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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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夢見つけた

 金曜日、隣町の幼稚園に僕と小百合さんは二人で紙芝居を持って、麻美ちゃん達がいつもボランティアで子供達と遊んであげている幼稚園に来ている。


 麻美ちゃんの地図によるとこの辺だ。


 幼稚園の前に僕と小百合さんは立って、園児達ははしゃいで遊んでいる。


「ついに来たわね、純君」


 小百合さんはガチガチの緊張マックスって感じだ。


 同じように僕も緊張マックスって感じである。


「じゃあ、行こうか小百合さん」


「うん」


 幼稚園の外で、緊張していると、一人の保母さんが僕達に目をつけてきた。


「あら、あなた達、もしかして明ちゃん達が言っていた新しくボランティアで来た子?」


「は、はい、そうです」


「紙芝居を披露してくれるって明ちゃん達から聞いているけれど」


 保母さんは茶色がかった長い髪をポニーテールでまとめて、顔が整っていて、綺麗な人であった。


「私は白井千香って言うんだけれども、とにかく園児達は紙芝居を見せたら、お昼寝の時間になっているんだ。だから良い紙芝居を見せてあげて、良い夢でも見られるような紙芝居を披露してあげて」


「わ、わ、分かりました。さ、さ、早速紙芝居をやらせていただきます」


「ぷっ、君面白いね、そんなに緊張しなくても大丈夫よ。今日は明ちゃん達来ていないの?」


「とにかく私達はこれも経験だと言って、私達に紙芝居を託したそうです」


「じゃあ、早速紙芝居をやって貰おうかしら」


 そう言って千香さんは幼稚園の門を開けてくれた。


 中に入ると、千香さんが、


「みんな、このお兄ちゃんとお姉ちゃんが紙芝居を披露してくれるそうよ」


「あれ、明お姉ちゃんじゃないの?」

「明お姉ちゃんは?」


「とにかくみんな、このお兄ちゃん達に紙芝居を見せて貰おうよ」


 大きい声で千香さんが言う。


 そんなこんなで園児達は体躯座りをして僕達の紙芝居を見ることとなった。


 僕と小百合さんは緊張が止まらなかった。


 園児達は私達の顔をジッと見つめている。


「これから始まる紙芝居は新しい物で、純お兄ちゃんと、この小百合お姉ちゃんが、これから披露します」


「はーい」


 と一人の園児が僕達に質問の返事をしてきた。


「はい、君何かな?」


 と小百合さんは答える。


「純お兄ちゃんと小百合お兄ちゃんはいつ結婚するの?」


 何て質問をしてくるのだろうと僕達は思って小百合さんの顔を見ると真っ赤で僕も血が上るようにきっと顔が真っ赤なのだろう。


 それはさておき、


「じゃあ、これから紙芝居を始めさせて貰います」


 僕と小百合さんは緊張しながらも、あれだけ練習したのだからうまく行くと明と凛ちゃんと麻美ちゃんのお墨付きである。


 そして小百合さんは目を閉じて、そして開いて深呼吸をして、紙芝居を始めた。


「「題名、絵描きの少女」」


 僕と小百合さんは口をそろえて言う。





 ★




 何とか緊張しながらもこの絵描きの少女を小百合さんと僕は演じて何とか終了する事が出来た。


 みんなの反応は大歓声であった。


 園児達は喜んでいる。そんな園児達を見ていると、何か、心に響く何かが感じられた。


 僕達が演じた紙芝居を見て園児達は夢中になっていた。


 それにこの喝采。本当に僕は嬉しく思ってしまった。


 紙芝居が終わって千香さんが、


「じゃあ、純お兄ちゃんと小百合お姉ちゃんにみんなでありがとうを言いましょう」


 すると園児達はいっせいに「「「「「「ありがとう」」」」」と言ってくれて僕と小百合さんも感無量だった。


 何か凄く嬉しくて、震えていた。


 何だろう?この震えは、以前、本で読んだことのある武者震いと言う奴か、とにかく嬉しくて涙が出そうだった。


 小百合さんの方を見てみると、瞳に涙をためて喜んでいた。ちなみに小百合さんも武者震いか、震えていた。


 この後、園児達はお昼寝の時間なので、僕と小百合さんで千香さんにこれから起きる園児達のおやつを分けて貰い、少しだけ時間がないかと言われて少しだけ話す事になった。


 ちなみにおやつは動物の形をしたクッキーであった。


「二人ともお疲れ様。どうだった、紙芝居を園児達に喜んで貰えて?」


「本当に嬉しいです」


「私はこんな気持ちをしたのは初めてです」


「そう言えば、明ちゃんも言っていたな、初めて紙芝居をここで披露したとき、今日のあなた達みたいに凄く緊張していたよ。でもうまくいって今日のあなた達みたいに凄く嬉しそうにしていたよ」


 その気持ちはよく分かる。明達も初めて紙芝居をして、今日の僕と小百合さんの様に緊張したに違いないと思った。それに今日の僕達みたいに武者震いをしながら泣いている姿が思い浮かんだ。


 千香さんに園児達のおやつを分けて貰い食べて見ると、本当においしいお菓子であった。



 ★




 その後僕と小百合さんは帰る事になり、僕と小百合さんは二人乗りをして、いつもの孤児の五人が集うグラウンドに行った。


 隣町だったのでそこまで行くにはかなりの体力が必要だった。


 グラウンドに到着すると、いつもの五人と、亜希子お母さんがいた。


「おーい」


 と僕が言うと、明が走って僕と小百合さんの元へとやってきた。


「どうだった紙芝居は?」


「子供達凄く喜んでいたよ。本当に良い経験が出来て僕と小百合さんもとても嬉しいと思っているよ」


「そうか、思い出すわね、子供達に紙芝居を披露して喜んで貰えて本当に嬉しかったと思った事を」


「千香さんがまた今度、子供達に紙芝居を披露してあげてねって言われた。それに明に凛ちゃんに麻美ちゃんにもよろしくって言っていたよ」


「そう、それは良かった」


「それよりもバスケ僕達も入れてよ」


「あなた達疲れてはいないの?子供達に紙芝居を披露して緊張でガチガチだったんじゃないの?」


「それはそうだけれども、今はそんな疲れなんて嬉しくて吹っ飛んでしまったよ」


「そう、じゃあ、今スリーオンスリーでバスケを剛達とやっていたんだけれども、フォーオンフォーでバスケをしない。剛の奴、いまだに亜希子さんに勝てなくて修行をしているみたいだから、それに私達まで巻き込まれて疲れてヘトヘトなのよ」


 そう言って、僕達は剛君にあっ君に凛ちゃん小百合さんとお母さんと僕と麻美ちゃんと明で四対四のフォーオンフォーでバスケをした。


 相変わらず剛君は亜希子お母さんの前では熱くなり、以前よりもバスケがうまくなったんじゃないかと思えた。


 本当にお母さんは子供の姿になってしまったけれど、バスケをするお母さんは輝いて見える。剛君はお母さんの前だと凄く熱くなり、凄い闘志を燃やしていた。


 本当に夢を持っている人って輝いて見えるな。


 それに今日は僕と小百合さんは紙芝居をして子供達に喜んで貰えて、本当に嬉しかった。


 だが僕にはまだ、夢は持っていないが、この人達孤児の五人と一緒にいればいつか夢が見つかるんじゃないかって思い始めた。


 僕の夢かあ、もしかしたら保父さんになっても良いかもしれないと思った。


 そして日は暮れて、今日という日が終わろうとしている。


 帰り道、僕はお母さんに聞かれた。


「純君に小百合ちゃん。子供達に紙芝居を披露したんでしょ。それでどうだった?」


「うん。園児達みんな喜んでくれたよ。それが嬉しくてたまらなくてもう今でも武者震いが止まらない感じだよね、小百合さん」


「うん子供達本当に私と純君の紙芝居に夢中になって見ていてくれたよ。それが本当に嬉しくて涙が止まらなかったよ」


「それは良かったわね。じゃあ、今日は小百合ちゃん。家に泊まりに来ない?明日学校お休みでしょ」


「じゃあ、純君が良ければ良いけれど」


「僕は別に良いけれど、大丈夫、枕が変わると僕は眠れない体質なんだけれども、小百合さんはそう言った事はないの?」


「私は大丈夫。じゃあ、お言葉に甘えて純君の家にお泊まりさせて貰おうかしら」


「じゃあ、決まりね。じゃあ、今日はお母さん夜ご飯は腕によりをかけてあげちゃうよ」


 そう言う事で小百合さんが僕の家に今日はお泊まりすることになった。


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