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様々な種族の里を巡る ⑤


 様々な種族の里を巡るのは、まだまだ続けられている。というか、パパの知り合いの種族が多すぎて、全然それが終わらないのである。



 お出かけは楽しいことだけど、ずっとお出かけをし続けるのは疲れるので、屋敷でのんびりもしながらである。



 パパはわたしのペースを考えて、色んな里に連れて行ってくれるのだ。



 色んな里に向かえば向かうほど、わたしは知り合いが増えて行って嬉しかった。ベルラ・クイシュインとしての知り合いは沢山いたけれど、私は既にただのベルレナなのだ。

 ただのベルレナの知り合いが沢山増えていくことが私は嬉しいと思った。




 パパに次に連れて行ってもらったのは、人のような姿に鳥の姿を持つ鳥人たちの住まいだった。断崖絶壁の崖の上に住処を作っているらしい。



 崖の上に急に現れたわたしとパパに、鳥人たちは驚いたような表情を浮かべていたけれど、パパの姿を確認するとすぐに受け入れてくれた。

 やっぱりパパは凄いなぁと思った。



 それにしてもここ、大陸のどのあたりなのだろうか? わたしはベルラとして生きていた時、自国や周辺諸国の情報は手に入れていたけれど、どちらかというと貴族令嬢として役に立つような情報だけだった。

 だからここが何処なのかわたしにはさっぱり分からない。



 パパが連れて行ってくれている場所は知らない場所がおおくて、わたしは新しい経験を沢山させてもらっている。



 鳥人たちは顔も鳥の姿を持っていた。人間達とほとんど関わることもなく、生きているのが鳥人たちらしい。まぁ、これだけ人が寄り着かないような場所に住んでいたら人と関わらないのも当然だろうか。

 ただ鳥人たちにとってもパパは特別な人らしく、パパの娘だからとわたしのことを抱えて飛んでくれたりした。




 パパに「落としたら許さないからな」と脅されていたからおそるおそるだった。わたしは空から見下ろす風景が楽しくてワクワクしてしまった。





 それにしてもこのあたりって巨大な岩が大量に転がっていたり、背の高い崖が沢山あって、周りに緑も少ない。生物自体が少ないように見える。こんな所には人間は住めないだろうなぁ……って思った。パパみたいな魔導師ならともかく、普通の人間ならば住むのは難しいからね。

 そもそも人間は魔法が使えない人も多いから、わたしとパパが普段過ごしている屋敷だって普通の人は暮らせないだろうしね。




「わぁ、楽しかった。ありがとうございます!」

「いい。落とさなくて良かった」




 わたしが抱えて飛んでくれた鳥人にそういってお礼を言えば、そんな風に言われた。

 パパの脅しが効いていたみたいで落としたらどうしようと不安だったらしい。それにしてもパパはどうしてここの人たちと出会ったのだろうか。





「パパは、どうしてここに最初やってきたの?」

「昔の俺は探求心が強かったから色んな所に行っていたんだよ。興味本位でうろうろしていた時に、此処に来た。最初、戦闘をしかけてきたけれどぶちのめしてからの仲だ」




 詳しく聞いてみると、パパはこの断崖を素手で登ったらしい。パパ、魔導師なのにそういうのも出来るらしい。今よりも若者で好奇心旺盛だったパパは、そういうことをしていたらしい。



 鳥人たちの住処でのんびり過ごした。景色がとても綺麗だった。





 その後、屋敷に戻ってのんびりしてから、魚人たちにも会いにいった。







 パパはそういう人たちとも交友があるらしい。魚人の中には、いわゆる人魚と呼ばれる美しい見た目の人もいた。




 美しい上半身に、ヒレのついた魚の下半身。

 ちなみに海で住まう人たちにも色んな種類がいるらしい。人間と魚を混ぜ合わせたような一族たちが海の中に暮らしていると思うと不思議だった。



 パパが魔法をかけてくれて、わたしは海の中にある魚人たちの国に連れて行ってもらった。




 わたしは海を見たのも初めてだったから、そもそもそれで興奮していたのだけど、パパの魔法によって、海の中に入ると益々新鮮な気持ちになった。




 海の中はパパと一緒だから問題はないけれど、本来は魔物も多いから不用心に海に入らない方がいいらしい。

 実際に海の中でパパと魚人たちと一緒に魚人たちの国に向かう時に、大きな魔物の姿も沢山見られた。

 巨大な魚の魔物が、小さなエビのような魔物をパクリッと丸のみする光景を見たりしてびっくりした。




「パパ、此処、凄いね」




 たどり着いた魚人たちの国は、幻想的な雰囲気が強かった。



 海の中に築かれたお城。海の自然物を使ったお城。その前を銛をもった魚人たちが守っていた。パパはそこの王様とも仲良しみたいだ。

 その王様は、普通の魚人よりも巨体だった。


 青い鱗に覆われた巨大な魚の見た目をしている。彼はパパよりも長生きをしているらしい。





「――よく来たな、ディオノレ」



 この人はシルヴィーさんと同様、パパにとって、友達と言える存在なのだろう。



 パパがその人――サーベさんと仲良く話すのを聞きながらわたしはなんだかにこにこしてしまった。




 海の中で魚人たちと一緒に魚人の国を観光してまわる。魚人の子供たちとも仲良くなった。

 およぐというのは初めての経験だったけれど、魚人たちに習ったらおよぐのが上手になれた。

 海から帰る時には、魚人たちに送ってもらえた。





 パパに帰り道に「あまり珍しい種族の事は人に言わないようにな」と言われた。




 なんでも魚人の肉を食べると不老不死になるなんて、間違った情報が出回っているらしい。そのせいで魚人は人間に見つからないようにしているんだとか。

 鳥人や樹人たちも珍しい種族だから、その素材を手にしたいと思っている人たちもいるらしい。




「うん。いわないようにする!」

「ベルレナが本当に信用出来るという人にならいいけどな」

「うん。そうする」



 ベルレナとしてのわたしの世界は、パパのおかげで広がっているけれど、まだまだ狭い。

 わたしの世界はこれからもっと広がっていくのかな。そしたらパパの知り合い以外でも、わたしの知り合いが増えるのだろうか。



 パパとの会話で、そんなことを考えるのだった。





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