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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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情熱の紙芝居

 僕と明と凛ちゃんと麻美ちゃんと小百合さんで、明達が住んでいる施設へと向かった。


 ちなみにお母さんと剛君とあっ君はお母さんにバスケの練習をする事になっている。


 施設に到着すると、光さんが貼り付けにされた銅像のキリストに祈りを上げている。


 光さんが祈りをしている時に話しかけるのは施設のみんなとの暗黙の了解で黙っていることになっている。


 それはさておき僕達は施設の図書室の場所で紙芝居があるところに連れて行かれた。


 それよりも、この本の空間に立っていると、ハードカバーの難しそうな本がズラリと並んでいる。


 そんな本を見ていると何か頭が痛くなってくるような感じがした。


「ほら、純君に小百合さん、ここに紙芝居の絵本があるわよ」


 明が言って紙芝居を見てみると僕と小百合さんが知っていそうな物語ばかりだった。


 その物語とはアンパンマンや笠地蔵にかいけつゾロリやその他にも色々と紙芝居はあった。

「私の一押しは最近入荷された、この絵描きの少女をおすすめするわ」


「明、絵描きの少女って何?」


「私も知らないんだけど、最近入荷されたのよ。どんな物かは分からないけれど、でもまあ入荷って言ってもこの施設に寄贈されたんだけどね」


 なるほど、ここの本は寄贈されたばかりの本って事か。


「まあ、私達の貧乏な施設は読み終わった本をこの施設に寄贈された物ばかりなんだ」


 明が言う。


「へえ、しかもこんなに?」


 図書室の辺り全体を見渡す僕。


「じゃあ、決まりね。今度やる紙芝居はこの絵描きの少女に決めるわ」


 明がそう言って僕達は納得したが、僕はこの絵本の事を知らない。


「僕はこの紙芝居の事を知らないんだけど」


「私も知らないわ」


 僕と小百合さんが言う。


「私達だって知らないわよ。その為にはこの絵本の練習をしましょう」


 と凛ちゃんが言う。


 早速僕達は練習に入る。


 練習に入る前に、明は一度僕と凛ちゃんと麻美と小百合さんに読んで聞かせて貰った。


 明は手慣れているのか?紙芝居を朗読していると、そのキャラクターになりきっている。


「本当に明って凄いね」


 僕が言うと、麻美ちゃんは、「明は実際に何度も紙芝居を園児の前でやってきたからね。私も本が好きだけれども、明の様に紙芝居の役になりきるのは苦手かな」と言う。


 明はそう言えば学校の先生になりたかったんだっけ。


 そう思うと明が輝いて見えるような感じがした。


 二十分くらいが経過して紙芝居は終わりを迎えたのだった。


 案外短い物語であったが、明、お疲れ様と言っておくべきだろう。


「さあ、今度は純君が紙芝居をやってみるのよ。私のやっているところを見て、学んだでしょ」


「ちょっと待ってよ明、僕はそんなに上手に出来るわけない」


「最初から上手に出来ることを期待しちゃダメよ」


 そんな時小百合さんの方を見てみると、「明の言う通りね」


 僕は渋々ながら紙芝居を三人の前でやることになった。


 題名は絵描きの少女。


 僕は思いのたけでやってみることにした。


 最初はぎこちなかったが、こうして明のまねごとの様な事をして、僕は良かったと思えた。

 やり終わって僕は凄く緊張しながらもやってのけた。


「凄いじゃない純君、君なら園児の前で、紙芝居を一人でする事が出来るよ」


「これを僕一人でやるの?明」


「紙芝居は一人でやってなんぼって感じよ」


 何か緊張してきた。


「ところで、その紙芝居の日程はいつなの?」


「明後日の金曜日」


「ええ、明後日の金曜日?」


「純君なら出来るよ。それとこの絵描きの少女、純君に貸すから、ちゃんと練習して置いてね、今のままじゃあ、園児達も大根役者がやっていると非難の声が上がると思うから」


『うまい』と言っておきながら大根役者扱いかよ。それよりも僕は絵描きの少女を受け取って、やることになってしまった。


 さて今日は眠れそうにない程、練習しなければならないだろう。


 空が黄昏を呼ぶときには、お母さんのバスケの修行をしていたあっ君と剛君が戻ってきたみたいだ。


「あっ君に剛、亜希子さんのバスケの修行はどうだった」


 明が言う。


「相変わらず一本も取れないよ」


「亜希子お姉さん凄いよ」


 剛君とあっ君は疲労困憊って感じで言っていた。それはともかく僕は剛君に、


「亜希子お母さんは?」


「先帰っているって純君と小百合さんに言っておいてって帰って行ったよ」


「じゃあ、小百合さん僕達も帰ろうか?」


「純君帰るなら、これ持ち帰って練習してね」


 と明に釘を刺されて僕に言った。


「う、うん、練習しておくよ」


「もっとテンション上げて張り切って行こう」


 凛ちゃんが僕の背中を思い切り叩いて僕に鼓舞する。


 ちょっとだけ緊張がほぐれた感じがした。


 帰り道、小百合さんを乗せて、僕達が住む集合住宅まで戻ることになった。


「いやー紙芝居なんて僕に出来るのかな?」


「今日帰ったら早速練習しなよ」


「小百合さんも手伝ってくれる。僕はこの絵の中に入った女の子を演じるには小百合さんの力が必要だと思っているんだよね」


「じゃあ、私が主人公の女の子役で、純君がこの絵描きが書く登場する獣や魔物と言う事で」


「よし!早速僕の家に言って練習しよう」


 今日、小百合さんは僕の家でご飯を食べてくると携帯で知らせて僕と小百合さんは紙芝居の物語の練習にあたった。


 紙芝居か、何だろう誰かの為にやる事って何か楽しくなってきてしまうのは?こんな気持ち初めての事だった。


 早速僕と小百合さんは僕の家で紙芝居の練習をしていた。


 やっぱり小百合さんは女性だけ合って、主人公の絵を描く女の子の声はさすがにうまいと思った。


 僕も負けずと、絵の中の少女役である脇役を強く演じた。


 するとお母さんは、


「何々、二人ともどこかで紙芝居をやるの?」


 と聞いて来たので、小百合さんは、


「そうです。明後日、どこかの園児達に紙芝居を披露することになったんです」


「紙芝居か楽しみだね。私も拝見させて貰おうかしら」


 お母さんが見ている前で紙芝居か、何か緊張する。だったらこんな事を引き受けるんじゃなかった何て思ってやってみると案外楽しかったりする。


「小百合ちゃん。今日は家でご飯を食べて行ってね。今日はお好み焼きよ」


「それは楽しみです亜希子さん」


 お母さんが料理をしている間、僕と小百合さんは紙芝居の練習をしていた。


「純君、もっと感情を込めて言わないとダメよ」


「そう。これでも感情を込めて言っているんだけど」


「そんなんじゃ。ダメよ」


 すると小百合さんは絵の中の少女になりきって言った。


 凄く白熱な演技であった。


「凄いね小百合さん。気合いが違うよ」


 僕も負けず嫌いなので、小百合さんの様には行かないかもしれないけれど、小百合さんを見習って演技した。


「その調子よ、純君。そうやって感情を込めて言えば、何とかなると思うから」


 そんな時である。


「二人とも、ご飯出来たわよ。食べなさい」


「「はーい」」


「小百合さん。お母さんのお好み焼きおいしいよ」


「それは楽しみね」


 僕とお母さんは小百合さんを囲んで、お好み焼きを堪能することになった。


「本当においしいですね。亜希子さん」


「小百合ちゃんは何か料理を作れるの?」


「前一度、母とカレーを作った事があります」


「そうなんだ。将来の純君のお嫁さんになったら、私も食べてみたいな」


「何を言っているのお母さん。僕達はまだ結婚するとは言っていないよ」


 僕が言うと小百合さんは、


「私は純君と結婚前提で付き合っているんだけれども」


「ええ!そうだったの?」


 と僕はびっくりしてしまった。


「じゃあ、純君、それはさておき、この紙芝居をもう一度やったら、私帰るね」


「小百合ちゃん。泊まって行けば良いのに」


「そうは行きませんよ。家のお母さんも心配してしまうから、それに明日は学校があるし」


 そう言って小百合さんはご飯を食べて、紙芝居を一通りやったら、帰ることになった。


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