194話 ビリビリ
巨大植物に手を加えたのは、多分ピノとセシリアだ。
根拠はいくつかあるけれど、一番大きいのはやはり、現生植物部分に直接影響を与えているところだ。
モノリスがモノリスに干渉することは、星のどこかで既に起きててもおかしくないと思う。
けれど、ただでさえ生身の生物が死滅していく環境で、新たに巨大な植物を育成し――それに付随するようにモノリスへ働きかけることが出来る存在があの二人を除いているのだろうか。
目的は今のところ全く分からないけれど、二人にとって――もしくは俺達にとって、この巨大植物は必要な存在なのだろう。
あるいは、必要になるから創ったんだろう。
「むむむ……いったい、なんなのだこの植物は……。スキルを扱えるということは、それなりの強い意志が必要不可欠。それを、この植物は持っているというのか? 他に使えるスキルがあるのか? どうしてこんな何もないところにいるんだ?」
前代未聞の特殊個体について、考察が止まらないスヴァローグ。
加減を忘れているのか、指輪の振動がいつもよりかなり強い。
「独り言は一人で言ってくれよ、スヴァローグ。お前が何か喋るたびに、指がビリビリ痺れて痛いんだよ。骨伝導じゃなくて、いっその事、スピーカーにしたらどうだ?」
「ほう? そんなことをすれば、君の鼓膜がビリビリに破れるかもしれないが、よろしいか?」
「よろしいわけないだろ! そうなったら、お前だって俺と会話できなくなるんだぞ?」
「問題ない、もしそうなれば、骨伝導に切り替えるまでさ」
「悪魔かお前は!」
すぐさま指から外して、放り投げてやろうか、コイツめ。
しばらく巨大植物を眺めていると、数分おきにスキルを発動していることが分かった。
スキルは1種類で、『吸収』をひたすらに発動し続けている。
見た目上の変化はない。
スキル『吸収』はType-END内に獲得出来たみたいだし、これ以上ここにいても、時間が過ぎていくだけだな。
「なんだ少年、もう行くのか?」
「あぁ、誰の仕業かはだいたい見当がついたしな。先を急ごうぜ。パグ、案内を頼む」
「待て待て、見当がついただと? 誰なのだ? いったい誰が、この魔法のような植物を創造したというのだ?」
「ふふ……スヴァローグ、しばらくはお前も魔法を楽しむといいさ」
「んな……言うようになったな少年!! よかろう、どちらのビリビリがいいか選びたまへ!」
その後、道中しばらくの間、指輪を嵌めた左手の肘あたりまでの感覚がなくなったのだった。




