182.5話 Mono;s Battle①
とある老兵達のお話です。
「さぁ次のバトルは、エリア4に突如として現れた超新星、サーベルタイガー VS 未だ負けなし、独特のコンビネーションで敵を圧倒、ヴェロキラプトルズ! 全員のベット完了を合図に、試合開始のゴングを鳴らすぜぇ!」
惑星グリスの地中深く。
間もなく壁に投影される戦いを前にして、老兵達は湧いていた。
「ゴングつったって、これ録画だろ?」
「まぁまぁ、細けぇことはいいじゃねぇか。えーっと……ヴェロキラプトルズってことは、あれか、仲間が増えたんだな?」
「いや、アイツ等は元々群れてただろうが。俺ぁ群れる嫌いだヤツらは嫌いだね。数が多けりゃ良いってもんじゃねぇだろう、闘いってのは」
「あぁ、ちげぇねえ。……で、お前等はどっちに賭けんだ? 俺は今回かなり自信があるぜ」
「ほぉ? じゃあ俺はお前の逆に張るか。どっちだ、言ってみろ」
「ヘルハウンドだ」
「「とっくに死んどるわ!!」」
老兵達の記憶力は乏しい。
というより、とても長い間地下空間に居たせいで、大抵のことは気にも止めないし、止めないように皆が何処かで心掛けている。
だから、投影されている何者かが戦っている映像が、いつ始まったのかも、なんのために戦っているのかも、誰も気にしていない。
老兵達の誰かがどこからともなく映像を入手し、それに勝手に実況を付け始め、勝敗の賭けを始めた。
ただそれだけである。
「今回もヴェロキラプトルの勝ちだろうな」
「ヴェロキラプトルズな」
「どうしてだ、何故そう思う?」
「動作とか、技を発動する時の初動が、他の奴らより早いだろ? しかもかなりな」
「俺には全然分かんねえな……。あんたもしかして、昔格闘をかじってたとか?」
「いやそれが全く思い出せねぇんだけどよ」
「映像の中の奴らも俺等と同じ機械ってんなら、ヴェロキラプトルは、他と比べてバージョンが一つ上くらいの性能をしてる、って前も言ってなかったか?」
「ヴェロキラプトルズな」
「あぁ、まさにそんな感じだ。加えて、多分こいつ等、自分達が勝てる相手にしか喧嘩を吹っかけてねえと見た」
「あぁ確かに、いつも余力残して戦ってるように見えるな」
「それで、ヴェロキラプトルズは、他の戦闘狂の奴らと違って、何か目的があるような行動をしてるな、っつう話をもう4回は聞いたはずなのに、何で俺はサーベルタイガーの方に賭けてんだろうな? もう次に賭けるものほとんど残ってねえぞ?」
「だはは! ヘッドギアパーツなんて賭けるからそうなるんだ。何か貸そうか?」
「いいや、もうあんたからは借りれねぇ……」
「もうって、なんか貸しがあったか?」
「おい見ろ、そろそろ勝負がつきそうだぞ」




