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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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甘い夢を見ながら眠りたい

 今日は小百合さんが僕の家に泊まる事になった。


 お母さんが食事を作っている間、僕と小百合さんは任天堂スイッチで遊んでいた。


「このゲーム、みんなとやるともっと面白くならない?」


「確かに小百合さんの言うとおりだね。今度、これを持って施設に行こうか?」


「それは良い考えね」


 そう言いながら、僕と小百合さんは任天堂スイッチで遊んでいると、お母さんがやってきた。


「二人ともご飯出来たわよ」


「「はーい」」


 と言って食卓に行くと、僕の大好きなお母さん特製唐揚げに、それに野菜は僕の嫌いなピーマンが入っていた。


 小百合さんの前でピーマンが食べられないことを思うと、恥ずかしくて小百合さんの顔をまともに見ることは出来ない。


 もしピーマンを食べられなかったら、小百合さんにからかわれる。


 それがお母さんのもくろみなのだろうか?


「じゃあ、二人とも座って」


 僕と小百合さんは隣通しで向かい側にお母さんがいる。


「じゃあ、いただきますをしましょう」


「「「いただきます」」」


 僕達三人はそう合唱して、僕は嫌いなピーマンから食べることにした。


 ピーマンを口に入れると、凄い苦い味が口に広がった。


 これは僕の嫌いな味だった。


「あら、純君、小百合ちゃんの前だからって嫌いなピーマンを無理して食べようとしてかっこうつけているんでしょ」


「そうなの純君、嫌いなピーマンを食べられないからって私の前でかっこうつけていたなんてかわいい」


 僕はとてつもなく恥ずかしい思いをした。


 こんな事なら小百合さんに最初から来て貰わなくても良かったのかもしれない。


「小百合ちゃんはピーマン食べれる?」


「はい、食べれます」


「純君ね、私がピーマンを出すと怒り出すのよ『何でピーマンなんて出すんだよ』って」


「そこまで言っていないよ。それに僕はピーマン嫌いだけれども、ちゃんと食べれるから」


「やっぱり小百合ちゃんの前でかっこうつけているんじゃない」


「純君かわいい」


「もう、二人とも僕のことをバカにしないでよ、ピーマンぐらい普通に食べられるから」


 そう言いながらピーマンをごっそり口に入れた。


 うわーマジで苦い。この苦さが嫌なんだよな。まずい吐き出しそうだが、僕は気合いを入れて咀嚼して思い切り飲み込んだ。


「純君、涙目になっているよ。本当に小百合ちゃんの前でかっこうつけていたのね」


「かわいい純君」


「もう、二人とも僕の事をバカにして、そんなに僕をからかって楽しいの?」


「「楽しいよ」」


 亜希子お母さんと小百合さんは口をそろえて言う。しかもニコニコしながら楽しそうに僕のことを見ていた。


「二人とも僕の事をバカにしているでしょ」


「バカにはしていないよ。でも純君のその反応が楽しくてね。だからお母さん、小百合ちゃんの前でピーマンを出したらどんな反応をするのか?楽しみにしていたけれどね」


 何て腹黒いお母さんなんだ。今日から親子の縁を切ってやろうかとさえ考えてしまった。


 二人にからかわれて、とりあえず僕は大好物な唐揚げを食べたのだった。それに小百合さんは余裕の表情でピーマンを食べていた。


「亜希子お母さんの料理はおいしいですね」


「そう。そう言ってくれると小百合ちゃんに作った甲斐があったものよ」


 ご飯も食べ終えて、お母さんと小百合さんはお風呂に一緒に入っていった。お母さんは僕も一緒に入らないかと言ったが、小百合さんは別に良いみたいだが、それだけは断固拒否した。


 お母さんもバカだな。それに小百合さんも。女の子と男の子がこの年になって一緒にお風呂何て入れるわけない。


 二人がお風呂から出てくると、小百合さんは黄色いネクリジェに着替えて、お母さんは青いネクリジェに着替えた。


「ありがとうございます。ネクリジェ貸してくれて」


「良いのよ別に」


 二人のお風呂上がりの姿は何か色っぽく感じて心臓がドキドキした。


 そして次に僕はお風呂に入ることになった。


 お風呂に入ると、この中に小百合さんが入ったのだろうと思うと、気持ちが高鳴ってきた。

 本当に僕は小百合さんの事が好きなんだよな。


 からかわれるのは嫌だけど、僕と小百合さんは結婚を前提に付き合っているんだよな。


 お風呂から出ると、お母さんは仕事をしていて、小百合さんは宿題をしていた。


 そうか、宿題が出ていたんだよな。


 ええと、宿題は漢字の書き取りだったっけ。


「小百合さん、宿題をしているの?」


「うん。そうだけれども、純君も一緒にやる」


「うん」


 そう言って宿題に手をかけた。


 宿題を済ませると、僕は布団をひいて、小百合さんにはお母さんの部屋で眠って貰おうかと思ったが、小百合さんは、


「私は純君と同じ部屋で眠りたいんだけれども」


「ええ、小百合さん、それはまだ僕達には早いよ」


「何が早いの?」


「またそうやって僕の事をからかっているの?」


「からかっていないわよ。私は純君と隣同士で眠りたいと思っているんだけれども」


「まあ、そこまで言うなら、止めないけれど」


 僕は部屋にある押し入れから布団を二着僕の部屋に敷いて眠ることになった。


 何だろう。今日は小百合さんと隣同士で眠ることに、緊張して眠れそうにない。


 でも明日は日曜日だ。眠れなくても学校には支障が出ないだろうと思った。


 そうだ。明日もいつもグラウンドで遊んでいる、施設の子供達五人と遊ぶことになっているんだ。眠りに支障が出たら、五人と遊べなくなってしまう。


 時計を見ると午後八時を示している。


 まだ眠るには早い時間だった。


「そう言えば純君、今日は本当に良い日だったよね」


「そうだね。僕達の紙芝居が園児達の心を掴んだんだもんね」


 今日の事を振り返ってみると、本当に何度思い返してみると胸のときめきが止まらない。


「純君、夢は見つかった?」


「僕保父さんになろうと思っている。子供達がみんな喜ぶような顔を僕は見てみたいと思っている」


「それは素敵な夢ね」


「小百合さんは夢は見つかった?」


「まだ、分からないけれど、保母さんも良いかもしれないね」


「それって僕と同じ夢じゃん」


「でも保父さんになるには難しい国家試験が待っているらしいよ」


「そんな難しい国家試験も夢を叶えたいと思う気持ちが僕達を強くさせるんだ。だから僕はそんな国家試験簡単には行かないけれど、突破して見せるよ」


「純君燃えているね。私も負けていられないよ」


 僕達は時が経てば必然的に大人になる。僕達はまだ小学四年生だ。夢を持つには早いかもしれないけれど、今日みたいなボランティアをして燃えるようなときめきに出会い、これなら、どんな困難にも超えてみせられるかもしれない。


 そんな甘い夢を語り合いながら僕と小百合さんは眠る事になった。


 小百合さんが隣にいるから眠れないんじゃないかと思ったが、そうでもなかった。僕はちゃんと緊張もせず眠りにつくことが出来た。


 本当に小百合さんも僕もお疲れ様と言う感じだ。


 電気を消して、僕と小百合さんは眠りについた。


 すると静寂の中、お母さんがパソコンを打つ仕事の音が木霊している。このお母さんの仕事の音を聞いていると、僕の為に必死に働いてくれているのだろう。


 そう言えばお母さんもバスケット選手になりたいと思っていたが、なれなくて、今している翻訳の仕事をしているんだよな。


 お母さんがバスケの夢が壊れたときの気持ちを考えてみると、それはさぞ悔しい思いをしたのだろうと思った。


 夢は叶わないから夢だと言うのか?何か夢って儚くてもろいような感じがした。


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