158話 エージェント
「おい人間! 何だってんだ、急に走りだしやがって! せっかく拾ったモノリスも捨てちまうし!」
お前もなんで言わなかった!? とパグにも詰め寄るラズ。
「あれはモノリスなんかじゃないんだ、ラズ。だから多分、パグも察知出来なかった」
「じゃあ何なんだよあれは!?」
あれは、スヴァローグで言うところの、エージェントと呼ばれる黒い機械。
俺とN2で倒したはずだが、何で今さらあいつが出てくるんだ?
くそ、なんて時に……!
N2達を運んでいるため、パグの全力は少し遅い。
俺が抱えて走ったほうが速そうだ。
パグを皆ごと片手で抱え込み、再び走り出す。
「細かいことは後で説明する……! とにかく今は」
「おい人間! 後ろ後ろ!!」
ラズの呼びかけに応答し、駆けながら後方を見やると、やつがいたであろう場所から光弾が放たれ、俺達目掛けて飛んでくる。
光弾は足元付近に着弾して爆発。
轟音が鳴り響くと同時に俺達は宙を舞っていた。
そして、その勢いのまま地面へと叩きつけられる。
「……ッ!!」
めちゃくちゃだこんなの!
直接くらったら体が消し飛ぶぞ……!
「……ラズ! パグ! 大丈夫か!?」
「アタシ達は大丈夫だ! それより、早く起きろ人間! またさっきのが来るぞ……!」
以前のやつのチャージショットとは比べ物にならない威力になってやがる……!
既に心臓がうるさい……あんなの何発も避けてる余裕ねえぞ……!
けど、一発目を回避できたのはデカいッ、なぜなら……!
「アイツが二発目を撃つには、またチャージが必要なんだ! だから次の砲撃まで少し時間が」
直後、先程と同様の光弾が俺達の真横をかすめていく。
電気をギュッと丸めたような光弾は、近くの岩に着弾し、岩を粉々に打ち砕いてしまった。
「おい、めちゃめちゃ撃って来てるぞアイツ!」
「ダメだ、俺の知ってる時より数段パワーアップしてやがる……!」
威力も、発射する間隔の短さも全然違う……!
インターバルほぼ無しでアレが飛んで来んのか!?
反撃の手段なんて考えてる余裕がない……!
身を隠しつつ、一旦ヤツから遠ざからないと……!
倒木を飛び越え、岩の合間を縫って駆け抜ける。
枯れ草を掻き分け、窪んだ地面へと身を潜めた。
砲弾が止んだ……?
ヤツの視界に入らなければ撃ってこないのか?
草木等の障害物を利用してヤツから離れることが出来れば、あるいは…。
そんな、薄っすらと希望を浮かべた刹那、後方が橙に照らされ熱風が吹き込んだ。
周囲はあっという間に炎に包まれ、植物を地面もろとも焼き払っていく。
窪みからほんの少し顔を出して後方を確認すると、見覚えのあるシルエットが。
「嘘……だろ……」
先程とは別の黒い機械が、二本の腕から炎を出し、植物を燃やしながらこちらに向かって来ている。
忘れるはずがない……あれは、ピノを襲ってきた第2のエージェント……!




