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異世界創造のすゝめ~スマホアプリで惑星を創ってしまった俺は神となり世界を巡る~  作者: たまごかけキャンディー
第一の創造~異世界創造編~

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ストーリーモード3

本日6話目


5話更新の予定でしたが、異世界日間ランキング6位に浮上していた事が嬉しかったので、読者様に感謝の気持ちを込めてもう一度更新します。


明日は朝7時に更新予定です。


 とりあえず角ウサギ、もといホーンラビットとの対峙に意識を戻す。

 いくら鑑定が無能でも、襲い掛かってくるかもしれない野生動物に油断は禁物だ。

 俺は【戦士】の能力で引き上げられた近接戦闘の感覚を活かし、ホーンラビットを見据える。


 ちなみにだが、【戦士】等の近接系の職業を持っていれば体を動かす戦いの感覚が、【魔法使い】を持っていれば魔力を感じ取る感覚が引き上げられ、スキルの習得が早くなるとキャラクター作成時の職業解説にはあった。

 俺がいまホーンラビットを見て「戦える」と感じているのも、戦士の職業をまがりなりにも取得しているが故だろう。


 なんとなくだが、錬金術師の素養である目利きを併用することで、お互いの凡その力量差が分かる。

 鑑定結果の「よわい」も、自分と比べて弱いということで良さそうだ。

 たぶん俺は、このウサギよりも強い。


「ピキー!!」

「おっと、そうはいかんよ」

「ピギッ!?」


 唯一の武器であろう額のツノを突き出し、俺めがけて襲い掛かってきたホーンラビットの攻撃を躱す。

 そして躱したついでに勢い余ってたたらを踏む奴を後ろから羽交い絞めにし、首を絞めた。

 ちょっとまだ生き物を殺すには抵抗があるが、この世界は弱肉強食だ。

 ここでとどめを刺せないようであれば、死ぬのは俺だ。


 心を鬼にして、そのまま首の骨を折る。


【レベルアップ! 『戦士』、『神官』、『錬金術師』がレベル2になりました】


 ポケットに入れておいたスマホが振動したので確認すると、いまの戦闘でレベルが上がったことが分かった。

 手に硬い首の骨の折れる感触が伝わりあまりいい気分ではないが、たった一度の戦闘で職業レベルが上昇したのは大きな成果だろう。

 やはり最初は上がりやすいのかもしれない。


 なぜ能力を使用していない神官職までレベルが上がったのかは分からないが、たぶんこれが職業を3つ持っていることのメリットの一つなのだろうと推測する。

 常人であれば、例えば神官職なら回復魔法などを駆使することがレベルアップの条件のはずだが、職業を3つ持つ俺はどれか一つの職で経験を積めばそれが「プレイヤーの獲得した経験値」として認識されるのだろう。


 システム的に、プレイヤーの獲得した経験値だから神官職だろうと錬金術師だろうと、経験値が割り振られる。

 なぜ、とかは考えてはいけない。

 そもそも職業を3つ持つ人間など俺だけだし、前提としてこれは創造神の奇跡によって生み出された、もっといえばアプリのルールだ。


 職業の力というそのものが、自然現象ではないのである。

 だから俺は戦士の行いでも神官の行いでも錬金術師の行いでも、全ての職業に経験値が割り振られることになるのだろう。

 そうとしか考えられない。


 ひとつ懸念があるとすれば、経験値が3等分になったことでレベルが上がりにくくなっているのでは、というところだが、……まあ、能力パラメーター上昇による職業補正も常人に比べて3倍だから差し引きゼロだろう。

 今の俺には、戦士と神官と錬金術師3つ分のパラメーター補正が乗っかっているわけだし。


「さて、とりあえずウサギを収納しておこう」


 スマホを掲げ、ホーンラビットを次元収納する。

 それにしてもこの便利なスマホ、失くしたらどうなるのだろうか。

 例えば他の人に盗まれたりしたら目も当てられないのだが、そこらへんが気になる。


 気になった俺は少し実験することにしてみた。


 スマホを地面に置いて、その場から離れるという実験だ。

 もしこれがただのスマホならいくら離れてもそのままだろう。

 一歩、二歩と離れてみる。


「…………」


 変化なし。

 今度は思い切って10メートルくらい離れてみる。

 ……すると。


「あ、手元に戻ってきた」


 なんとスマホはいつのまにか俺の手元に戻り、何事もなかったように帰ってきた。

 すげえ、まるで魔道具だな。

 どうなっちまったんだよ俺のスマホ。


 これもアプリの能力なのだろうか?

 疑問は尽きない。

 だが、とりあえずこれで盗難の心配は無くなったので、一先ずの安心を得た。


 次は人里に向かう方法だが────。

 そう思ったところで、不意に物凄い危機感が俺の身体を突き抜けた。

 まるで天と地ほどにかけ離れた実力差の達人に相対したような、いや、もっと荒々しい猛獣に睨まれたかのような尋常ではないプレッシャー。

 それが物凄い勢いでこちらに迫ってくる感覚だ。


 いったい何が────。


「な、なんだ!?」

「GYAOOOOOOOOOO!!!」

「うわっ、ワイバー…………ッ」


 そう思い振り返った瞬間、俺の意識は途絶える。

 最後の瞬間に見えたのは、大口を開けて俺の頭部を喰わんとするワイバーンのアギトだけだった。





 …………。

 ………………。

 ………………、……!?


「はっ!? 俺はいったいなにを!?」


 目が覚めた。

 目が覚めるとそこはいつもの自宅で、俺の片手には『異世界創造のすゝめ』を起動中のスマホが握られている。


 あれ?

 今確か、異世界に行っていたような……。

 そこまで考えた俺は先ほどの夢で見たワイバーンのアギトを思い出し、全身に緊張から汗をにじませる。


「い、嫌な夢を見たものだな……。というか、何がどうなってる?」


 するとスマホがブルブルと振動した。

 とりあえず夢は夢ということで置いておき、ゲーム画面を確認する。


【キャラクターが戦闘不能になったため、ストーリーモードが解除されました。現在キャラクターを修復しています。損傷の修復完了まで、残り1時間】


 ……なるほどね。

 うん、なるほど。

 どうやら先ほどまでの出来事は、やはり夢ではなく現実だったらしい。


 実際に俺のキャラは頭をワイバーンに食われ、戦闘不能に陥った。

 そしてそれを判断したアプリが【ストーリーモード】を解除し、現在は頭部を修復中と。


「……って、納得できるかぁ!?」


 ということはあれか?

 俺のキャラって不死身なのか!?

 いや、論点はそこじゃない、冷静になれ。


 まず現実にこんなことが起こりうるのか?

 異世界だぞ?

 いや、起こりうるのだろう、だって今まさに体験したわけだし。

 だが理性では分かっていても、動揺はする。

 訳が分からない。


 とはいえ、現実は現実だ。


 何度も深呼吸をし、気持ちを整える。

 よし、クールだ、クールになれ。

 うん、クールになった。

 オレ、イマレイセイ。


「それにしても異世界か、とんでもない体験をしちまったもんだな」


 しばらくして少しだけ落ち着いたので、改めてゲーム画面を見る。

 画面にはキャラが戦闘不能になった地点で、唐突に消えたキャラの肉体を探しキョロキョロと探そうとするワイバーンの姿が見える。

 さきほどまでは恐ろしい存在だったが、こうしてみるとただの野生動物だな。

 なんか愛着出てきた。


 だがレベル2かぁ……、あっさり退場したものだ。

 自分の創造した世界とはいえ、異世界がどれだけ危険なのかというのをまだ認識できていなかったらしい。

 俺の作った人間たちはよくこんな化け物が蔓延る世界で生きてるよな、逞し過ぎる。


 そんなことを思いながら適当にポチポチと画面を操作していると、ふと先ほど収納したホーンラビットの死体のことが気になった。

 そういえば次元収納をしたままだったが、あいつはどうなったのだろうか。


 あれはキャラの能力ではなくアプリの能力で収納したわけだから、もしかしたら失われずに残ってるのかもしれない。

 そこまで考えた俺は再び【ストーリーモード】のキャラクター画面を確認する。

 するとそこには予想通り戦利品が格納されていた。


【ストーリーモードで獲得した戦利品があります、取り出しますか?】

ホーンラビットの死体×1

石ころ×1


「……え? 取り出せるの?」


 なんか、取り出せるらしい。



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