第十二話
「みんな! いこう!」
俺は奏たちにそう言って、急いでコンビニの外に出る。
来た道と逆方向を見てみると、確かにオオカミやスケルトンのモンスターの集団がこちらに向かってきている。
そして、その先頭を男性と女性が走っていた。
「パパ!? ママ!? どうして!」
どうやら、先頭を走っているのは、愛花さんのお父さんとお母さんらしい。
これは助けなければ……!
「おぉ! 愛花か! 逃げろぉ!」
「今助けるから!」
愛花さんはそう言うと、両手を突き出し、目を瞑った。
「いっけぇ!」
すぐに愛花さんが目を開けると、水の玉がモンスターの先頭のスケルトンに当たる。
だが、水の玉は威力が低い。モンスターを足止めすることしか出来なかった。
「今、助けに行きます!」
愛花さんが魔法を打つと同時に、葵がゴブリンを倒した時に手に入れた剣を手に、モンスターの大群へと走っていく。
さて、俺も魔法で倒すか。
あの大群じゃ接近戦は無理がある。
まずは愛花さんの両親をモンスターから離さないと。
イメージするは頑丈な壁。モンスターの大群も通さない頑丈な壁。
「よし、愛花さんのお父さん、お母さん! 早くこっちへ!」
「わ、分かった!」
愛花さんの両親が俺たちを通り過ぎるのを確認すると、俺たちの後ろに土魔法で壁を作る。
これで、モンスターは向こう側へは行かないだろう。
「よし、これで愛花さんの両親には被害が及ばない! モンスターを片付けるぞ!」
「ん、了解」
「わかりました!」
「了解したわ」
俺の隣にいる女性陣がそれぞれの武器を構え、モンスターに攻撃する。
奏はもちろん多彩な魔法で。
千桜は倒したスケルトンの一体が持っていた弓と矢で。
愛花さんは千桜のサポートを。
そして、俺はその三人の前に出て、手斧と魔法を駆使してモンスターを倒し、葵はモンスターの大群の中なぎ倒す。
「く、モンスター多いな!」
手斧でスケルトンの剣を防ぎ、脚でスケルトンを蹴る。
蹴りはスケルトンの肋骨に当たり、二本肋骨が折れたのが見えた。
そのまま、体勢が崩れたスケルトンの首を手斧でたたき落とす。
その時、俺の直感が後ろからモンスターが来ていると訴えてきたので横に避けてみると、オオカミが俺の横を通り過ぎる。
多分、俺の取った『直感』スキルが役に立ったのだろう。
「ハッ!」
そのオオカミに向けて手斧を振り下ろすと、ちょうど首にあたり倒れた。
「はぁ、はぁ……奏が魔法で結構な数減らしてくれてるけどまだ多いな」
てか、なんでスケルトンとオオカミが来るんだ? さっき見た感じではスケルトンはオオカミから逃げてたようだが……。
そうか! スケルトンは骨でできてる! オオカミはその骨を追って来て、スケルトンはそれから逃げてたのか! それで愛花さんの両親もそれに遭遇して逃げて来たのか……多分。
そんなことを考えながら、ゴブリンの持っていた剣より多少新しい感じの剣をスケルトンが振り下ろしてくる。
それを持っている手斧で受け止め、スケルトンの方に押し返そうとする。
だが、横からオオカミが俺とスケルトンの間に入ってきた。
「くっそ、鬱陶しいな!」
咄嗟に、後ろにジャンプしてそれを回避する。
スケルトンはオオカミとぶつかり、動きが止まっていたので、倒そうと接近しようとする。
だがその時、目の前で爆発が起きた。
後ろを少し見てみると、どうやら奏の援護らしい。
頼もしい妹だ。
周りも少し見てみると、残りのモンスターもあと少しとなっていた。
「よし、あと少しか!」
俺は残りのモンスターを倒すべく、他のモンスターへと走っていった。
それから、俺たちはモンスターを倒し終わり、周りはモンスターの死体で埋め尽くされていた。
「うわぁ、靴にめっちゃ血が付いてるじゃん」
葵が自分の靴を見ながら言うが、お前が汚れているのはそれだけじゃないんだぞ?
「葵? 靴だけじゃなくて頭からつま先までびっしり血が着いてるわよ?」
「えぇ!?」
まぁそれは仕方ないか。どうしても血飛沫というものは飛んでしまうものである。
特に大動脈などを斬った場合は大量の血飛沫が飛んでくる。
もちろん、俺も顔を触ってみると、血がべっとり着いている。だが、俺のメガネに付いた血は少量だ。
戦闘中、前が見えなくなるのは絶対に避けるためにメガネだけは守ったのだ。
「それにしても、疲れたわね……」
「そうだな……休む前に愛花さんの両親と合流しないと」
魔法で作った土壁を、また土魔法でたいらに戻す。コンクリートの道路でやってしまったので、土壁を作った一部の地面は土になってしまった。
「あ、パパ! ママ!」
「愛花ぁ〜! 無事だったか!」
「愛花ちゃーん!」
愛花さんたちは泣きながら抱き合い、会えたことを喜んでいた。
「ふぅ、疲れたわね」
「それ、さっきも言ってたぞ」
「あ、確かにそうね。私ほんとに疲れてる」
まぁそうだろうな。俺でも今は立ってるだけでしんどいんだ。
でも、ここで座ったら死体から出た血でお尻が汚れてしまう。
「兄さん、モンスターは原型が留めてるもので三十二体だった」
「そうか、ありがとう」
原型が留めてあるもの。それはつまり奏が魔法でバラバラにしたモンスターは数えないでその数か。
多すぎるだろ……。
「ふぅ、何はともあれ、これで一段落かな」
あとは愛花さんたちが落ち着くのを待とうか。
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