神々しい施設長の光さん
お母さんと小百合さんに相談して剛君達が住んでいる施設に行くことになった。
「みんな、いきなり押しかけて大丈夫なの?」
亜希子お母さんが心配そうに言う。
「大丈夫に決まっているじゃん。光さんはあなた達の事を聞いて会いたがっていたから」
明が言う。
小百合さんは携帯で親御さんに連絡をして今日は外でご馳走になるって言って、携帯を切ったのだった。
「そう言えば小百合さん携帯持っていたんだ」
「ええ、今時携帯も持たないと不便でしょ」
「じゃあ、僕の携帯と小百合さんの携帯のアドレスの交換をしようよ」
そう言って僕は小百合さんのQRコードを読み取って、アドレスを交換した。
「何だ。君達携帯を持っているの?」
凛ちゃんが言う。
「うん、私と純君は持っているけれど、あなた達は持っていないの?」
「持っていないね」
「そうなんだ」
と小百合さんはこんな時どんな言葉をかければ良いのか困惑状態であった。
「まあ、俺達は携帯が無くても、それなりに楽しい毎日を送っているよ」
とあっ君は言う。
「そうなんだ」
それを聞いて小百合さんは嬉しそうな顔をして困惑した気持ちから脱したのだった。
僕達は今、施設に向かっている。
その施設は教会の様な建物で会った。
「ここが俺達の施設だよ」
あっ君が言う。
施設の扉を開いて、修道院の黒い服を着た女性が貼り付けにされたキリストに向けて祈りを送っていた。
「光さん」
と呼んでも返事は無かった。
「ちょっと剛、光さんがお祈りをしている時は私語を慎むって私達のルールでしょ」
「あっゴメン明」
そして修道院姿の光さんが立ち上がると、子供体系のお母さんのような感じの人だった。
「えっ?あれが光さん?」
「そうだよ」
と剛君が言う。
僕は目を疑った。もしかして光さんとやらも家のお母さんと同じような事になって子供体型に戻ってしまったんじゃ無いかって僕は思った。
光さんは祈りを終えて僕達の方に振り向いた。
「あらあなた達お帰りなさい」
修道服のフードを取ると光さんは金髪で青い目をして体型は先ほども言ったがお母さんと変わらない。
五人は光さんを囲むように、光さんの元へと行った。
「光さん。あの子達が以前言っていた、私達と遊んでくれている人達だよ」
凛ちゃんが言う。
この光さんという人、何かただならぬ何か神々しいオーラに包まれている。
「他に施設の子供達は居ないの?」
と小百合さんが聞く。
「そうなのよ。ここにはこの五人しか居ないのよ」
光さんが言う。
建物の中は教会であり、結婚式には持って来いの、場所であり、座席があって、ステンドグラスなどが張り巡らされていた。
光さんが僕達の所にやってきて、「あなた達の事はこの子達から聞いているわ。何でも色々と遊んでくれているらしいじゃない。良かったら今日、晩ご飯でも食べて行って貰えないかしら」
「光さんの手料理はおいしいのだから」
自慢げに麻美ちゃんが言う。
「あなた達今日はカレーだから、すぐに出来上がるわよ」
「やったー俺、光さんのカレー大好きなんだよな」
「剛舞い上がりすぎよ。ちっちゃな子供じゃないのだから」
「まあまあ、光さんの手料理は本当に世界一おいしいからね」
「凛の言うとおりだよ。俺も光さんの手料理は世界一だと思っている。いつも楽しみが光さんの手料理と言っても過言じゃ無いほど好きだからな」
とあっ君が言う。
「じゃあ、あなた達いつものように手伝ってね」
「「「「「はーい」」」」」
と五人とも食堂へと向かっていった。
「僕達も行かなくては良いのかな?」
「純君の言う通りね、私達も出来る事があったら、何か手伝いたい物よ」
「小百合ちゃんの言う通りね、ここは私達も手伝いましょう」
そう言う事で僕達も手伝うことになった。
手伝う事はジャガイモやニンジンの皮切りにタマネギのスライスだけであった。
「光さん、下ごしらえは僕達と純君達でやったから後は任せたよ。
「ええ、いつもありがとう」
この光さんにも何かお母さんの様な大人びた感じがしてならなかった。
食卓は協会の席で食べることになった。
「あなた達いつもこの教会で食事をしているの?」
「何?おかしい?亜希子お姉ちゃん」
「別におかしくは無いけれど・・・」
あっ君におかしいと言われておかしいとは言えないお母さんであった。
お母さんもそう思ったか。実を言うと僕も小百合さんも思っているのかもしれない。
食卓が教会なんてあまり聞いたことないし、それに正面にはキリストが貼り付けにされた銅像が厳かに飾られてある。
「ここでたまに結婚式を挙げる人が居るのよ。それも私達を養っている費用として光さんは頑張って居るのよ」
麻美ちゃんが言う。
「光さんは私達のお母さんみたいな人だからね」
凛ちゃんが言う。
お母さんかあ、僕にはれっきとしたお母さんが存在している。
まあ、僕はみんなが孤児だからと言うことに心配して居たが、その心配も無いように感じられた。あんな神々しい光さんに育てられて居るのだから。
そんな事を考えて居ると、光さんがやってきて、「みんな、お皿にカレーライスとサラダを取りに来て」
僕達も剛君達も「「「「「「「「「はーい」」」」」」」」と返事をして食堂に向かった。
ここでは自分達が食べる分は自分達で運ぶのが通例となって居るみたいだ。
それに光さんは僕達には下ごしらえぐらいしかさせてくれなかった。後は光さんがカレーを煮込むだけであった。
おいしそうなカレーだが肉が入っていない。きっと施設では肉が買えない程貧乏しているのかそれとも、宗教的な何かで肉は禁じられて居るのかは分からないが、光さんが作ったカレーライスを食べてみると、凄くおいしかった。
「このカレー本当においしいよ。こんなカレー食べた事無いよ」
僕が食べると亜希子お母さんは「本当においしいカレーね、私も純君にこれほどのカレーを作る自信は無いわ」と多少しょんぼりしているお母さんであった。
「そんな、お母さんのカレーもおいしいよ」
「そう、純君、別に気を遣わなくても良いんだよ」
「別に気を遣っているわけじゃ無いよ」
すると光さんはやってきて自分の分のカレーとサラダを持って礼拝堂の食卓にやってきた。
「いつもあなた達の事は剛達から聞いています。いつも遊んでくれてありがとうね」
本当に子供なのだが大人なのだろう。この人も家のお母さんと同じように子供体系になってしまったんじゃないかと思った。
「光さんでしたっけ、失礼ですが、年はいくつなのですか?」
「ちょっと純君、それは失礼な事よ。女性に年を聞くことはセクハラに等しいぐらい何だからね・・・ごめんなさいね。うちの子が失礼な事を聞いちゃって」
僕を窘めて、光さんに謝る亜希子お母さん。
「別に気にしなくて良いのよ、私の年は三十五よ」
「お母さんと同い年だ!」
と僕が絶叫するように言うと、お母さんは堪忍袋の緒が切れたのか、僕の頬を思い切りつねった。
「純君、失礼にも程があるわよ」
本当は自分の年齢を言われて傷ついてしまったのに、お母さんは僕に癇癪を起こす。
すると光さんは笑った。本当に神々しい笑顔で笑った。
その姿を見て、僕は見た目は子供だけれども、頭脳は大人なのだろう。家のお母さんみたいな人だ。
「あなた達本当に面白い人達ね、今日はゆっくりしていってね」
光さんはそうは言っているが僕達は明日学校だし、お母さんだって仕事があるんだ。ゆっくりはしていられないかな?
「そうしたいのは山々ですが、この子達にも学校があって、私にも仕事があります。だからカレーをご馳走になったら帰ります」
「そう。じゃあ、いつまでもこの子達と仲良くしてあげてね」
「そんな事言われなくても分かっているわよ」
「ちょっと小百合さん。相手は大人なんだよ」
「あっゴメン、何かあの光さん何か剛達と同じように接してしまったよ」
「別に気にしなくても良いのよ。またいつでも良いから家(施設)に遊びに気にいらっしゃい」




