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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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それぞれの楽しい夢

 お母さんは明に凛ちゃんに麻美ちゃんにバスケのコーチをしている。


 小百合さんと僕がそれを傍観していると、剛君があっ君を連れて、僕と小百合さんを誘った。


「純君に小百合ちゃん。今日も俺達と修行をしようよ」


「そうだね。僕達はみんなと遊ぶ事が大好きになってきたよ」


 僕がオフェンスで剛君がデフェンスで勝負することになった。


 僕が剛君のデフェンスを抜けようとしたところ、すんなりとボールを取られてしまった。


「純君、しっかり!」


 小百合さんが僕の事を励ます。


 次はあっ君と小百合さんが勝負することになった。


 小百合さんがオフェンスであっ君がデフェンスであった。


「お手柔らかにね、あっ君」


 小百合さんがあっ君に向かってウインクをする。


 すると小百合さんはあっ君のデフェンスを抜けた物の、ゴール下に入ったのだが、そこからシュートをしたのだが、ゴールに入る事はなかった。


「あちゃーせっかくあっ君のデフェンスを抜けたのにな」


 そんな調子で僕達は遊んだ。


 遊び疲れて僕達はとりあえず、雑草の上に座って、休む事にした。


「あー遊んだ遊んだ」


 とお母さんは言って楽しそうにしている。


「純君と小百合さんは学校ではどんな感じなの?」


 そう聞かれて僕と小百合さんはちょっと困惑した。


「まあ、学校はあまり良い物じゃないね、剛君達は学校ではどんな感じなの?」


 小百合さんがオウム返しと言った感じで聞いていた。


 すると五人ともだんまりとしてしまった。


「私達に取って学校はとてもつまらない場所だわ、とりあえず私は勉強は出来る方だけれども、凛ちゃんには敵わないわね。凛ちゃんは何でも知っているからね」


「別に何でもは知らないわよ、いつも明とはテストの点数をかけてジュースを毎度おごって貰っているけれどもね」


「麻美は本を読む事が好きなんだ。とにかく五人と遊べないときはいつも図書館にいるから。もし良かったら純君に小百合ちゃんに亜希子さん、時間が空いた時、図書館においでよ面白い本を紹介してあげるよ」


「麻美の紹介って言ってもいつも麻美の読む物は俺は面白いとは思えないな」


「何を言っているのよ剛、あんたが浅学非才なだけでしょ」


 明が手厳しい事を剛君に言う。


「相変わらず明はきついことを言うな」


「だって本当の事じゃない」


 この明って言う女の子は剛君に対しては厳しいことを言ってくる。


 その事に対して喧嘩にならなければ良いと僕は思っている。


「亜希子お姉ちゃんは仕事楽しい?」


 凛ちゃんが聞く。


「楽しいよ。今、外国のドラマの翻訳の作業をしているんだけれども、結構楽しいよ。私は大学で外国の言語を学んで、この翻訳家の職業に就いたのよ」


「楽しいか、楽しいことを仕事にしたい物だな」


 剛君が言う。


「剛君は将来何になりたいの」


「Bリーグでバスケの選手になりたいと思っている」


「それは良い夢ね」


 と亜希子お母さんはそう言って、にっこりと微笑む。


「本当に亜希子さんは最初出会った時、不思議なオーラを感じたんだよね。何かしら大人の要素を含んだような感じで」


 明が言う。


「亜希子さんはそんなにバスケがうまいんだから、バスケの選手とかにはなりたいと思っていたんじゃないの?」


 剛君が言う。


「まあ、最初は思っていたけれどもね、勝負の世界って結構厳しいのよ。私の実力じゃあ、バスケの選手にはなれないと思って高校ぐらいに諦めたよ」


 お母さんにそんな過去があったなんて僕は驚きであった。そんなお母さんを見ると何か切ない感じがして良い気持ちにはなれなかった。


 そんなお母さんの気持ちを知って剛君はげんなりとしてしまった。


「あら剛、亜希子さんの話を聞いて、気持ちが萎えちゃったかしら」


「明、こういう時ぐらいは慰めの言葉の一つもかけてくれよ。今亜希子さんの話を聞いて結構ショックを受けているんだからな」


「あなたに慰めをしたら、調子に乗るから嫌よ」


「別に調子に乗らないよ」


「あなたはかなりの単純な単細胞だからね」


 明は剛君に対して手厳しい事を言う。


「明ちゃんは将来何になりたいの?」


 そこで剛君が「明は学校の先生になりたいんだって」


 すると剛君に向かって明が蹴りをかます。


「何だよ明、別に疚しいことをしている訳じゃないんだから蹴ることはないだろ」


「そうやってべらべらと口が軽いのは相変わらずね、今度私の事を言ったら、その舌を引っこ抜くからね」


「あなた達仲が良いのね」


「明と俺は一応付き合っているんだよ」


 すると明から剛君に向かって蹴りをかましてきた。


「何をするんだよ明、別に隠すほどの事じゃないだろ」


 すると明は立ち上がり、「じゃあ、その軽い口の舌を引っこ抜いてあげましょうか」


「悪かったよ、とにかくそんなに怒ることじゃないだろ」


「今度その軽い口を吐いたら、東京湾の水に沈めるか、山に行って埋めてくることにするからね」


「本当に明は口が悪いよな」


「あなたがお喋りなのが悪いのよ」


「ところであっ君と凛ちゃんは付き合っているの?」


 亜希子お母さんが言う。


「何でそんな事が分かるの!?」


 凛ちゃんはちょっと驚いた感じで反応した。


「やっぱりそうか、何となく聞いてみたけれど、やっぱりみんな仲が良いのね」


「とりあえず主将、バスケの練習に付き合ってください。将来Bリーグで活躍して、施設長の光さんに恩返しをしたいと思っているから」


 剛君が立ち上がり、また亜希子ちゃんとあっ君でバスケの練習をしていた。


 そうして僕と小百合さんは、明と凛ちゃんと麻美ちゃんでバスケの練習をしていた。


 僕はその時思ったんだ。本当に夢がある事って良いことだと。僕には夢がない。気がつけば剛君と明の事に対して嫉妬してしまった。


「あなたのお母さんも大変ね。あんな剛の無駄な努力に付き合わされて」


「でも明と剛君は夢を持っているんでしょ。何だったら、明はどうして先生になりたいと思ったの!?」


 今後の参考として明に聞いてみたかった。


「そんな事を聞いてどうするの?」


「いや僕には夢がないから二人の夢を聞いて参考にならないかと思って」


「参考にはならないわ。だから、私がどうして先生になりたいかなんて、聞いても仕方がない事よ」


「じゃあ、どうすれば夢が見つかるのかな?」


「それは色々な人達と出会う事ね。私達が君達と出会った様に」


 そうか色々な人達と出会うか。


「参考にはならないかもしれないけれど、今度私達が住む施設にいらっしゃいよ。そうすれば何かが変わるかもしれないよ」


 明は言う。


「じゃあ、明、今度僕達を君達の施設に連れて行ってくれないか?」


「別に良いけれども、妙な期待はしない方が良いわよ」


「妙な期待って?」


「それで夢が見つかるなんて甘っちょろい事よ」


「でも明は色々な人と出会って先生になりたいと思えたんでしょ」


「まあ、それはあるけれど、まあ、私達の施設に今度招待するわ。それと、私達の施設に来るときは晩ご飯の料理を抜いて来る事ね」


「それって僕達にご馳走してくれるの?」


「まあ、そうね、光さんはどんな人でも差別なく接してくれるからあなた達なら光さんは気に入って貰えると思えるけれど」


「じゃあ、今度施設に遊びに行っても良いかな」


「今度じゃなくて今日来なさいよ。とにかくあなた達に光さんを紹介して見たいと思っていた所よ」


「突然押しかけて大丈夫なの?」


「大丈夫よ。あなた達の事を光さんに話したら、連れて来なさいって言っていたから」


「じゃあ、小百合さんとお母さんに相談して見るよ」


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