしておきましょうか?」


「主将、いつもいつもありがとうございます」


 剛君がそう言ってお母さんに深く頭を下げる。あっ君も同じように頭を下げた。


「よろしい、じゃあ、明日ね」


 そんな風に胸を張っているお母さんを見て僕はお母さんの子供として、誇りに思っていた。

 そして剛君とあっ君は荷物を持って自転車で施設に帰っていった。


「さて、私達も帰りましょうか?」


「そうだね」


「小百合ちゃん今日も家でご飯を食べていかない?」


「良いんですか?」


「もちろん、いつも純君のお世話をしているお礼だと思って召し上がって行きなさい」


「ところでお母さん。家には何もないんでしょ。その前に買い物に行かなきゃいけないんじゃないの?」


「それもそうだった。じゃあ二人ともお母さんの買い物に付き合ってくれる?」


 そういう事で僕達はお母さんに連れられて近くのスーパーに出かける事になった。


 スーパーに行くとそこで僕は新しい発見をする事が出来た。


 このスーパーに並んでいる物は農家の人達が汗水を垂らして作った野菜なんだと。魚は漁師さんが賢明に魚を捕ってくれて、鰺の干物とか秋刀魚やマグロの刺身なんか、みんな漁師さんのたまものだと思った。


 それにお肉もかわいそうだが、鶏肉は養鶏所の肉であり、豚肉は養豚所の肉であり、牛肉も然りである。それをお母さんは懸命に翻訳家としての作業でお金を稼いで買うとは、お金と言う物は天下の回り物とは良く言った物だと思った。


「純君、どうしたの、辺りを見てそんなに目をキラキラと輝かせて」


「いやー小百合さん。ここに置いてある食材は農家や漁師や養豚所やその他にも色々とあるけれども、それらのたまもの何だなーって思って」


「ふーん、じゃあ、純君ピーマンも農家の人達のたまものだとは思わない」


 目を細めてにやけながら僕に訴えて来た。


 僕はピーマンだけは嫌いだった。だから小百合さん言葉に僕は狼狽えてしまった。


「ねえ、亜希子お母さん、今日の晩ご飯だけれども、ピーマンの肉詰めなんか良いんじゃありませんか」


「ちょっと小百合さん。それはちょっと殺生でしょ。いくら農家の人達の汗でも嫌いな物はあってもおかしくないでしょ」


「何を言っているのよ。先ほどは何か偉そうな事を言っていたのに、急にそんな風になってしまうなんて」


 するとお母さんは、


「何々どうしたの?」


「純君がね、ここにある野菜や魚は農家や漁師のたまものって偉そうな事を言っていたから、ピーマンも農家の人のたまものって言ったら、急にテンション下げて、狼狽えてしまったんですよ」


「なるほど、純君ここに売られている野菜や魚は農家や漁師のたまものって言ったのね、じゃあ、小百合ちゃんの言うとおり、今日はピーマンの肉詰めにしましょうか」


「ちょっとそれは勘弁してよ。僕はピーマンアレルギー何だから?」


「純君にそんなアレルギーはありません。それにピーマンは本当に栄養価の高い食べ物なのよ。好き嫌いしてないで食べましょうよ」


 そう言ってお母さんはピーマンを手に取り、豚挽肉を手に取った。


「小百合さん酷いよ、今日の晩ご飯はピーマンの肉詰めにされてしまったじゃないか」


「だって純君が偉そうな事を言っているからついやっちゃった」


 舌を出してかわいらしくウインクをして、小百合さんは笑った。


 本当に小百合さんは憎めない、僕に嫌がらせをされてもいつかは本当に小百合さんの事を辱めてやると僕は思っている。


 あー地獄だ。今日の晩ご飯はピーマンの肉詰めにされてしまった。


 農家の素晴らしさは分かったが僕はピーマンだけはこの世から消し去りたいと思っている。


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