わたしとバザー ①
「パパ、バザーがあるんだって!」
わたしは友人たちからの手紙を見て、パパに思わず話しかける。
街ではバザーが行われると言う話である。わたしはパパに自分で作った錬金術のものを売ったりはしてもらっているけれど、自分で自分の作ったものを売ったりはしていない
わたしが将来、どんな風に生きていくのかは分からないけれど、自分で自分の作ったものを売ることはしたことがなかったから誰でも参加が出来るというバザーが気になった。
「ベルレナが参加したいのならば、参加してみるか?」
「うん! 参加していいなら参加したい!」
「参加するのはいいが、売るなら簡単なものの方がいいだろうな。ベルレナみたいな子供が錬金術で作ったものとかを売っていると目立つからな。それに街の者たち相手に売るなら相手が買いやすいものにしたほうがいい。錬金術で作成されたものは高価なものが多くて簡単には買えないだろうからな」
「そっかぁ。でもそれだと何を売ろうかな?」
正直錬金術で作ったものを売れたらって考えていたのだけど、錬金術で作成したものを子供のわたしが売っていると目立つみたい。錬金術で作成したものは高価なものが多くてバザーにも向かないみたいだし、何を売ろうかな。
「ベルレナは結構なんでも作れるようになってきているだろう。自分で作った服でもいいし、アクセサリーでもいいし、食べ物でもいいだろう」
パパにそう言われて、確かにそうだと思った。
わたしはパパから沢山のことを学んでいて、魔法が使えなくなった時に自分の力でなんでも作ったり出来るようにしこまれている。
「それ、面白そう! でも売れるようなもの作れるかなぁ」
「俺が監修するから問題ない。今、出品者を募集している時期だからまだバザーまで時間があるからそれまでに考えればいい」
「うん!!」
ひとまずバザーに出品したい旨はバザーの責任者にも伝えておくことになった。まだ出品するものが何になるか決まっていないというのが引っかかっていたみたいだけど、責任者の人が私たちを知っていてくれていたこととわたしが準備が出来なかったらパパが何かしらバザーに出品して責任をとるってことで受けいれてもらえた。
わたしは自分の部屋でどういったものを準備しようかなと考える。
こうしてバザーに出品するっていうのは、とても特別な経験だと思う。パパはわたしがやりたいって言うとなんでもやらせてくれて、改めてパパが大好きだなって思った。
わたしはおしゃれが好きだし、洋服だったり、アクセサリーだったりを作るのもありかもと考える。わたしが作った服やアクセサリーを、可愛いって気に入ったっていってもらえたらきっと素敵だもの。
魔法を使いながら作成したら、魔法の練習にもなるしね。
もちろん、魔法を使用しなくても作成できるようにもするけどね。
そういうものを作成するための材料も必要だよね。街の人たちが買いやすいものにしたほうがいいだろうから、値段に関してもどんな風に設定するかもパパに相談しなければならないし。
「ねぇ、パパ、わたし、服やアクセサリーとか、美容系のものとか作りたい! その材料ってどうしよう?」
「俺が保管しているのを使ってもいいぞ。ただ良い経験になるから、材料から自分で手に入れているのもいいと思うが」
「じゃあ、一旦自分で集めてみたい! それで駄目だったらパパの倉庫から使ってもいい?」
「ああ」
「わたし、材料も何処にあるかとか分からないから、材料を手に入れるのもパパに相談するね。あとどんな風に値段設定したらいいかとかも!」
「ああ。ただバザーでは自分で材料まで手に入れたことはあまり言わないようにな。ベルレナの年でなんでも手に入れていたらまた目立つし、面倒なのに目を付けられる可能性もあるから。あんまり目立つと街に行きにくくなるからな」
パパは多分、ずっとこの屋敷で過ごしていても問題がない。パパは人と関わることより、此処でのんびりと魔法の研究をしたりするのが好きだから。
だからパパからしてみれば街で目立とうが、正直しばらく街を訪れなければいいのでどうでもいいことでもあるだろう。でもわたしが街に友達を作って、街の人たちと仲よくしていきたいって思っているのをパパは知ってくれているから、下手に目立つとしばらく街に行けなくなるからって目立たないように言ってくれている。
わたしがもっと自分一人の力でなんでも出来るようになったら――、面倒な人たちに目をつけられたとしてもどうにでも出来るようになるだろう。そういう力を身に着けられるように一生懸命頑張りたいって思う。
「ねぇ、パパ、わたし、頑張るね!」
わたしがそう言って笑いかければ、パパはわたしの頭を撫でてくれる。
新しい経験も、パパが隣にいてパパが助けてくれるって思うと、何だって出来る。わたしもパパのように誰かにそういう風に思ってもらえるようになれたら素敵だろうなって思う。




