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黒の指揮官  作者: 冬城 一夜
異世界での生活
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27話 会議とご飯と友情と……嫉妬?

帝国軍詰所、第1会議室内


ティア、カーター、リュカ、ミミィ、ゲーニッツ、エミリオが机を囲んで座っている。


「で、今日の議題なんだけど………」


ミミィのほうを見ると、こくりとうなづく。


「手元の資料を、ここ最近魔物の出現頻度、個体数、強さが過去の証言や記録媒体からの統計よりも異常な増加です」


書類には、ここ100年ほどの魔物の記録が人の付けた物なので統計から推測、誤差アリなどとデータが細かく書かれている。


それらと比較して増加傾向がありえないということらしい。


「また、メルギスより報告がありました、NO3の書類を」


王国と帝国の国境付近、交易都市にて小規模転移門の発現を観測、帝国側の魔術網でも感知。


魔物顕現数は約5000、都市守備隊1000~2000未満。


銀の女神と呼ばれる女性が、英霊の大軍団を従えて魔物を駆逐、凄まじいまでの鋼の雨。


中位悪魔(ミドルデーモン)を見慣れぬ片刃の剣で一刀両断したなどと書かれている。


攻撃方法や武勇伝等は多彩を極めるが、噂の纏めとして銀髪の女性という共通項目あり。


攻撃方法等については、詳細不明。情報隠匿ありと書かれている。


「あとは、大佐。いいですか?」


こくりっと軍服に身を包んだ大佐がうなづく。


使い慣れた軍服が落ち着くということで、彼は独特の軍服を着込んでいる。


「いやな予感がする。私の予感がはずれた試しは無い。そういう事でミミィに調べてもらったデータが今のモノだ」


「ちょっとまてよ、アンタの予感が当たる当たらないは置いておこうぜ?このデータがなんだってんだ?」


カーターさんがゲーニッツさんの言葉を遮るように質問する、いや、しようとした。


ビシリと空気が固まる。ギロリと睨みつける大佐。本職軍人の威厳というのだろうか?一睨みでカーターさんが黙る。


「王国の事案と併せて、魔術関連設備の充実をしたい」


(何もんだ?あのおっさん。大隊長や元帥クラスか?妙に軍服を着慣れているやがるし)


「そういうわけで、帝都上層部に許可請求をしてください。予算はいりませんから」


ミミィさんが頷き、書類を渡してくる。うわぁ………判子おしてだすだけじゃん(笑


「うん、了解」


ちなみに王国では中世ファンタジーまんまで、通信は魔法陣を介して行われるが


魔物の影響などで魔力場が不安定になると物理的手段になる。


徒歩でも行け!というやつだ。


大して帝国は、装備や形式こそ変わらぬ物の、通信等といった物は現代とほぼ変わらない。


魔力波等によってレーダーが張り巡らされて、大規模な魔物の出現などは捉えることができるし、魔力場が不安定でも通信が途絶することはない。


ギルドチャット用の小道具等に代表されるように、戦場での情報伝達も小型無線機の代わりにソレが使われる。


大規模な施設を作れば、ソレこそ防衛レーダーのように詳細に魔物の数まで把握することができる。


もちろん予算も凄まじい倍率で跳ね上がるのだが…………。


「ちょっとまって、この近辺にこの報告のような小規模な転移門は無いわ。大穴だけよ?しかもアレはなんの変動も無いわよ?」


リュカさんが、書類の中から1つをだして指でトントンと突付く。


「さすがに大穴が開けば帝国どころの騒ぎでは済まないわ。だから最新の設備と細心の注意で監視されている」


「そうですね、今のところは何も変動はありません」


ミミィさんが小さくうなづく。


「だったら、現在の設備でもって、兵の装備や街の結界等の方へまわすべきでは?」


「有事に備えるのが軍人であり、軍隊だ。金ぐらいの軍隊が認められるのは有事に最前線に立ち、市民を守る為の文字通り盾となり戦う」

「その為の装備は必要だ、だがなによりもまず必要なのは正確な情報だ。戦場で敵と味方の状況を正確に把握できぬようでは無駄に犠牲が増える」


静かに、だが逆らえない。そんな口調。いや、ちがう。言葉に重みがあった。


「まぁまぁ、大佐。兵の装備は製作中ですよ、ね?」


そういって、こっちをみてミミィさんがウィンクしてくる。くぅイケメン爆発しろ!!!けど、ご飯おいしいので許す!

(すっかり胃袋を掴まれているティアである)


付与(エンチャント)のほうはエミリオさんと、その指導で同じくマスターが行っています」


うんうん、毎日泣きそうになりながら装備を作ってるよ!?へとへとですよ、労れ!そして温泉に入りたい!


「そして結界等ですが、まずレベルが低すぎます」


ガタっとリュカさん、カーターさんが席を立ちそうになる。エミリオさんも表面上は笑っているが、さすがにむっとしているみたい。


「近日中にホーネットが構築しなおします」


「わかりました、ソレを見せていただきますが……さすがに、ここの結界をレベルが低いと言われるとハンパな物では、納得できませんよ?」


エミリオさんが、不機嫌そうにそう言う。が、顔は笑っている。目が合うとやっぱりウィンクされる。なんなんだ!


ていうか、僕なにも仕事してないっていうか、居て聞いてるだけ?いらない無能上司のみたいな感じ?


だめだ、悲しくなってくるよ!工房に篭ってなんか作ってたほうがいいよね!


「以上ですかね、あとは各自手元の書類と熟読して、何かあれば私にお願いします」

「あまり落ち込んじゃだめですよ?今日は大豆が手に入りましたのでお味噌汁ですから」


しょんぼりと負のオーラを纏っているティアの心情を読み取ったのか、ぼそりとミミィが耳元で囁く


味噌汁!!!!!味噌汁だって!?大豆があるっていうことは豆腐とか醤油もある!?


瞳を輝かせて、あふれんばかりの喜びの感情。輝くような笑顔でミミィを見上げるティア。


(くっ、やはり食事ですか?!味噌汁とは何かわかりませんが、食事のウェイトはでかいと言う事ですか!)

(古来より胃袋を握れば勝ったも同然だという言葉があります。魔術なぞより料理の研究をするべきでしょうか)


その様子を見てエミリオが闘志を燃やしてた。





「すまないが、大佐でいいのか?一度手合わせ願いたい」


退室しようとする大佐にカーターが声を書ける。渋いおっさん同士むさくるしい構図このうえない。


「生憎と予定が詰まっている、今直ぐなら付きあおう」


その日の夕方、鍛錬場でぼこぼこにされたカーターさんが倒れていたとかなんとか。


カーミラさんが


「男って意味不明よねぇ、殴り合って直ぐに我が友よ!とか分かり合えるんだから。ドコのB級映画よ」


と言っていた。

まいどのタイトルを考えるのが大変な今日この頃。もはや適当というか思いつき。

シリアスなのに、やっぱりオチをいれたくなる性分。

無いと欲しくなるお米、味噌、醤油。偉大です。

あぁ、梅干食べたい………。

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